江戸川乱歩のレビュー一覧
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角川ミステリーに収録されている「芋虫」が伏せ字が酷くて本書を購入。「芋虫」は良かったのは言うまでもないが、「人間椅子」「虫」など人間が無意識下に封印しているが確かに持っているであろう残虐性・異常性が描かれた作品がすばらしく、乱歩の虜になってしまった。なお、本書は全短編集であるがゆえに「悪霊」や「空気男」のような途中で取りやめになった作品も納められていて、ジャズのコンプリート版のようにある程度我慢して鑑賞しなければならい部分もある。
本書に納められている作品の中での一番のお気に入りは「人間椅子」。家具職人が椅子を改造して中に入り込み、座る部分に太もも、肘掛けに手、背もたれに胸といった具合でその椅子に座った人の体格や体温を体で感じとる。そしてある婦人に恋をする。家具職人は椅子の中にいるので婦人の顔は見れないが、婦人を体で感じ恋してしまうのだ。アニメのキャラクターに恋するような心境と似ていないでもないが、恋の対象についての情報は極端に限られているので感覚を研ぎすませてもっと相手を知ろうとする集中力と不足した情報を補う妄想が必要であり、ビビッときたような、突然雷に打たれたような、文字通り「落ちる」恋ではない。少しずつ少しずつ、相手への想いを積み上げて醸成される恋である。オタクや変態のさらに先にあるような恋である。なんと切なくも激しい恋ではないか。 -
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ネタバレ鬼というフレーズが作中何度も出てきますが、みんな鬼であり人間です。良い意味でも悪いでも、一度執着したものを忘れることなんて出来ないんですね。道雄の蓑浦くんへの愛も、蓑浦くんのどこまでも初代と初代と同じ血の緑への愛も、そのまた丈五郎の復讐心も。
個人的には蓑浦くんの、諸戸さんが自分のことをを好きであるということを自覚した上でそれを利用している部分も、死に際にも諸戸の愛を受け流すことはできても受け入れることはできないと逃げ出す場面が印象的ですね。ただ、そんな不思議と周りを振り回すかのようなどこか少年心を感じさせる蓑浦くんに諸戸さんも心離れられなかったのでしょうか。諸戸さんにとっての幸せとはなんなんだろう? -
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これは予測不可能(°д° )!!
恋する明智小五郎がとても良い♡
資産家の娘、玉村妙子に惹かれる明智。
彼の叔父、善太郎の元に、毎晩カウントダウンのような手紙が届く。
見張を立てても、いつの間にある手紙。
まるで魔術のよう。
カウントダウンが『1』になる残り数日、明智小五郎に謎を解く依頼をするが、明智は誘拐されてしまう。
その後の展開が面白くてたまらない(*´艸`)!!
叔父の首が切断され———。
これはかなり好みの作品♡
うわ〜。
さらっと描かれているが、結構グロい。
文体がそう感じさせないので、ねっとりした印象ではなく、とても良い!
明智さん、40手前で恋に落ちたか…♡
しかも面食い(*-∀-*)
犯人のやる事なすことセンスがいい。
なにげに残虐非道!!
好きだわ〜!!(〃´-`〃)
短編【黒手組《くろてぐみ》】も収録。
神出鬼没の誘拐犯グループ『黒手組』。
富豪の子が誘拐され、身代金を請求してくる悪徳犯。
熱海旅行中に、叔父の娘が誘拐されたと連絡を受け、急いで帰宅する事に。
こちらも面白い。
終始綺麗にまとまった作品。
明智さんの粋な計らいが凄くいい✧
乱歩・ポー・夢野久作・ラヴクラフト作品、今後沢山読んでいきたい!!
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Posted by ブクログ
某古本屋を探索中にこちらを発見。ファンの中では1番の傑作との呼び声も高い本作、自称乱歩ファンの私なんと未読でした。(ファンの名を返上しよう…)
こりゃあかん!表紙も格好良いし買うぞ!と手に取った私、帯の裏に気付く。「乱歩が遺した最高傑作にして唯一の同性愛小説!」とそれはもうピンクの字で強調されている。
そう言われるとそうにしか見えない装丁(でも本当に格好良くて面陳にして飾ってます)勇気を振り絞りレジへ。
「頼む!裏返さないでくれ!あっ!だめっ、あかん!!いやぁぁあああ!!」
店員さんは気にしていないだろうに、ノミの心臓なのでそそくさと退店したのですが、本作はホラーミステリーの様相を呈した純愛物語でした。
今回は2つのテーマに分けて感想を書いてみます。
かなり長くなりますので、気が向いた方はお付き合い下さい。
【ミステリー】
主人公の蓑浦の独白で物語は進むのですが、冒頭からぐいっと引き込まれる世界観の作り方が流石は乱歩さん!30代にして頭髪が全て白くなってしまった程の恐ろしい体験が今から語られるというのに、こちらも期待を胸に恐怖に備えます。
蓑浦の婚約者が密室殺人で殺された後、探偵役の深山木までもが群衆の中で殺害。この後に探偵役を引き継ぐのが、同性である蓑浦に10年以上も片思いをしているThe一途な男、諸戸。
非常に頭が切れるので割と早くにこの2件の不可能犯罪については解決します。この犯人も驚きでしたが、凄いのはここから。
2人の死に共通する点を探っていく内に、いよいよおどろおどろしい乱歩ワールドへ突入。
「孤島の鬼」とは一体何なのかが明らかになった時は恐ろし過ぎて私も白髪になる所でした。
今では禁止用語になる「かたわ」等の用語がバンバン出て来ますし、なんならこの物語自体が発禁スレスレなのでは…と思うと、2015年に再販して下さった出版社には感謝です。
話が逸れましたが、ミステリーとして話の構成が素晴らしく、エピソードの一つ一つに全く無駄がありません。点と点が線になるとは正にこの事。諸戸が蓑浦を愛する理由と、それ故の行動にも全て意味があり改めて乱歩さんの凄さを見せつけられました。
【恋愛(悲恋)】
乱歩さんの文章があまりにも美しいが故に、生々しいシーンは無いのに諸戸が蓑浦の手を握るだけでエロス満載になってしまいます。
2件の殺人について蓑浦の肩を抱きながら囁くように推理を話す諸戸。前代未聞、どんな探偵役やねん?!蓑浦曰く「いつもの愛撫の表情がうせて」いつもどんな顔してんねん?!と、突っ込みが止まりませんがうっかり危ない道に走りそうになりました。(諸戸が良い男すぎるのが原因です)
しかし蓑浦はノーマルなので運命の女性と言い切る初代を愛していますし、初代が死んだ後も彼女の灰を喰らう奇行に走る程の熱愛ぶり。
しかし諸戸は一貫して変わらぬ熱愛運動(作中で何度も求婚する事を求婚運動と書いてたのが妙にツボってます)に励むのに、もう頼むから諸戸のモノになってくれ!と切に願っていた私を尻目に、なんと蓑浦はとある驚きの女性を愛してしまいます。
これには何故?!と度肝を抜かれましたが、これにもしっかりとした理由がありやはり乱歩さんには叶わないのでした。
しかし私は蓑浦に物申したいのです。
君、諸戸を拒絶してる癖に、彼の気持ちを知っていて甘えたり思わせぶりな態度をしてみたり…酷いじゃないか!改めたまえ!!!
という私の叫びも虚しく、諸戸の悲恋は最も悲しい形で終わりを迎えるのでした…。
蓑浦の為に新しい恋人の体を手術して治してあげる諸戸。我が身も危ないのに蓑浦を勇気付けて守ろうとする諸戸…。
最後の一文があまりに切なく、私が美青年なら諸戸を幸せにしてあげられたのになあ…と訳分からぬ事まで考えてしまう始末。(レーエンデ国物語の時とは真逆の意見)
という程に、ミステリーにも悲恋物語にもどっぷりと浸れる名作でした。
最高傑作と仰る方の気持ちも頷けますね。
安易にはオススメできませんが、耽美ホラーな世界がお好きな方はハマると思います。
しかし、悲しい…。諸戸…涙。 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、江戸川乱歩さんと夜汽車さんのコラボ作品「人でなしの恋」です。夜汽車さんのイラストは可愛い~けど、このお話はちょっと怖いのか…はい、怖かったです(^-^;)
19歳の京子が嫁いだ先は、家柄のよい名家門野家…夫の門野は京子を慈しみ愛してくれたこともあって半年ほどはとても幸せな生活を送っていたのだが、その後夫の行動に不信感を抱くようになる…。ついに京子は、夜な夜な蔵に行くようになった門野を追いかけるのだが…。夫は、「人でなしの恋」、この世の外の恋に溺れていた…。
「押絵と旅する男」と雰囲気がちょっとだけ似てるかな…。端正込めて作ったものには命が宿る…髪とか伸びたりしたら(;゚Д゚)いやいや…そんなことはないけれど…。それに、夫が「人でなしの恋」に溺れたとわかっただけでも度肝を抜くのに…その後にとった京子の行動が…。なんともなんとも、怖いお話でした。でも、読みやすい作品だったし、いい感じに私の好みです。