我が国首相・安倍晋三はよく夕方6時から記者会見を開く。すると、私が
唯一きちんと見ている夕方のテレビ・ニュースが官邸によってジャックさ
れることとなる。
仕方がないので見る。というか、顔を見たくないので聞く。用意された
原稿を読んでいるだけなのに、何を言っているのか分からない。
「全国
...続きを読む放送を使ってポエムを読んでんじゃないよ」
こんな風に突っ込んでいることが多い。首相だけではない。本書で著者
が取り上げている元サッカー選手・中田英寿の引退表明のコメント(?)
なんてニュースで読み上げられた時に「この人、大丈夫か?」と思った。
ポエムが氾濫していると著者は言う。それは昔々と違って、インターネット
が普及して誰もが「書く」という行為を気軽に出来るようになったから。
そうだよな。インターネットがない時代、文章を書いて発表する場と言った
らプロの物書きになるか、同人誌を作るか、自費出版するか、町内会の
「お知らせ」に載せるかとかで、非常に限られた範囲だものね。
ハードルが低くなった。その分、誰もが書いて発表できる。例え書いた
内容が意味をなさなくても、書いた本人は満足。言葉遣いの間違い
なんか気にしない。雰囲気さえ伝わればいい。これぞ、ポエムである。
このポエムが生まれるに至った道筋を考察する過程が素晴らしいんだ。
小田嶋さん、やっぱり冴えている。
本書は月刊誌などに連載されたコラムをまとめた作品なので、ポエム
以外にも「お笑い」や「高齢者の犯罪」などについても考察している。
それでもポエムの章は身につまされるよ。だって、私自身、日々、こうし
てネット上に「ポエム」を綴っているのだから。
自分もそうだけれど、みんな結構、書くことが好きだよね。人によって
内容の完成度は千差万別だけれどさ。