江戸川乱歩のレビュー一覧
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江戸川乱歩のもとに小説の材料として売り込まれた記録から話は始まる。資産家の美しき姉崎未亡人が密室の土蔵で全裸で殺されていた。現場に残されたメモに書かれた奇怪な記号。事件前に目撃された矢絣の女。死を予言した黒川博士の盲目の養女。邸前の空き地にいるいざりの乞食。未亡人を取り巻く心霊学会の仲間たち。心霊学会が降霊術を行うと、盲目の養女に降りた霊が「犯人はこの中にいる」「次の犠牲者はこの中にいる美しい人」と言う。
雑誌「新青年」に連載された乱歩の「悪霊」はもともとここまでで中絶するのだが、芦辺拓はこのあとを切れ目なく繋げて真犯人を提示、さらには乱歩が中絶した理由まで説明してしまうのだ。どこが切れ目なのか正直見分けがつかないくらい、耽美的で猟奇的でグロい乱歩の世界観を見事に再現している。乱歩本人ではなく乱歩ファンの芦辺拓が乱歩の世界を書くんだからそのツボは見事にファンの心を押さえている。200ページほどなので一気に読んでしまった。 -
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地獄絵だ。闇と死と獣性の生地獄だ。
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これはミステリーだろうか、ホラーだろうか、冒険小説なのだろうか。どれにも当てはまるし、どれでもなく「江戸川乱歩」というジャンルなのかもしれない。
江戸川乱歩の小説は『人間椅子』しか読んだことがなかったが、それと同様に「醜いものなのに(醜いもの故になのかもしれない)惹き込まれていく文体」を感じた。
悪意、復讐、性愛、偏愛、など「毒」がこの小説にはある。厄介なことにこの「毒」はクセになってしまう。読書の日常の思考にじわじわと侵入してしまう。とてつもない余韻を残し、忘れられない爪痕を残す。
諸戸道雄がこんなに魅力的なキャラクターになるとは思わなかった。最後の章のタイトルは「大団円」であったが、切なさを残す終わり方も余韻を増幅させている。
学生時代の最後にこの本を読めて良かった。 -
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中学生の時に読んで放心した作品。
主人公の婚約者が殺され、犯人を探すために雇った友人の探偵が殺され、原因を探るために自分に好意を寄せる青年医師と行った孤島で、、、あらすじを書くとありふれているのだけれど、被害者の主人公よりも相手役の方が不憫でしょうがない。
似ているものだとオペラ座の怪人を思い出す。主人公の視点のようで、物語としては怪人の一生をかけた破滅を描いたものだ。
この作品の主人公が哀れなはずが、自覚のない、そんなはずはないと思う、行動が相手役の心を揺さぶるは尊厳を踏みにじるわでなんだかイライラしてしまう。
孤島にいる鬼と出会い、鬼になりはててもいいと全てを諦め、そして助かり、最後の2行に行き着いたのかと思うと、他にラストはなかったのか、いやここにしか落ち着けなかったんだと放心してしまう。
誦じられるほど衝撃だった。 -
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★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私…
こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。
謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。
本作は江戸川乱歩が途中休載してしまった『悪霊』に対して、芦辺先生が続きを追加した作品。さらに単に物語を紡いだだけではなく、なぜ乱歩は休載することになってしまったか、なぜ乱歩殺人事件というタイトルになっているかなど、非常に手が込んでる。二度三度美味しい仕掛けが技ありですね。
個人的には乱歩が書いた問題提示がめちゃくちゃ面白く、どんな真相を描いてくれたんだとワクワクしてたんですが、これが素晴しかった。伏線っつーか、乱歩のオリジナルの文章の中から怪しいところを拾い上げて、それを推理につなげていくんですが、犯人と動機、隠されていた真実がかなり衝撃でした。謎解きの納得感が高く、しかも乱歩の世界観も保たれてる。
目ん玉が飛び出たのは、紙に書かれた「符号」の解答ですよ。乱歩だったらありえる、そうだったのかも!と思えるほどで、精神にくる解答に打ち震えましたね。
■ぜっさん推しポイント
芦辺拓先生のあとがきにもありますが、乱歩愛が満ち溢れていて嬉しくなります。こんなにも愛せる作家がいるなんて、ホント幸せなことですよね。
そして乱歩の歴史から作品から何から何まで、よくここまで調べました。研究書としてもあっぱれな作品で、きっと今年を代表するミステリーの一冊になるでしょうね。 -
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密室殺人・衆人環視下での殺人、この2つのトリックを使った殺人事件は……序章に過ぎなかった!
故人から送られてきた謎の手記に乱歩独特のおどろおどろしい猟奇あり!
先祖代々受け継がれてきた家系図に、意味深な書き付け!謎解き宝探しあり!
不気味な見た目の住人がいる孤島で行われている恐ろしいビジネスの正体とは!?
さらに小悪魔系主人公(男)と、みんな大好き諸田くんとのBL要素……。
さすが乱歩に「自身の長編の中では1番出来がいい」と言わしめた作品だけあって、すこぶる楽しめた。上にあげたような、普通なら1つのテーマで1話作っちゃうような話がこの長編には詰まっている。最後に怒涛の伏線回収がすごい。いっぱいあったのに全部綺麗に収まった不思議。諸田くんのその後のお話で、色物のハズのBL要素も読後感にかなり大きな影を落とす。
最終的には世間狭過ぎ!!というツッコミがないわけでもないけど、それを含めて島の因縁や血筋の呪いなのかと考えれば、納得できる。
奇形や不具者が出てくるので、ドクターモローの島から取って諸田くんでいいのかな。
とても面白かった。 -
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ネタバレ⚠️今作の内容のほかルブラン・クイーンの小説に関する話も少しします
幼少時に読んだポプラ社版少年探偵団シリーズ。買ってもらったのはうちごく一部だったが、私が読書にのめり込むきっかけとなったことは疑いようもない大切なシリーズだ。大人になったことだしと、新潮社版を手に取った。
懐かしい語り口、小林君をはじめ懐かしい面々、時代は感じるものの完成された世界観は期待通りだった。少年漫画のような勧善懲悪・スリリングな展開ながら、飽きることもなくおどろおどろしい雰囲気に没頭できる。
ルブランの『怪奇な家』クイーンの中編『神の灯』(陽光の入りから謎が解けることも似ている)などミステリ史ではやや王道とも言える双子の家トリックゆえすぐに看破はできたが、二十面相との対決にするりと移行していて退屈しなかった。思い出補正もあり☆5。ミステリを求める人には物足りないが、少年漫画的な栄養を得られる。