江戸川乱歩のレビュー一覧
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明智小五郎の解決した事件を作中の年度順に並べるシリーズの第2巻。
1巻ではアマチュア探偵だった明智小五郎も2巻では手伝いをしている(探偵助手とか見習い?)若者は数人いるし、警察にもすっかり顔が利く。服装は1巻の和服から、上海帰りのためなぜか支那服 笑。
くしゃくしゃの頭をかき回して人懐こく笑うのは相変わらずです。
明智小五郎は長いの間上海に滞在していて、戻ってから半年くらいは探偵仕事もせずにいたらしい。そんな明智小五郎の興味を引き、探偵復帰となったのが『一寸法師』事件。
巻末の解説によると、『屋根裏の散歩者』のあと上海に渡り、その期間に関東大震災が起こり、しばらくしてから帰ってきた計算になるみ -
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明智小五郎を探偵とした短編集を作中事件発生順に並べ替えたシリーズです。巻末の解説で、どうやって作中事件の日時を推察したかが書かれています。これがまさに探偵のお仕事のようで、本編も解説も楽しめます(^o^)
一巻の明智小五郎はまだ素人探偵の25歳くらいの「青年」。絣の着物を着て、もじゃもじゃの髪の毛をくしゃくしゃにかき回す癖がある。だんだん明智小五郎が大人というか有名というかダンディー(?)になって洋服着用になり、この着物にくしゃくしゃ頭の人懐っこい探偵は金田一耕助に引き継がれましたね。明智小五郎が推理において大切にするのは人間の心理としています。
最初の事件『D坂』以前の明智小五郎の生い立ち -
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途中からどんどんドライブがかかって読める感じ。
前半で様々な事が起こり(本の厚さの1/5くらい?)、
この犯人探しであと4/5も保つの??って思ったけど、
そこからの展開が想像以上にスゴ過ぎた。
生い立ちの不幸から性嗜好が歪んだと思ってしまった諸戸、
育った環境が明るみになるにつれ本当に心が痛くなる。
犯人探しも主体は諸戸だし、
『私』からも故意に弄ばれたり軽くあしらわれたり、
諸戸の気持ちを想うと読んでてツラくなる。
変にナルシストで優柔不断な『私』に腹が立ったりもする。
そんな諸戸への想いが連なって、
ラスト危うく泣くとこだったよ。
幸せにしてあげて欲しかったな。
しかし本当に思いもよ -
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全て面白かった。強いて言うなら、私の想像力と理解力が乏しく、『二銭銅貨』をあまり楽しめなかった。個人的にずっと読んでみたかった『人間椅子』を読めて嬉しかった。後半3遍『人間椅子』『鏡地獄』『芋虫』のホラー、怪奇の畳み掛けが凄かった。『芋虫』ずっと顔しかめながら読んでました。怖かった。終わり方もあー、、、ってなる終わり方でした。でも最後の時子言葉が綺麗というか、読ませるねえって感じで面白かったです。全然嫌な終わり方じゃなかった。後味は悪いけれども。『D坂の殺人事件』、個人的に江戸川乱歩の一番有名な作品くらいに思ってたからどんな話かなって思ってたけど、オチにびっくりした。笑 非常に面白かったです。
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*陰獣*
明智小五郎事件簿I〜XIIまで読んだあとに読むと、
『あれこれ誰目線で書いてる?』と一瞬戸惑った笑
主人公の優柔不断な感じは乱歩本人の性格の投影?
ちょっとモヤっとする終わり方も、
主人公の優柔不断さを考慮すればアリか。
*蟲*
もうこっちのストーリーの方が強烈すぎて、
読み終わった時『陰獣』の内容忘れかけてしまったわ。
若かりし『かれ』に誰か『人はそんなにあなたの事を真剣に見てないよ』と伝えてあげといて欲しい!!
後半、状況の不気味さとかれの壊れっぷりが加速して、
とっても気持ち悪くてとっても良い。
こっちにまで臭ってくるような錯覚をしそうだった。
面白かったです。 -
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日本の推理小説の元祖としてはじめは手に取ったものの、「日本の文学」「日本の芸術作品」として江戸川乱歩のファンになっている。
日本語の表現の奥深さ(熟語とか、カタカナの使い方とか)や、大正から昭和の雰囲気を感じられて楽しい読書時間だった。
本書では『赤い部屋』が好きだった。後で調べて知ったが、今で言う「未必の故意」の心理状態を扱う作品。その当時はこんな考え方もなかったのか?そこを思いついたのだとしたら江戸川乱歩やっぱりすごい…
解説にも下記のように説明されてあるが、何度も読見返して味わいなおしたい作品ばかりだった。
> 一般に探偵小説は、犯人が判ってしまうと再読に耐えない。だが、乱歩の -
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江戸川乱歩の生誕130年記念で刊行された、文庫オリジナルの江戸川乱歩の座談・対談・鼎談集。中公文庫から出るというのは意外だが、江戸川乱歩の小説や随筆は現在でも比較的容易に読むことができるが、座談や対談・鼎談などは単行本に収録されることは希で読むことが難しい。現在でも入手可能な光文社文庫版の江戸川乱歩全集には座談や対談・鼎談は収録されておらず、光文社文庫版全集の前に出た講談社の江戸川乱歩推理文庫の64巻は「書簡 対談 座談」ではあるが、収録されているのは本書にも収録されている長田幹産、徳川夢声との対談、佐藤春夫・城昌幸との鼎談の3編のみのうえ1989年刊なので新刊での入手は難しいだろう。それ以前
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ネタバレ正義と悪が対立する作品において、魅力を決定づけるのは悪役だと思う。ある程度言動や人物像が予想できる正義の人物よりも、予測がつかない悪役のほうが魅力的だ。その点でこの作品の悪役は素晴らしく、この作品を大変魅力的なものにしている。
『大暗室』の悪役である大曾根龍次は生粋の悪人だ。本人もそれを自覚しており「僕は地獄の底から生まれてきたのです。悪こそ僕の使命なんだ。」なんて言っている。悪役に、悪に染まった理由など必要ない。訳の分からぬまま悪であるほうが魅力的だ。悪になった理由や経緯・過去などがあると、恐ろしさや得体の知れなさが薄れてしまう。現代では人間のあらゆることが分析や説明の対象となっているが、フ -
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江戸川乱歩の生誕130年記念で刊行された、文庫オリジナルの江戸川乱歩の座談・対談・鼎談集。中公文庫から出るというのは意外だが、江戸川乱歩の小説や随筆は現在でも比較的容易に読むことができるが、座談や対談・鼎談などは単行本に収録されることは希で読むことが難しい。現在でも入手可能な光文社文庫版の江戸川乱歩全集には座談や対談・鼎談は収録されておらず、光文社文庫版全集の前に出た講談社の江戸川乱歩推理文庫の64巻は「書簡 対談 座談」ではあるが、収録されているのは本書にも収録されている長田幹産、徳川夢声との対談、佐藤春夫・城昌幸との鼎談の3編のみのうえ1989年刊なので新刊での入手は難しいだろう。それ以前
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ネタバレめちゃくちゃ面白かった!!!前半は実際に乱歩が書いた『悪霊』で、後半はその事件の推理パートという構成。悪霊を読んだことがなかったのでどこまでが実際の悪霊なのか初めはわからなかったけど、推理パートの探偵役が乱歩自身だったから気づいた。(本作では乱歩は実際の作者じゃないとされていたけど)作者自身が作品の中で探偵役になるという構図が斬新。原作の雰囲気を壊さず、事件の謎全てに納得のいく説明をつけて未解決事件を1つの解決に導いたのすごすぎる。しかもちゃんと面白い!最後が怒涛の展開であまり頭を整理できていないまま一気に読んだので、真相を知ったうえでまた読み直したい。
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