江戸川乱歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025/10/27
p.37
声によって想像すれば、それは、まだうら若い異国の乙女でございました。ちょうどその時、部屋の中には誰もいなかったのですが、彼女は、何か嬉しいことでもあった様子で、小声で、不思議な歌を歌いながら、踊るような足どりで、そこへはいってまりました。そして、私のひそんでいる肘掛け椅子の前まできたかと思うと、いきなり、豊満な、それでいて、非常にしなやかな肉体を、私の上へ投げかけました。しかも、彼女は何がおかしいのか、突然アハアハ笑い出し、手足をバタバタさせて、網の中の魚のように、ピチピチとはね廻るのでございます。
それから、ほとんど半時間ばかりも、彼女は私の膝の上で、とき -
Posted by ブクログ
小学生の頃に読んだ少年探偵団シリーズを読んだ時に妙な心地悪さを感じてた。
乱歩作品を読んでると、ムズムズするというか、恐怖感?というか(スリル感?ゾクゾク感?)何というか言葉では言い表わせない不気味さ、心地悪さを常に感じる。
それが嫌いとかではなく、乱歩の味のある文体にいつの間にか虜になっていて最後まで一気に読破。
この短編集で江戸川乱歩という作家の作品を改めて読んでもやっぱり心地悪いw
でもやっぱりこの感じが他の作家さんでは味わえない唯一無二の天才的な感じがする。というか、江戸川乱歩って絶対にド変態だよな(良い意味で)w
マトモな奴がこの発想のこの文章書けるわけないw
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Posted by ブクログ
すごい、全部面白かった。
いろんな小説を読んできたけど、かなり個性的な文体なんじゃないかと思う。
読みやすい現代語表記に直されてるけど、原文も読んでみたいな。
総括して人を食ったような文章とお話、テンポはいいけど濃密な推理トリックで、天才肌っぽい印象を受けた。作者のキャラ立ちがすごい。
傑作選というだけあってどれもすごく面白かったけど、やっぱり最後の芋虫は異質かつ、悲劇的な結末までの流れもすごくよかった。あとめっちゃ変態。
ヘキしか感じない。
明智小五郎が出てくるサスペンスシリーズの中では心理試験がよかったな。
シンプルかつ鮮やかな手口で賢い犯人の失言を誘うのはすっきりした。
一気に好き -
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Posted by ブクログ
ネタバレこの作品は人間の心理の奥底に潜む異常性や狂気を見事に描きだした作品であると思います。物語の舞台は大正時代の東京。とある下宿で展開します。登場人物である郷田三郎は社会的に見たら成功者であり、一見平凡な青年です。しかし、実は「退屈」という感情に苛まれ刺激のない日々に苦しんでいるのでした。そんな彼が見つけた「屋根裏を散歩する」という奇妙な趣味はやがて犯罪へと繋がっていく・・というのが大まかなあらすじです。
この作品の印象的な部分は郷田の心理描写であると思いました。彼は決して金銭欲や復讐心で犯罪を犯すのではなく、「退屈を紛らわすため」というとても単純な動機で行動をします。普通のミステリーにはないそ -
Posted by ブクログ
ネタバレ赤い部屋ですから赤地に白文字なのがいい。勿論、黒地に白も。「その部屋は、私を、丁度とほうもなく大きな生物の心臓の中に座っている様な気持にした。私にはその心臓が、大きさに相応したのろさを以って、ドキンドキンと脈うつ音さえ感じられるように思えた。」こんなに好奇心を押し殺した深くて長い呼吸にぴったりの表現があるとは。しかも同じ思惑、趣味嗜好をもった集団だと言うのもこれだけで気持ち悪ほどありありと想像できる。あれだけ格式高かった赤い部屋が最後一気にチープになるのは夢から覚めたようで心地いい。割と最初から給仕の女性が描かれて殺人者の内面を表現するようにそれから何度も描かれているのが不思議だったが、最後ま