江戸川乱歩のレビュー一覧
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文句なしの傑作ですよ、これは!!!
まあ、多少「乱歩贔屓」も入っているかもしれませんが(笑)、それ抜きにしたって「★★★★★」の価値はある。
特に、「孤島の鬼」。
ミステリとしても、意表を突くトリックで息をのみ、また、裏で蠢く陰謀にもゾクリとさせられる。
そして、登場人物は魅力的。秀ちゃんは、今で言う「萌え」要素を十二分に持っている。ああいうさりげない「萌え」が丁度いい。
そして、諸戸道雄。男色趣味は無いが、しかし、同情は誘う(といったって、私は箕浦×秀ちゃん派)。
そして、「猟奇の果て」。
読みながら、筋の運び方に違和感。
やっぱり、本書に入れられている「もう一つの結末」が、乱歩らしいオチのつけ方であって、自然だと再確認。だが、「もう一つの結末」を採用すると、色々と無理が生ずる。一つ言えるのが、乱歩は明らかに「地の文で嘘をついている」ということ。心理描写で矛盾した感情を、三人称で語るのはNG。そういうものの、本来の筋でも、うーんと唸らざるを得ない。
諸々の矛盾に目を瞑り、「もう一つの結末」を採用するのが、落ち着きどころか。
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Posted by ブクログ
ネタバレ半数は再読。「空中紳士」等は初読。
・「踊る一寸法師」
最初の描写の痛ましさと言ったら。「芋虫」でも存分に発揮されていたが、ああいう厭な情景描写は、読む者に或る種の「嫌悪感」だとか「厭世感」を与える。乱歩は特に、よく与える描写を得意としているように思う。筋については、乱歩作品を読んでいれば何となく予想のついてしまうもの。
・「毒草」
「堕胎」という微妙な社会問題を扱っていたせいか、左翼方面からの評判は宜しかったらしい。だが、乱歩がそのようなことを考えて書いていなかった事は、乱歩自身も述べている通りである。乱歩としては、本作を通じて、「堕胎の恐怖」というものを描いたということであるが、若干的を射ない表明ではないかとも思う。と言うのも、堕胎行為に対する恐怖を描いているというよりも、その行為に対する人々の心理に主眼を置いて描いているとしか読めないからだ。
・「覆面の舞踏者」
巻末で新保博久さんが「いただけないもの」として(というのも、男は兎も角、女の方で取り返しのつかなくなる前に必ず気づいて回避するはずだ、ということから)評価しているが、果たしてそうも言いきれるかどうか、ということを直感的ではあるが思う。心理的なものを含めば(一時の過ち、というもの)、全く成立しないとは言えまい。
・「灰神楽」
乱歩曰く、「無理に絞り出してこね上げたもの」らしいが、読むとそんな風に書いたとも思えない。多分、多少自信を持って書いたにも拘らず、「全く黙殺」されてしまったから、悔しい思いもあってそういう評を本作に下したのであろう。火鉢の中に小道具(ボール)を忍ばせて、まるで偶然が重なったための過失死なのだ、と思わせる手。そして、実は火鉢は当日とは別物で、そんなボールが入っているわけもないのに、どうしてそこから出てきたのか、という矛盾から破滅を来す犯人。乱歩好みの結末の付け方であるが、世間としては乱歩の言う様な「妙な味」が一切しない(私に言わせれば、結末の付け方で十分「乱歩味」が出ている)から、あまり興味を剥かせるだけの魅力を本作が持ちえず、黙殺と言う結果になったのだろう。
・「火星の運河」
乱歩の青年時代の夢をもとにしているらしい。「パノラマ島綺譚」に共通する「幻想性」が本作にはある。
・「五階の窓」
乱歩に連作の初っ端を任せると、少々、いや結構な暴走っぷりを発揮してしまうから、後々が大変になるだろうというということをいつも読みながら思ってしまう。乱歩は少なくとも、私が知る限り「江川蘭子」でも暴走していたように記憶している。今回はやたらめったら伏線だか何だかわからないものを拵えすぎているのが、主暴走であろう。乱歩もその点、「僕自身の失敗について云えば、どうでも筋が運べる様にと、その点を考え過ぎて、疑問の人物を無闇に拵えたことだ」と述べている。私も、某大学某推理小説研究会にて、リレー小説なるものに参加し、尻尾の方を任されたが、本当に筋を纏めるのに苦労した。それというのも、やはり、伏線ばっか考えずに乱発されたせいなのだが。
・「モノグラム」
学生時代、好きだった子が実は盗人だったなんて事実を、偶然にも知ることとなってしまったら、やはり厭なものだろう。
・「お勢登場」
非道い。
・「人でなしの恋」
むしろ、人形で良かったと思う。私の場合、人形であるというのもフェイクで、実は……ということも考えた。
・「鏡地獄」
鏡偏執狂とも言うべき者の、破滅までの話。
・「木馬は廻る」
メリーゴーラウンドの真ん中でラッパを吹く男の、甘酸っぱい話。結構通俗的だが、地味に良い筋。少女も調子良いな。
・「空中紳士」
連作ではなく、合作。ただ、主に乱歩が筆をとって書いたと言われる。部分部分、雑な文章構成の部分が見受けられる。が、後半になってくると調子が出てきたように、生き生きしてくる。
文字通り、雲隠れできる飛行機やら、獅子の着ぐるみでどうのこうの、という展開は後の作品にもよく見受けられる着想。
・「陰獣」
乱歩得意の、「結末に余韻を残す」作品。然し、本作は本来の効果として
十二分に屋台骨を支えている。話としても、面白いものに仕上がっている。
・「芋虫」
本当に、良い意味でも悪い意味でも「気持ち悪い」。読んでいて、うえっと思わせられる作品。多分、丸尾末広の「芋虫」を読んだ後と言うのも影響しているとは思うが……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読。内容はネタバレ含む(覚書のため)。
・二銭銅貨
「南無阿弥陀仏」の暗号。「ゴジャウダン」は傑作だと今でも思う。点字に目をつけたところもなかなか。
・一枚の切符
博士夫人が轢死体で見つかり、殺人容疑で博士が逮捕。重石と飼い犬を使ったトリック。ただ、夫人が本当に「犯人」かどうかはぼやかされている。
・恐ろしき錯誤
火事で妻を失った夫が考えだした、犯人あぶりだしの方法。妻が大事にしていたロケット(実際はそんなもの、そもそもなかった)に各人の顔写真を張り付けておいたものを使い、脅しをかけてみるという手法だった。着想もいいし、オチのつけ方も格好をつけて、珍奇なものにしていないところがまたよし。
・二癈人
夢遊病者と「思わせる」というトリック。当時としては、斬新な発想だったのではないか。
・双生児
一卵性の双子の入れ替わりは古典的だが、このお話のメインテーマは「指紋」。指紋のネガティヴ部分を勘違いして、兄の指紋だと錯誤してしまった。
2013/01/02追記:この作品のトリックは某有名海外推理小説家の某作品にもある。
・D坂の殺人事件
人間の記憶なんて頼りない、というテーマをもとに書かれた作品。実際のトリックよりも、「私」が、「格子のせいで、見る位置から服の色が違う風に見えた」という推理したことがやたら頭に残ってしまっていた。
・心理試験
蕗屋の人となりがいいね、好み。因みに蕗屋のモデル(というか着想)は『罪と罰』のラスコーリニコフから。駆け引きの過程が好み。
・黒手組
暗号の一面として、糸を使ったトリックに似たきらいがあることが指摘されよう。明智が二組のカップルの月下氷人となった作。しかし、罪作りな娘よ。
・赤い部屋
ブラックユーモアがあって好き。アニメにもなっているが、あれよかやはり原作の雰囲気がいい。
・日記帳
恋を表す方法に、切手を斜めに張るものがあると知ったのはこの作品から。哀愁が漂う。
・算盤が恋を語る話
そろばんを恋文の代わりとして使う男の話。偶然がかくも残酷とは。
・幽霊
明智がまさか登場しているとは。死んでいると思われた人が、実は生きていたという話。戸籍謄本の偽造は今では出来ぬだろう。
・盗難
新興宗教の金庫からまんまと大枚をせしめた盗人の話。
・白昼夢
屍体を屍蝋にした男の話。
・指環
「全く黙殺された」話らしいが、そんなに駄作とも思われない。
・夢遊病者の死
「花氷のトリックは、西洋の作品にも前例がない」と乱歩自身評しているが、類したものなら前例はあるように思われる。また、本作のようなトリック一本槍の話は歓迎されなかったと嘆いているが、本作に限って言えば、そう評されても仕方なかったように思う。夢遊病をテーマにした「二癈人」のほうが着想も筋もいい。
・百面相役者
アイデアは好き。どんでん返しは少々安易。
・屋根裏の散歩者
明智は好きだが、むりくりに登場させなくてもよかったと思う。
・一人二役
しっかりと落とせている。実話が下敷き。
・疑惑
変に凝りすぎて、やや冗長のきらいがある。「無意識」の殺意をテーマにした意欲作。
・人間椅子
大好物。城昌幸氏の「怪奇製造人」につながるものがある。
・接吻
無賃で「やッつけ」で書いた作品。好き勝手やった感じがそこはかとなく出ていて好きである。写真の撮り違えの描写など、若干取ってつけた感じがあって想像しがたかった。 -
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引越しの果てに捨ててしまった江戸川乱歩全集。その中で最初に出会い、衝撃を受けた本。およそ小学生が読む本ではなかった。しばらくの間、死肉を自分の指で触った感触がぬぐえないで怖かったのを覚えている。
おどろおどろしていたのは江戸川乱歩共通か。押し絵と旅する男、などは好きだった。おませな小・中学生だった。
当時の表紙は現在のように淡々としておらず、たいへん、奇妙でありながら、どうしても手に取りたくなる不思議な魔力があった。数十年後、古書店で1冊探し当てた。思いのほか高くなかったのは文庫だったせいと思う。春陽文庫、高塚省吾氏装丁である。タイトルは「屋根裏の散歩者」
この書庫の表紙画がいつが自分の本であらわせたら…(特に愛蔵本は)いいのだが、と思う。 -
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ネタバレすぐに内容を思い出せるように記録。
完全なるネタバレにつき注意。
踊る一寸法師
・サーカスの一団
・明るいグロテスクさ
毒草
・堕胎の毒草
・先の読める展開
・姦通と堕胎が悪とされていた戦前ならではの感覚が強く出る。
覆面の舞踏者
・じゃぁ自分の妻は誰と寝た?事実を知った後味の悪さ
灰神楽
・心理試験?のバレ方と少し似ている。ボールを入れた火鉢は当時あった火鉢とは別のもの。
火星の運河
・散文詩。文章の組み立て、選び方、とても好き。幻想的で少し物悲しい。
五階の窓
・合作小説の始まり部分。
モノグラム
・昔好きだった女性の形見に自分の写真が?しかしこれは自分の奥さんの持ち物で、女性は盗み癖があったと判明。昔の思い出のままでいてほしいことってありますよね。
お勢登場
・ひたすらにご主人がかわいそう。
人でなしの恋
・人で、無し。二次元にひたるとこうなるのだろうか。
鏡地獄
・狂気の沙汰。あまり触れたことのない次元の想像力。
木馬は廻る
・別段可愛いわけでもないのにモテるとは羨ましい。スリが盗ったお金で良いショールを買ってあげようとする、その盲目っぷり。
空中紳士
・長編。響晰の正体が明かされたときの驚きったらない。
・乱歩作品によくある、「読者諸君、」という書きぶりが多く見受けられる。読んでいて非常に楽しい。
陰獣
・陰湿なストーカー話、を連想させながらドSな主人の気色悪さ、を連想させるも、実は妻が異常者であるという回転数。
芋虫
・戦争から帰還した主人が手足や聴覚など一気に失ったとき、その奥さんが一概にこうはならない、と断言できるだろうか。