江戸川乱歩のレビュー一覧
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ネタバレこの作品は人間の心理の奥底に潜む異常性や狂気を見事に描きだした作品であると思います。物語の舞台は大正時代の東京。とある下宿で展開します。登場人物である郷田三郎は社会的に見たら成功者であり、一見平凡な青年です。しかし、実は「退屈」という感情に苛まれ刺激のない日々に苦しんでいるのでした。そんな彼が見つけた「屋根裏を散歩する」という奇妙な趣味はやがて犯罪へと繋がっていく・・というのが大まかなあらすじです。
この作品の印象的な部分は郷田の心理描写であると思いました。彼は決して金銭欲や復讐心で犯罪を犯すのではなく、「退屈を紛らわすため」というとても単純な動機で行動をします。普通のミステリーにはないそ -
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ネタバレ赤い部屋ですから赤地に白文字なのがいい。勿論、黒地に白も。「その部屋は、私を、丁度とほうもなく大きな生物の心臓の中に座っている様な気持にした。私にはその心臓が、大きさに相応したのろさを以って、ドキンドキンと脈うつ音さえ感じられるように思えた。」こんなに好奇心を押し殺した深くて長い呼吸にぴったりの表現があるとは。しかも同じ思惑、趣味嗜好をもった集団だと言うのもこれだけで気持ち悪ほどありありと想像できる。あれだけ格式高かった赤い部屋が最後一気にチープになるのは夢から覚めたようで心地いい。割と最初から給仕の女性が描かれて殺人者の内面を表現するようにそれから何度も描かれているのが不思議だったが、最後ま
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乙女の本棚シリーズを買う前には、どんな物語か事前に読んでおくことが多い。(イラストはどれも素晴らしいのは折り紙つきなので)
これも事前に読んだのだが、途中までは「ああ、これはちょっとやめておこうかなぁ…内容がエグい」といった感じだった。(江戸川乱歩もミステリーも、ホラーや怪談の類も好んで読んでいるんだけど)
しかし、ラストまで読むと「あ、これは買おう」となる不思議さよ。
後日、素敵なイラストがついた、この「赤い部屋」を購入。
この終わり方は結構好き。
そして、寿なし子さんの描く花ちゃんがとても可愛くて良い。終わりがけのイラストがまた良いなぁ。 -
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「明智小五郎事件簿」シリーズ全16巻もこちらで終了!
これは明智小五郎の関わった事件を発生順に並べたシリーズです。江戸川乱歩の執筆が戦後の小説のなかでも明智小五郎がある程度活躍している小説を取り上げています。
そのため児童向け読み物の収録はかなり少なくなっています。
この最終巻収録の『影男』は1950年1月から1954年にかけて、『赤いカブトムシ』は1954年5月18日から26日までの出来事です。
明智小五郎はもう60才…(^_^;)
あとがきでは「そろそろ明智も小林も引退、少年探偵団解散」と予測されてるけど、私は探偵事務所を小林くんが引き継いだのかと思ってます。少年探偵団員は資産家家庭も多い -
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ネタバレ〜記録〜
石榴→
ラスト5ページで全てがひっくり返る内容だった!ラスト石榴が爆ぜたような死に方の比喩がされたのは誰でもなかった人としての伝えた方をしたかったのかなあ、と
押絵と旅する男→
ワードとして押絵との間にレンズのような働きをするものをたくさん散りばめることで、より鮮明に見えているような錯覚を起こさせているが、正体はとても曖昧なものであるのが、魅力だと感じた
目羅博士→
模倣、鏡、月の光、、、全てが揃った時に起こる有り得ないけれど、もしかしたら起こってしまうかもしれないと思わせる殺人の方法にとてつもなく恐怖を感じた
人でなしの心→
タイトルに含まれる3つの意味
①本にある通り、この -
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明智小五郎の関わった事件を発生順に並べたシリーズ。江戸川乱歩の執筆が戦後の小説のなかでも明智小五郎がある程度活躍している小説が収録されています。
『サーカスの怪人』1952年の冬、『妖人ゴング』1953年3月の事件です。両方とも少年探偵団が中心の事件で、明智小五郎は出番が少なくなっています。
こちらの「明智小五郎事件簿」では、明智小五郎の経歴を推測しているのですが、それによると第二次世界大戦中には軍の諜報活動に従事していたのではないか?と考えています。その関係で戦後の混乱期は明智小五郎の出番も少なくなっているのではないか?としています。
読者としては「児童向けだから明智小五郎があまり出てこない -
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明智小五郎の関わった事件を発生順に並べたシリーズ。この巻からは江戸川乱歩の執筆が戦後の小説になります。なかでも明智小五郎がある程度活躍している小説を取り上げています。
『化人幻戯』は1949年11月3日〜12月21日、『月と手袋』は1950年2月〜5月・6月の出来事です。
『化人幻戯』も『月と手袋』も、題名が良いですねえ。
『化人幻戯』
探偵小説作家で明智小五郎物語著者として、江戸川乱歩が名前だけ登場!「江戸川乱歩の書いた明智小五郎の手柄話はほぼ創作」だそうです 笑 明智小五郎の事件序盤『D坂』とかに出てきた語り手は、江戸川乱歩本人ってことでいいよね。
今回は関係者が探偵小説大ファンとして、 -
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明智小五郎の関わった事件を発生順に並べたシリーズ。この巻からは江戸川乱歩の執筆が戦後の小説になります。なかでも明智小五郎がある程度活躍している小説を取り上げています。
『青銅の魔人』は1945年〜46年冬、『虎の牙』は1947年春、『凶器』は1949年6月15日〜28日の出来事です。
明智小五郎は50代、小林芳雄くんはもう「少年」ではないのですが、小説内では相変わらず「50歳になっても彼なりのお洒落をして、相変わらずモジャモジャ頭で朗らかに笑う」明智小五郎と、「リンゴほっぺの少年」小林くんなので、私も「概念上の明智小五郎と小林芳雄少年」として読んでいきます。…明智夫人の文代さんは30代のはずで