敗者の想像力

敗者の想像力

770円 (税込)

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4.2

1945年、日本は戦争に負け、他国に占領された。それから四半世紀。私たちはこの有史以来未曽有の経験を、正面から受け止め、血肉化、思想化してきただろうか。日本の「戦後」認識にラディカルな一石を投じ、90年代の論壇を席巻したベストセラー『敗戦後論』から20年。戦争に敗れた日本が育んだ「想像力」を切り口に、敗北を礎石に据えた新たな戦後論を提示する。本書は、山口昌男、大江健三郎といった硬派な書き手から、カズオ・イシグロ、宮崎駿などの話題作までを射程に入れた、21世紀を占う画期的な論考である。【目次】まえがき/はじめに 想像力にも天地があること――小津安二郎、『敗北の文化』、カズオ・イシグロ/第一部 敗者の日本/第一章 私たちが被占領民だったころ――W・G・ゼーバルト、林達夫、朴泰遠/第二章 占領下の文学――第三の新人、曽野綾子、大江健三郎、目取真俊/第三章 ゴジラは死んで、どこに行くのか?――本多猪四郎、R・エメリッヒ、G・エドワーズ/幕間 シン・ゴジラ論(ネタバレ注意)――庵野秀明/第二部 敗者の戦後/第四章 低エントロピーと「せり下げ」――山口昌男と多田道太郎/第五章 世界の奴隷として考えること――吉本隆明と鶴見俊輔/第六章 「成長」なんて怖くない――宮崎駿と手塚治虫/第七章 大江健三郎の晩年/終わりに 『水死』のほうへ――大江健三郎と沖縄/あとがき

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敗者の想像力 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2018年07月04日

    大学時代読み切れなかった本をやっと読破。
    間違いなく私の人生の中で出会えて良かった本10番に入る。
    この本をきっかけにジブリ作品を見返したい、さらにはその作者、宮崎駿に影響を与えてきたものをもっと知りたいと思い、新しい本を購入。宮崎駿『出発点』『折り返し点』

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    Posted by ブクログ 2017年06月14日

    この本を読むきっかけとなったのは、2017年6月9日、大阪朝日カルチャーセンター中之島教室主催の、内田樹先生と高橋源一郎先生による対談である。
    その中で、高橋先生はこの著作の内容に触れながら、権力に立ち向かう「敗者としての立ち向かい方」についての示唆をされていた。
    それは、この本の第2部で詳しく述べ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年01月05日

    敗者というと、ひどく重く、ネガティブなものであるような気がする。特に著書の姿勢としては戦後日本のありようをオーバーラップさせている面は強いだろう。でも、それがわかっていてなお、ここでいう敗者とは、無視できない他人がいて、そういう外部となんとか折り合いをつけて生きなければならない自分自身という気がする...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年12月06日

    某所読書会の課題図書.膨大な数の作家名が出てくるが,残念ながら読んだものが僅かだ.カズオ・イシグロの作品の考察で主人公が「かくも従順に,抵抗もせずに,不当なことを受け止める」由だが,その行為自体が"敗者の想像力"になるのか,と推測してみた.ゴジラの話も楽しめた.山口昌男の「挫折の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年12月31日

    敗戦後論から20年。さまざまに論じた加藤典洋の1冊だが、白眉は大江健三郎論なのだと思うが、残念ながら初期の小説群以外全く読んでいない。しかし、大江が晩年「沖縄ノート」で非難した集団自決事件への名誉棄損裁判の行方には関心があった。もう一度大江の小説群を読んでみようと思う。

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