小田嶋隆のレビュー一覧
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あまり達者に書かれた一冊ではなかった。小田嶋さん、遺作ちゃんと読んだよ、というような思い入れ。
最初の方の短編とかほとんど覚えてない。連作のようで連作でないみたいな構成も特によい効果を生んでいるわけでもなく、単に筋と通すことの努力を放棄しているようにしか見えない。つーか新宿とか杉並とか起承転結がないどころかほぼなんにもない章のしんどさ。なんなんあれ。もう少し小説を書くということに自覚的でないと小説なんて書いたらいけないんじゃない?有能なコラムニストなら許されるの?だとしたらファックでしかないんだが。
シマヘビの話は印象に残った。この話だけ、登場人物のことを考えるときにオダジマンを想像する必要が -
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ネタバレ日本語を、取り戻す。
著者:小田嶋隆
発行:亜紀書房
2020年9月20日
人気、実力とも当代切ってのコラムニストが安倍政権時代に書いたコラムを、いくつか集めた本。言葉を扱うはずの政治家が、あまりにおかしな日本語を使っている様子を鋭くつくことで、安倍政権がまともに政治をしていない状況を指摘している。批判は安倍政権だけではなく、それを監視する機能を放棄し、すっかり御用機関になってしまったマスメディア、そして、だらしない証人喚問をする野党にまで向いている。
読んでいると、安倍政権時代の悪夢ぶりが甦ると同時に、まともにかかっていかなかったというか、いつのまにか安倍のペースにまきこまれていた自分 -
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メロドラマに感動するというのは、普段の自分より賢くなるということではなく、自分の規矩を取っ払い眠っている思い切り愚かな感情を解放させること。オペラでも義太夫でも、そこでは誰もが感情過多で、大袈裟で、身勝手で、常に自己憐憫の虜になっている。しかも、彼らは、たやすく激発し、ことあるごとに自暴自棄に陥っている。不穏極まりない激情、ちょっとしたことで腹を切るだの死ぬだのといった直情径行が日常の中で普通に展開されているのだ。でも、この理屈では説明できない愚昧な感情の体現が、時代を超えて人の心を打ち続けてきている。距離をとり斜に構えて客観視を気取る賢しらへの強烈な警句が実に心地よかった。
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共に都立小石川高校から早稲田大に進学。ひとりは、事の本質を寸鉄釘刺す毒っ気溢れるコラムを主戦場に相田みつをを「便所の神様」(まさに言い得て妙)と称し、時に物議を醸す社会風刺の名コラムニスト小田嶋隆、方や電通クリエィティブ部長の席を辞し、部下3名を引き連れ日本初のクリエィティブエージェンシーを立ち上げる。還暦過ぎても、今なお第一線で活躍するクリエィティブディレクター岡康道。
このふたりが五十路から還暦越え街道へと向かう途上に忍び寄る病・仕事・家族…の「諸問題」に対し、どう立ち向かい、どう対処するかを存分に語り合うふたり。そこに進行役の清野女史が、慈愛にあふれた絶妙なツッコミを入れ、独特のグルー -
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2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定されて以降、反対意見がほとんど聞かれなくなったという言論状況そのものについて問題提起をおこなった鼎談です。
元来近い立場にある三人の座談会なので、おたがいの意見を戦わせるような場面もなく、緊張感に欠けるのはいたしかたないのかもしれませんが、語られている内容そのものには賛同できることが多く、著者たちの発言に膝を打ちながら読みました。
もっとも、いくつか違和感をおぼえるところがあったのも事実です。私自身は、内田がさまざまな著作で展開している身体論や、『日本辺境論』(新潮選書)で語られているこの国についての言説には、すこし危ういところがあるので -
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ネタバレこれからを生きていく人へ贈るメッセージ。
日本の現状に危機感を抱いた内田樹が,中高生へとメッセージを送るために様々な人へ文章を書いてくれるよう依頼をした。統一感はあるような,ないような。しかし,皆,日本の現状に(というか,現政権に)危機感を覚えている人たちである。出版されたのは2016年7月なので,書かれたのはその少し前とすると,その後,イギリスEU離脱が国民投票で決まり,トランプ大統領が誕生し,また日本は重要法案を急いで通そうとしている。危機は加速しているのでは。
戦後の,戦後すぐの平和主義がそろそろ機能しなくなっている,そう感じる。軍隊を持たない,平和を守る国でありたい,でも,他国に攻 -
Posted by ブクログ
「ポエムは、書き手が、詩であれ、散文であれ、日記であれ、手紙であれ、とにかく何かを書こうとして、その「何か」になりきれなかったところのものだ」
「たとえば、書き手が冷静さを失っていたり、逆に、本当の気持ちを隠そうとしてまわりくどい書き方をしていたりすると、そこにポエムが現出する」
「・・・、照れかくしをしようとしている時、人はポエマーになるわけだ」
「書き手が何かをごまかそうとする時、文体はポエムに近似する」
「[ポエムの需要は]あるんじゃないですか。何かを直視したくないときとか、真っすぐに伝えたくないとか、ごまかしたいとき」
「ところが「ポエム」では、何か意味を曖昧にしておいて、「