矢野隆のレビュー一覧
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琉球王国の統一後、王族でもないのに王となり礎を築いた金丸の一代記。琉球の歴史は全く詳しくなく、どこまでが史実か分からないが本当に庶民から王に成り上がったのなら実力や運は相当な人物だったのだろう。
本書では最初に村人から受けた理不尽な仕打ちに復讐することをエネルギーにして出世していく…という展開が途中からは忘れたかのように(一応、綺麗事だけでは回らないことを知ってるとか、その辺りに設定は生きているものの)別の話になっていって、衝撃的な導入部分が霞んでいったのがもったいないとは思った。とはいえ、知略謀略で成り上がっていく様はダークヒーロー感があり面白かった。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ戦国期のしんがりの事例(?)についてまとめた著書かと思って購入したが、様々な合戦の撤退戦を題材にした小説だった。
"退き佐久間"のように撤退戦に関する異名を持つ武将も登場しないようなので、読み始めはちょっと拍子抜けしたが読み進めるうちに面白くて全く気にならなくなった。
後衛は後方警戒だけでなく、後詰めや全体を押し上げる役割もあって優れた状況判断が要求される。部隊で2番目に強い(信頼できる)やつが最後尾を行くと言われるくらいに大事な位置だ。
特に、勢いに乗る敵を抑える殿の役目は重要であるが困難でもある。崩れれば全軍が潰走することになり追撃でとんでもない被害が出うる。殿が活躍 -
購入済み
鎌倉三代将軍家の時代の13篇の短編アンソロジー。
タイトルは『旅する』だけど、旅自体を扱った作品はなかったような?(^_^;)各作品の冒頭に、作品にちなんだ名所の写真と説明がついています。
前半は頼朝と政子の逸話が多く、後ろになるにしたがって時代があとになります。
砂原浩太朗さんの「実朝の猫」が好きかも。鎌倉に行きたくなりました(^.^) -
Posted by ブクログ
大河ドラマでも取り上げられていた著名な長篠合戦。武田側、徳川側の両側面から細かく描かれており、特に武田軍の内部紛争に近い様相が非常に面白かった。ただ、過去の矢野氏の作品と比べると、彼らしい戦いの疾走感や苛烈さが薄かった。鳥居強右衛門のエピソードなどは虚実をうまく混ぜながら物語性が高く描かれるかと思ったが、驚きは少なく凡庸という印象。
武田勝頼が長篠合戦後もしぶとく織田・徳川に食らいつき、最大版図を拡大していくという点に勝頼の武将としての優秀さが窺える。ただ能力が高いからこそ、信長や信玄の奇抜性に憧れ、勝負をかけてしまったのではないかと思う。一方で四天王の3将が欠けたことが武田滅亡の要因と語 -