あらすじ
天皇をめぐる問題を考えるうえでの必要事項はすべて網羅し、論じ尽くしたきわめて意義深い本ができた。~加藤典洋~
「天皇の戦争責任」というような問い方を終わらせることが、戦後を内側から乗り越えるためには必要な作業であるように思う。~橋爪大三郎~
なぜこれまでの「社会」「戦争」「天皇」の議論がどこか大上段で自分の日常の存在の感度にまで繋がらないか、必ず示唆してくれるような対談。~竹田青嗣~
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Posted by ブクログ
日の丸・君が代から始まった加藤・橋爪の毎日新聞の論争が、司会の竹田を交えた鼎談である本著を生みました。左からの主張ともいうべき国際関係論の加藤は「もし責任があるとすれば、戦後真実を語らなかった責任だとして、家永三郎・井上清・丸山真男ではなく、三島由紀夫こそ、その責任を正しく追及した人だ」と展開する。また、死んだ300万人の日本人たちへの責任はまずアジアで死んだ2000万人への責任に真直ぐに向かうことから始まると。これに対して右からの主張ともいうべき社会学の橋爪はむしろ天皇機関説的な立場から「天皇という場に選択の余地がなく座らされた個人の責任を追及したくない、それは主権者である日本国民としてのプライドでもある」と主張する。2人の立場から考えられる一見常識とは逆転したような主張が逆説的で面白く、日本国憲法の成り立ちについても学ぶことが出来る内容の濃い、ずっしり読みごたえの有る極めて真面目な本です。