東直己のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ススキノの便利屋である主人公。謎の女からの一本の電話で依頼を受けたことからはじまり、命を狙われたことで奮起して事件にどっぷりと巻き込まれる、ハードボイルドのテンプレのような話だ。
会話や文体は軽妙だが、扱っている問題は軽くはない。
主人公「俺」は自分なりに他者を尊重している(たまに問答無用で殴ったりもするが)。ススキノの客引きと黒澤明の映画を見て感想を言い合ったり、尾行を頼んだタクシーの運転手との見えざる心理戦に負けたり、ヤクザにブードゥーの呪いの講釈をしたり、耳の遠い人にきちんと話しかけてほめられたり…。
登場するたくさんの人物とちゃんと対話し、台詞から彼らだけの人生が垣間見える。現実世界 -
購入済み
しゃれた構成のアンソロジー
煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。 -
Posted by ブクログ
複数回再読。
産廃業界と警察の癒着に切り込むウネハラ。この頃は巨悪と戦ってたなー。
玉木が男気を見せるのがとてもよい。
めんどくさいこだわりを持つウネハラが一度だけ高橋のことををチーフと呼ぶ、悲しみに寄り添って思わず出た言葉だろう。
そして近藤の時も無心論者を貫いたウネハラが手を合わせる。
たばっちゃんみたいな人いるよねー。すぐに楯突いて職を転々とする人。
交通事故の被害者があまりに悲痛で、なんで著者はこういうのをリアルに書けるんだろう。
ススキノの俺シリーズが映画になって金が入ったせいか著者が新作を全然書いてくれない。映画を恨んでるよ。 -
Posted by ブクログ
複数回再読。
産廃業界と警察の癒着に切り込むウネハラ。この頃は巨悪と戦ってたなー。
玉木が男気を見せるのがとてもよい。
めんどくさいこだわりを持つウネハラが一度だけ高橋のことををチーフと呼ぶ、悲しみに寄り添って思わず出た言葉だろう。
そして近藤の時も無心論者を貫いたウネハラが手を合わせる。
たばっちゃんみたいな人いるよねー。すぐに楯突いて職を転々とする人。
交通事故の被害者があまりに悲痛で、なんで著者はこういうのをリアルに書けるんだろう。
ススキノの俺シリーズが映画になって金が入ったせいか著者が新作を全然書いてくれない。映画を恨んでるよ。 -
Posted by ブクログ
何度読み返したことか、素晴らしい。同僚=戦友を失ったソベジマの悲しみがすごく切実でよい。嘆き、怒り、一矢報いるシーン。初登場の赤ら顔のデブという個性を生かしきっている。著者の筆が冴え渡る。コミカルだからこそ、嘆きは悲しく、怒りは純粋で、一矢報いるシーンは感涙。
シリーズ通して格闘シーンがヘタクソなのは仕方ない、やってる人ではないから。そこももはや愛おしいと思えるまでの熱心なファンである。
市政の歪みに切り込む構図は敵が大きくてロマンチックかつダイナミック。そして玉木や横山といったうねはらコミュニティーが各々の反目しあいながらも機能する気持ち良さ。戦隊ヒーローものみたいな爽快感がある。
さえかち -
Posted by ブクログ
何度読み返したことか、素晴らしい。同僚=戦友を失ったソベジマの悲しみがすごく切実でよい。嘆き、怒り、一矢報いるシーン。初登場の赤ら顔のデブという個性を生かしきっている。著者の筆が冴え渡る。コミカルだからこそ、嘆きは悲しく、怒りは純粋で、一矢報いるシーンは感涙。
シリーズ通して格闘シーンがヘタクソなのは仕方ない、やってる人ではないから。そこももはや愛おしいと思えるまでの熱心なファンである。
市政の歪みに切り込む構図は敵が大きくてロマンチックかつダイナミック。そして玉木や横山といったうねはらコミュニティーが各々の反目しあいながらも機能する気持ち良さ。戦隊ヒーローものみたいな爽快感がある。
さえかち -
Posted by ブクログ
俺や高田、桐原の青春が交錯する前日譚、すごくいい。
桐原はまだチンピラで、小さな正義感を満たしたことに対し俺に礼を言うところが不器用で青臭くて可愛い。高田はまだ真面目な学生をやっていて、なんというか俺との腐れ縁感もまだまだ乏しい。普通の友達って感じが新鮮。そして俺=未来の探偵は、まだまだ女に心を揺さぶられる。バーにかかって来た電話のようなある程度した男の抑制されたすけべ心ではなく、心の底から動揺し、矢作俊彦に手紙を書こうなどと突拍子もないことを本気で考える始末。若いなー。
荒磯の大将のエピソードや、家庭教師のエピソードなど、とにかく俺の日常的な部分が濃密に描かれていて楽しい。なかなかいい青春だ -
Posted by ブクログ
端的に言って最高だな。映画は、ラストの大泉洋の苦い表情だけで全てを許せた。相棒スタッフの安っぽい演出も、小雪のいい女ぶった不細工さも。それにしても、小雪は首筋の匂いを嗅いだら米ぬかの臭いがしそうな野暮ったさ、コンクリートブロックをいくつか重ねて作ったようなぎこちなく固い表情、なんとかならないのか。
本作はラストがすごくいい。列車が失踪し、全てを悟った牧園は探偵の旨を叩く。そして、ストレッチャーから覗く白いレース。沙織の手紙が稚拙で、ほんとにリアルなんだ。一生懸命霧島を愛したんだなーとよくわかる。そして、映画2作目は心からクソだったな。無駄なキャラ、要らないロードムービー風の演出、他方で排除され -
Posted by ブクログ
再読。やはり初期は伏線の回収も鮮やかだし文章も密度が高くていいなー。
後期のようなススキノを揺るがす大事件でもなく、行政の腐敗にメスを入れる批評的な視点が強いわけでもなく、言ってしまえば、地味な事件だけど。
1番のどんでん返しは、読者を驚かせる仕掛けではなくて、人間の多面性だろう。
「俺」が馬鹿にしていた人間が実は全てを動かしていて、安易に他者を馬鹿にする「俺」を逆に軽蔑する。実は友情に厚い人間で、人情の機微を見抜いている。
沈黙する「俺」が、非常に苦く、切ない。
ふやけたところがなく、どこを読んでも軽妙でいかしている。モンローとの別れのシーンは愁眉。
映画化により、映画から入った、ハードボイ -
Posted by ブクログ
著者は、ほんとに人間をよく見てるよな。。。
「おうわっ」とか、人間が他者に媚びて取り入ろうとする姿を、すごくよく見ないと、書けないよ。
口の中で舌がうねうねしてるとか、えげつない下ネタで罵倒して興奮するとか、母親が性的に興奮して息が臭くなるとか、ほんとに人間のみっともない部分を常日頃から観察しているんだなーと感心する。その集大成なのではないだろうか、ほんとに好きになれそうなところのない男。そして、そんな野郎と友達づきあいをしなければならない探偵の、常に守っている強固な美学を嫌々ながら捻じ曲げる滑稽さ。
著者のユーモアが、今回は裏返しになって表れている。
ラスト、ケラーのシーンは一転して -
Posted by ブクログ
大分前に購入「積ん読」状態だったのをなぜか読みました。
正直楽しかったです。
作家さん達の代表作のスピンオフというか表題通り「サイドストーリー」。読んだことの無い作品もありましたが、丁寧に作者の横顔やメインのストーリーも書いてあるというサービス付。すべて「煙草」や「一服ひろば」に関連して書いてありますが、上手くからめてあるお話もあれば、やや無くてもいいんじゃない?的なお話も。
冲方丁の「天地明察」は読んでみたいと思っていた本だったので、ますます読みたくなりました。
貴志佑介の「鍵のかかった部屋」からのお話はドラマで見ていた佐藤浩市の芹沢がメインになったのには驚きましたが、まんまでしたね。
限ら -