あらすじ
時は初秋、所は塩原温泉の某旅館、そこでは今、前代未聞の決闘が行なわれようとしていた。夏の末から居つづけている湯治客の男二人が、一人の未亡人を巡って命を賭けた闘いを繰り広げていたのだ。そして、決闘の場から卑劣にも逃げだした敗者のものと思われる無惨な死体が発見されるに及び、恐ろしい闘いの幕が切って落とされた。帰京して以来、畑柳未亡人とその愛する息子の上に降り懸かる陰惨で奇怪な事件の連続! 姿無き吸血鬼に敢然と立ち向かう名探偵明智小五郎と文代、小林少年の行く手に待ちかまえているものは? 大乱歩渾身の長編推理。
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これはまさしく
古きよき時代のミステリーです。
解決編ではこちら側をアッと言わせてくれます。
この作品はさほどエロ・グロも見られませんが
その代わり妖艶な女性はもれなく付いてまいります。
しかもその女性はあくどいことをしたがために…
犯人が判明したからって油断は禁物。
まだまだ先があるんですから。
Posted by ブクログ
明智小五郎シリーズ
美しい未亡人・畑柳倭文子をめぐり薬を使った決闘を行った青年・三谷と中年紳士・岡田。決闘に敗れ自殺した岡田。倭文子と息子・茂を誘拐した謎の唇のない男。誘拐事件中に倭文子宅にあらわれた小川と名乗る男の殺害事件。消えた小川の遺体。倭文子の脱出。はだかの彫像の中の女性の遺体。文代の冒険。空と海での活劇。発見された唇のない男の遺体。仮面の下の正体は漫画家。執事である斎藤老人を殺害してしまった倭文子。獄中で死んだ倭文子の夫の秘密。
2010年12月15日再読
Posted by ブクログ
そういえば、江戸川乱歩ってまだ1作品しか読んだことなかったな~。
長編は初めてだ。
なんか、横溝正史の作品っぽい。
昭和初期の作品なのに、なんなのこのテンポの早さは!
今の時代、いろんなミステリー物が出回ってるけど、そういうのにも劣らず、ぐいぐいと惹き付ける話の展開。
何度か「んーー、これはありえない」と思わせるイージーすぎる場面はあったにしても、これは今の時代でも読める。
結構、面白かった。
でも、なんで『吸血鬼』って題名なのか。。。。ちょっと疑問。
Posted by ブクログ
面白すぎる。こんなに複雑に色々な人物が居合わせて関わり合うことは奇跡に近く、厄介な事件だった。気持ち悪さは勿論のこと、遺体もいっぱい登場する。変装やら製氷室における花氷、椅子、、この辺が乱歩の手腕を感じれて特に良かった。
Posted by ブクログ
乱歩作品は地の文が紙芝居みたいに大げさなところが時代がかっていてとても好きです。「ああこれは一体どういうことであろうか!さてまた来週。」みたいに解決が焦らしまくられるのがもどかしくもあり、楽しくもあり。創元推理文庫版は連載当時の挿絵がついてるのですが、この挿絵がまた素晴らしい。
犯人は早々に検討がついたけど、唇のない男の不気味さとか、倭文子がじわじわといたぶられる様とかが鬼気迫るものがありぞくぞく来ました。風船を使った空の逃走劇も、明智小五郎の「実はこれこれこういう仕掛けがあったのだよ、ははは!」の一言であっさり解決してしまう謎も、THE・古き良き時代の探偵小説!という感じで、楽しめました。やっぱり乱歩は面白い。
この作品で小林少年初登場だそうです。文代さんは肝据わっててかっこいいな。
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美貌の未亡人に迫る魔の手と対峙する名探偵・明智小五郎。
タイトルの吸血鬼は、人の生き血を啜るモンスターというよりは、
墓場から蘇るアンデッドのイメージで、復讐に執念を燃やす神出鬼没の怪人の意。
元々新聞連載だった作品ということで、
小刻みに山場を作ってアレコレてんこ盛りになっているため、
果たして細部の辻褄は合うのか、ちゃんと落着するのか――
などと、余計な心配と共に読み進めたが、
「二回転半ひねり」ぐらいで意外にきちんと着地していたので驚いた(笑)
というか、内容云々より、乱歩お得意の名(迷?)調子を堪能するが吉、
なんだろうな。
そして、岩田専太郎画伯の妖美な挿絵にウットリ。
ところで【自注自解】に、小林少年は初登場から時を経ても、
ずっと13~14歳で「少しも年をとらないのである」とあるのを読んで、
それこそ吸血鬼みたいじゃないか!
とツッコミ入れたのは私だけじゃない……よね??
Posted by ブクログ
乱歩と言えば、猟奇的な犯罪者やグロテスクな描写などが特徴とおも思えるが、現代小説の方がもっともっと過激となっている。それでも乱歩の魅力が衰えないのは、それ以外の何かがあるに違いない。
当時の雰囲気なのか、文体なのか。他の作家にはない乱歩ならでは魅力がある。
緻密なミステリを期待すると、違うと思うのだが、日本の推理小説界にとっては、やはり財産なのでは。
本作は、乱歩のもう一つの特徴である名探偵明智小五郎とその助手小林少年が登場することも魅力のひとつである。
世間を騒がす怪しい犯罪者との荒唐無稽とも思える大活劇。少年版の「怪人二十面相」シリーズに通じるものもあり、懐かしくもワクワクする部分も。
Posted by ブクログ
時代背景がとても古いので、今の時代では本当に有り得ない犯人のやり方・トリック。それが逆に趣があって面白かった。いかにも、昔の探偵小説という感じだろうか。また、今の推理小説やミステリと違って、何かと驚くほど大胆な気がする。展開もトリックなども、犯人の逃げ方とかも。そんな独特の世界観に、さらに大きな影響を与えてくれるのが妙にリアルな挿絵(というか劇画?)で、雰囲気を最高に良い具合に出してくれてる。そもそも、結構、グロテスクな雰囲気満載のお話なのだが、冒頭の「一人の女性を命がけで取り合う(つまり決闘)」いうなかなか無いようなすごいシーンから、一気に引き込まれていく作品だった。
読むことによって何かを感じることの出来るような作品ではないのだけど、 読み応えはとてもある。続きが気になってしまって、途中で読むのをやめることができなくなるような。なんともいえない気持ち悪さも、面白さを増すのだ。唇の無い不気味な男って。こんな登場人物とは、江戸川乱歩作品以外ではそうそうお目にかかれないではないか。そして、私はこの本で江戸川乱歩のファンになった。