矢野隆のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
歴史の醍醐味
歴史を語る時人は自分の視点で見てしまうが、多くの登場人物がめいめいに、あるいは阿吽の呼吸で動き、そして歴史が紡ぎ出されていく。
長篠城址、鳶ケ巣山砦なと何度か足を運び現地の空気を呼吸した我が身には、短編集の形をとったがゆえにこの本の臨場感はすごいと感じた。特に織田、徳川連合軍が籠城戦だという評価には思わずうなった。納得!
長篠の戦い以前の出来事があって、この長篠の戦いあり、そして長篠の戦い以降の出来事へと続く。引き続き登場する人、去る人、そして新たに登場する人、その人々の深層心理まで思うと歴史は例えようもなく面白い。 -
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『決戦!関ヶ原』
誰もが知る関ヶ原の戦い。
4時間で決着がつき、そして最後の西軍 島津が退陣するまでが8時間。
●読みどころ
1.関ヶ原
家康と三成。
戦い前に密談あり。
互いの狙いは何か?
2.戦終えての三成
「勝者はいない。
徳川も豊臣もそして毛利も、さらに私三成も全員
敗者なり。」
その意図とは?
3.織田信長弟 長益。兄に囚われた人生
武勲無しの武将。
最初で最後に近い戦いは家康方で。
千利休の弟子であった長益。
戦場で何を思えたか?
4.島津義弘
66歳。西軍の敗北が決まり、1500の兵で家康の
本陣3万人に向かう。
「己の魂と引きかえに敵をうつ -
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ネタバレうちは一族の滅亡の詳細に触れられている。
断片的にダンゾウやうちはオビトが介入していたことは示唆されていたが、これを12歳の少年に実行させたことが我々との倫理観の違い、ひいては年寄りたちの愚かさを感じさせる。
ダンゾウは里のためという言葉を盾に自分の言うがままの里を作ろうと動き、ヒルゼンは煮え切らず責任を持った判断を下すことができず、残り二人はダンゾウの腰巾着レベル・・・
オビトによる殲滅の分担に彼本来の配慮がうっすらと見られる中、すべてを成し遂げ、いつか来る弟に殺される日を待ち望む彼が火影になる世界があったら・・・そう思ってやまない。
ただ、本編で彼は弟に胸中を語って去れたことと、同じ夢を持 -
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ネタバレ矢野隆らしい疾走感と躍動感あふれる戦闘描写はさることながら、古代日本の一種の排外思想を鮮明に映し出している超大作。
舞台は平安後期、金太郎で有名な坂田公時の鬼退治を描く。当時の京においては、帝の支配下にある者が「人」であり、その範疇にない者は全て人に非ずとされてきた。文化的に言うとナショナリズムが最も高まった時期と言えるのだろうか。その中で元は都の外で「鬼」として育った公時は人間であるはずの大江山の鬼退治に苦悩する。その悩みを彼らしく破天荒に霧消・昇華していく表現が実に魅力的である。
人に非ざる者は「鬼」「土蜘蛛」「蝦夷」「熊襲」と呼ばれ、彼らを見ると、どうしても私の好きな高橋克彦氏の作品 -
購入済み
一気に読み終えました
シカマルの「めんどくせー」って言うお決まりのセリフとゆるい性格、実は頭が良くて賢いのに、目立ちたいとも思わなければ偉くなりたいという意思も持たない、「まあそれなりに生きれたらいいか」…そんな考えを持つ彼がとても好きです。
この本はそんな彼が迷い葛藤するお話でした。
めんどくせーと言いながらなんだかんだ上手く仕事をやっているのかと思いきや、彼も周りの人間と同じように日々の仕事に追われ余裕を失いつつも目の前の出来事に向き合う描写がとても良かったです。
久しぶりにNARUTOを読み返していたらこのようなキャラ小説が販売されており、期待もせずに読んでみたら想像以上に面白く一気に読み終えて -
Posted by ブクログ
琉球王国の統一後、王族でもないのに王となり礎を築いた金丸の一代記。琉球の歴史は全く詳しくなく、どこまでが史実か分からないが本当に庶民から王に成り上がったのなら実力や運は相当な人物だったのだろう。
本書では最初に村人から受けた理不尽な仕打ちに復讐することをエネルギーにして出世していく…という展開が途中からは忘れたかのように(一応、綺麗事だけでは回らないことを知ってるとか、その辺りに設定は生きているものの)別の話になっていって、衝撃的な導入部分が霞んでいったのがもったいないとは思った。とはいえ、知略謀略で成り上がっていく様はダークヒーロー感があり面白かった。