小田嶋隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネット上でおなじみのコラムニスト・小田嶋隆による社会風刺論集。この手の本にありがちだが、どんどんよどんでいく世相に対する皮肉は言えても、「では、どうしたらいいのか?」という建設的な視点が、この本にはほぼ皆無に等しい。筆者の立ち位置は「左派リベラル」といったところだが、個人が持っている不満を筆にぶつけても世界は変わらない。世相はどんどん筆者のいうところである「露悪化」の道を辿っているのに、良心的な市民はどのように立ち向かえばいいのかという視点が見られないのは、筆者に限らず「リベラル派」の人たちに多いのはどうしてだろう。本書の一番の目玉は、ベストセラー「反知性主義 アメリカが生んだ『熱病』の正体」
-
Posted by ブクログ
おもしろかった。ギャグというか、まあ、ユーモアですな。(笑)かる〜く読める、ああこういうこともまじめに勉強しなきゃな、でもとりあえずは目の前のオダジマさんの文章を楽しんどこうかな、みたいな。内田樹も村上春樹もそうだけど、なぜこの年代のこういう少女趣味(失礼)のオッサンたちがかく文章はおもしろいのだろう。読み始めた頃わたしは19才の子供だったけどいつのまにか30前のババアになってしまった。その間にこれ系の言論はもはやある種懐古的な、勢いの失われたものにはなったと思う。それでもおもしろいからかる〜く読んでしまうのだけど。もうちょっと軽くないものを読んでいるべきだけどこうして自分の居場所を振り返るの
-
Posted by ブクログ
『斜に構えた人間は嫌みでやな奴だ。が、自分が斜に構えていることを自覚して、それを幾分反省もしている人が、私は何故か好きだ。』と本書の中で著者はいっている。私は青春時代のある時期とそれにいたる少年時代の後期、まさに斜に構えた人間だったと思う。つまり、やな奴だったと思う。加えて、3人兄弟の真ん中、それも兄と妹に挟まれて育ったせいか、人の顔色を見るのがうまいガキだった。今風にいえば、空気の読めるガキだった(これはこれできっとかわいくないガキだったと思う)。そのくせ、人と同じことをするのは嫌いだった。(だから、大洋ホエールズのファンになった)。なんで、この著者のようなものの見方が何故か好きだ。本書は2
-
Posted by ブクログ
「日経ビジネスオンライン」の連載は時々読んでいておもしろいなあと思っていたが、本になったのを読むのは初めて。もうこれが5冊目らしい。
「日経ビジネスオンライン」にこのコラムって合ってるのかなあと、「日経ビジネスオンライン」のその他の記事を読んだこともないのに思っていた。
どのコラムも「着眼点がすごい」とか「よくぞ言ってくれた」というものばかりで、これからまた愛読していきたいと思わせる。
いろいろ目を開かされることが多かったが、特に一つを上げると「エリートは撤退しない」というのが印象に残っている。確かにそうだなと身近な例を考えても納得する。今もう1度読み返しても、そのコラムの指摘は鋭いと思うので -
Posted by ブクログ
グローバル化、新自由主義、何だか地に足が付いていないことがどんどん進んでいるような…。身体感覚のない言論が過激さを加速する。匿名のネット上での発言が問題になるのも納得です。
ここのところの内田氏はグローバル化、グローバル企業と国民国家が相入れない関係であることを盛んに書いています。株式会社の平均寿命が10年未満なのにたいして人間の寿命は数十年。我々の身体感覚ではものごとを100年単位で捉えている。それを体現しようとするシステムが国民国家である。企業は100年後のことには興味ないのですぐに効果、結果を求める。この企業の論理が国民国家に浸透してきてしまっている。これが何を生み出すのか私たちは冷静 -
Posted by ブクログ
内田:この20年ほどの「構造改革・規制緩和」の流れというのは、こういう国民国家が「弱者」のために担保してきた諸制度を「無駄使い」で非効率だと謗るものでした。(P.5)
中島:かつての70年代くらいの若者にとって、未来というのは輝けるものとして存在した。とすると、今ある自分の現実に対して「俺にはもっと幸福が先にあるんだ」と思えた。だから今の自分はまだまだ幸福ではない、と言っていた。しかし今の若者には先が見えない。輝ける未来や、今よりよい自分というビジョンが描けない。あるいは欠落している。だったら今の状態を幸せだと言っておかないと…と考えてしまう。(P.62)
内田:今の公共政策の、まず税金を -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルから前著「小田嶋隆のコラム道」のような文章論の中身をイメージしていたが、そうではなく王道のコラム、あるいはエッセイといった内容だった。
「~コラム道」を読んだ直後の感想では「原稿をかけない言い訳をこねくり回して字数稼ぎすぎ。ラジオのほうが面白いね。」なんて言っていたのだが、本作では読むものを飽きさせない見事なコラム展開を見せてくれて、改めて「いやいや先日は失礼しました」と思うのであった。
談志のくだりやソニーの話なんかは内容的にグッとくるものもあったし、多用される会話文あるいはネットでの書き込みを模した本文に対するコメントには技巧的にも「上手いなー」と感服するばかりである。
でも巻末