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なんだ、小説じゃないか? そう、これはコラムではない。稀代のコラムニストが、初めての小説を通して描く東京の街と人々
「この文章を書きはじめるにあたって、私は、これまでコラムやエッセイを書く上で自らに課していた決まりごとをひとつ解除している。それは『本当のことを書く』という縛りだ」。
高度経済成長期から見つめてきた東京の記憶が今、物語となって蘇る。
【目次】
序文
残骸 ─新宿区
地元 ─江戸川区
傷跡 ─千代田区
穴 ─墨田区
トラップ ─世田谷区
サキソフォン ─杉並区
ギャングエイジ ─台東区
八百屋お七 ─文京区
相続 ─葛飾区
焼死 ─品川区
カメの死 ─練馬区
はぐれたレンガ ─目黒区
外界遮断装置 ─板橋区
幼馴染 ─大田区
見知らぬ赤子 ─荒川区
猫 ─足立区
蔦の部屋 ─中野区
欄干 ─北区
棒読み ─中央区
稼業 ─渋谷区
記憶 ─豊島区
継母の不倫 ─江東区
ダイヤモンド ─港区
プラ粘土
鳩
スパイク
指環
タイプライター
ロレックス
居なくなる男
2月の蛇
月日は百代の過客にして
あとがき
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Posted by ブクログ
「貧すれば鈍する」悲哀を感じた作品だった。
著者の小田嶋隆さんは、この作品を執筆してすぐにお亡くなりになられたという。故人に敬意を表し、率直な感想を述べたいと思う。
東京23区それぞれで見られる営みが描かれた短編がこの作品の大部分を占める。家庭環境やアルコール中毒、生い立ちなど登場人物それぞれ悩みを抱え、そんな人たちが東京でどのように生活しているかが描かれる。
読んでいて、元恋人との確執や家庭環境による家庭崩壊、不幸な生い立ちなど、わかりやすいエモーショナルに走りすぎていないか?と感じた。とりわけアルコール中毒の話はこの作品のフックであるかのように扱われ、アルコール中毒を患った人間の苦悩と解脱が描かれる(少なくとも私はそう解釈した)が、それもわかりやすいエモーショナルを求めすぎているようにしか思えなかった。
著者の小田嶋隆さんも、随分と酒に悩まされ、体調が芳しくなかったようだ。
思うに、小田嶋さんは、自身の過去に明確な意味を与え、それを作品として昇華することで光を浴びせたかったのではないか。酒に悩まされた過去をより多くの人に肯定してもらいたかったのではないか。
そして、著者のその姿勢により描かれたこの作品は、現在「貧していない」私にとって、まさしく貧していて、それでいて鈍しているように思えてならない。
Posted by ブクログ
この本をまさに読もうとしたときに、訃報を知った。
本当に残念、悲しく寂しい。
コラムニスト、いや文筆家として、誰よりも才能にあふれている人だと、私はいちばんに尊敬していたのです。
あの辛口エッセンスが大好きだったのだ。
この本も洒脱の効いたエッセイと思って読み始めたところ、なんと小説ではないか!
(実は文京区から読み始めたので、まだ小説だとは気づかなかった(^^;)
まさか小説にも挑戦していたとは・・・この先が続かないのが本当に残念無念。
岡康道さんとの長い付き合いでの掛け合いも好きでした。岡さんの訃報を知った時もびっくりしたのに、まさかでした。
ご冥福をお祈りいたします。
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