江戸川乱歩のレビュー一覧
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地獄絵だ。闇と死と獣性の生地獄だ。
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これはミステリーだろうか、ホラーだろうか、冒険小説なのだろうか。どれにも当てはまるし、どれでもなく「江戸川乱歩」というジャンルなのかもしれない。
江戸川乱歩の小説は『人間椅子』しか読んだことがなかったが、それと同様に「醜いものなのに(醜いもの故になのかもしれない)惹き込まれていく文体」を感じた。
悪意、復讐、性愛、偏愛、など「毒」がこの小説にはある。厄介なことにこの「毒」はクセになってしまう。読書の日常の思考にじわじわと侵入してしまう。とてつもない余韻を残し -
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中学生の時に読んで放心した作品。
主人公の婚約者が殺され、犯人を探すために雇った友人の探偵が殺され、原因を探るために自分に好意を寄せる青年医師と行った孤島で、、、あらすじを書くとありふれているのだけれど、被害者の主人公よりも相手役の方が不憫でしょうがない。
似ているものだとオペラ座の怪人を思い出す。主人公の視点のようで、物語としては怪人の一生をかけた破滅を描いたものだ。
この作品の主人公が哀れなはずが、自覚のない、そんなはずはないと思う、行動が相手役の心を揺さぶるは尊厳を踏みにじるわでなんだかイライラしてしまう。
孤島にいる鬼と出会い、鬼になりはててもいいと全てを諦め、そして助かり、最後の2行 -
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★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私…
こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。
謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。
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密室殺人・衆人環視下での殺人、この2つのトリックを使った殺人事件は……序章に過ぎなかった!
故人から送られてきた謎の手記に乱歩独特のおどろおどろしい猟奇あり!
先祖代々受け継がれてきた家系図に、意味深な書き付け!謎解き宝探しあり!
不気味な見た目の住人がいる孤島で行われている恐ろしいビジネスの正体とは!?
さらに小悪魔系主人公(男)と、みんな大好き諸田くんとのBL要素……。
さすが乱歩に「自身の長編の中では1番出来がいい」と言わしめた作品だけあって、すこぶる楽しめた。上にあげたような、普通なら1つのテーマで1話作っちゃうような話がこの長編には詰まっている。最後に怒涛の伏線回収がすごい。いっ -
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ネタバレ⚠️今作の内容のほかルブラン・クイーンの小説に関する話も少しします
幼少時に読んだポプラ社版少年探偵団シリーズ。買ってもらったのはうちごく一部だったが、私が読書にのめり込むきっかけとなったことは疑いようもない大切なシリーズだ。大人になったことだしと、新潮社版を手に取った。
懐かしい語り口、小林君をはじめ懐かしい面々、時代は感じるものの完成された世界観は期待通りだった。少年漫画のような勧善懲悪・スリリングな展開ながら、飽きることもなくおどろおどろしい雰囲気に没頭できる。
ルブランの『怪奇な家』クイーンの中編『神の灯』(陽光の入りから謎が解けることも似ている)などミステリ史ではやや王道とも言え -
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角川ミステリーに収録されている「芋虫」が伏せ字が酷くて本書を購入。「芋虫」は良かったのは言うまでもないが、「人間椅子」「虫」など人間が無意識下に封印しているが確かに持っているであろう残虐性・異常性が描かれた作品がすばらしく、乱歩の虜になってしまった。なお、本書は全短編集であるがゆえに「悪霊」や「空気男」のような途中で取りやめになった作品も納められていて、ジャズのコンプリート版のようにある程度我慢して鑑賞しなければならい部分もある。
本書に納められている作品の中での一番のお気に入りは「人間椅子」。家具職人が椅子を改造して中に入り込み、座る部分に太もも、肘掛けに手、背もたれに胸といった具合でその