小田嶋隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『Bug News』の連載が切り口鋭く、本当に楽しみでした。
本書は、それよりずっと後の、書き下ろしなので初めて読みます。
エッセイ集なのですが、表題の「パソコンはビジネスを猿仕事にしてしまった」は業界人なら読むべしです。少し引用すると、
世界中の証券マンが、誰もゆっくり眠れなくなったということが、世界経済を少しでも豊かにしたのであろうか?
たとえばの話、阿波踊りの生産性向上を企図した徳島の商工会議所が、お囃子の店舗を倍速にアップしたら、確かに祭りは半分の時間で終わるようになるだろう。が、そんなことに何の意味があるだろうか?
家事なら話は別だ。
マイコン制御 -
Posted by ブクログ
内田樹篇の平成を振り返るエッセイ集。最初に内田氏が言っているように、自由に書いてもらったので統一感はないが、それぞれの書き手の専門分野に応じて、いろいろな平成の断面が見える。中には内田氏ファンである読み手の存在を忘れているのではないかと思われるものもあったが、総じて興味深く読めた。面白かったのはブレイディ氏の英国的「ガールパワー」と日本的「女子力」が全く真逆の意味になるという指摘だった。前者は、女が、女たちの支持を得て女たちをインスパイアすることだったが、後者は、女が、男たちの支持を得て男たちに愛されてほかの女たちより上に立つことだという、なるほど、双方の国民性の一端を垣間見せてくれている。
-
Posted by ブクログ
『13歳のハードワーク』がいちばん興味深くわかりやすい内容。これを最初の章に持ってくるべきでした。本当に中学生に読んでほしいと思うなら、まず読みやすい文章から載せるのがいいと思います。「こんな難しいこと書いてるオレってすごいでしょ、みんなついてこれる?」って思ってる大人の文章から始められると読もうとする気持ちがなくなります。
中学生は小説以外の文章を読む機会が少ないし、意外とまじめなので本は常に最初から読もうとします。興味のあるところから読もうとは思いません。
そしてこれを書いているおじさんたち、子どもがいるなら精一杯育児に関わったでしょうか?中学生、高校生の息子、娘にしっかり向き合ったとい -
Posted by ブクログ
学歴と言うある人からすればある事で得た利益に対する恥や罪責感、ない人からすればない事で不当に簒奪されてきた事に対する怒りや告発と言った、同じことを語っていても意味の異なるテーマについて論じた本でした。
残念ながら明確な結論はありませんでしたが、後半の広末の早稲田入学のあたりから面白くなり、特に学歴とは商品そのものではなく値札である。と言うところは、同じ物の値段を見ても人によって安いと感じるか高いと感じるかはその人次第と同じ事、つまり個人の主観の問題で他人との議論で答えの出るような話ではないんだなと改めて感じました。
建前上は自由競争とされる学歴による階級や、場所による土地の価値の差など、誰 -
Posted by ブクログ
「災間」とは、繰り返す災害と災害の間を生きていること、この本は2011年東日本大震災と2020年コロナ禍の間の10年です。
この10年間に、コラムニストの小田嶋隆さんがツイートしたものを、武田砂鉄さんが選んで本にまとめられています。
本の構成は、
・序文(武田砂鉄さん )
・その年の主な出来事(見開き2ページ、35行)
・その年のツイートを解説(武田砂鉄さん)
・選ばれた小田嶋さんのツイート一年分
てな感じで、序文以外は10回繰り返します。
小田嶋さんの「あとがき」を読むと、
この本は「大傑作」だそうです。
コラムはふつう2000字くらい、ツイートは140字。だからわりと簡単に読め -
Posted by ブクログ
小田嶋隆(1956~2022年)氏は、早大教育学部卒、味の素ゼネラルフーズ勤務後、TBSラジオのアシスタント・ディレクター、作詞家等を経て、コンピューター関連ほか、様々なテーマを論じるテクニカル・ライター、コラムニストとなる。
本書は、集英社のPR誌「青春と読書」に2018年7月~2019年10月に連載された「諦念後 男の老後の大問題」をまとめ、2022年に出版された。
内容は、還暦を超えた(=一般に言う「定年」を過ぎた)著者が、その境涯に直面するために、自主的に様々なことを体験し、それについて綴ったものである。具体的には、そば打ち、ギター演奏、スポーツジム通い、断捨離、終活、同窓会参加、麻雀