東直己のレビュー一覧

  • 消えた少年

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    学校では問題児扱いだが映画が大好きな中学生、翔一と知り合い意気投合した(俺)。ところが、翔一の親友が惨殺死体で発見され、一緒にいたはずの彼も行方不明となってしまった。変質者による誘拐か?暴力団がらみなのか?それとも、学校をも巻きこんだ障害者施設反対運動に関係があるのか?担任の教師、春子に翔一の捜索を依頼された(俺)は、彼の姿を探してススキノを疾走する!

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    2018年06月25日
  • バーにかかってきた電話

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    いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を受けた。伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。疑問を感じながらも依頼を果したのだが、その帰り道、何者かによって殺されそうになった。そして、ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは依頼人と同じ名前の女が、地上げ放火ですでに殺されていたことだった。

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    2018年06月25日
  • 待っていた女・渇き

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    表題作は、短すぎて起承転結がダイナミックさを欠く。オチが弱いというか、後半のどどどっという怒涛の展開があっけなさすぎる。まあ仕方ないよな。娘がまだ無邪気なお子様で、かわいい。子どもたちの成長を見守るのも本シリーズの楽しみの一つである。
    渇きは、嫌な刑事である井原がいい味を出している。うねはらに対する嫌味が陰険で陰惨で、たまらない。
    2020.3.5再読。
    凡百の書き手なら美談にしかねない井原の真摯さを徹底して疑ううねはらの態度、筆者の人間観察の際の冷徹な視線が垣間見える。
    印象に残ったのは、ラスト。これまで自分の子どもの大切さというのが実感としてはわかっていなかったのだろう。
    空手の描写が弱い

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    2018年04月02日
  • 待っていた女・渇き

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    表題作は、短すぎて起承転結がダイナミックさを欠く。オチが弱いというか、後半のどどどっという怒涛の展開があっけなさすぎる。まあ仕方ないよな。娘がまだ無邪気なお子様で、かわいい。子どもたちの成長を見守るのも本シリーズの楽しみの一つである。
    渇きは、嫌な刑事である井原がいい味を出している。うねはらに対する嫌味が陰険で陰惨で、たまらない。
    2020.3.5再読。
    凡百の書き手なら美談にしかねない井原の真摯さを徹底して疑ううねはらの態度、筆者の人間観察の際の冷徹な視線が垣間見える。
    印象に残ったのは、ラスト。これまで自分の子どもの大切さというのが実感としてはわかっていなかったのだろう。
    空手の描写が弱い

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    2020年03月05日
  • 悲鳴

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    畝原シリーズ第三弾。
    出版された2003年、この辺りの年だと、「キレる17歳」だとか、クレイマーなんてのが社会問題になってた頃か。

    強烈な自己憐憫で己を覆い、自分以外の世界すべてが敵であるなんて拗らせたのが、少数ながら存在する。それは今に限ったことではなく、はるか昔から。その昔ってのも、古代に遡ってさえも。

    正義だ悪だと二元論ではなくて、だれしも必ず起こりうる。東作品に一貫して掲げられる、悪の捉え方。
    三作目は、かなりズッシリくる。
    重厚感が凄まじい。ラスト近くの産廃前の描写は、小さなお子さんを持つ親御さんは読むの堪えるだろうな。

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    2018年03月18日
  • 悲鳴

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    畝原シリーズ第三弾。
    出版された2003年、この辺りの年だと、「キレる17歳」だとか、クレイマーなんてのが社会問題になってた頃か。

    強烈な自己憐憫で己を覆い、自分以外の世界すべてが敵であるなんて拗らせたのが、少数ながら存在する。それは今に限ったことではなく、はるか昔から。その昔ってのも、古代に遡ってさえも。

    正義だ悪だと二元論ではなくて、だれしも必ず起こりうる。東作品に一貫して掲げられる、悪の捉え方。
    三作目は、かなりズッシリくる。
    重厚感が凄まじい。ラスト近くの産廃前の描写は、小さなお子さんを持つ親御さんは読むの堪えるだろうな。

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    2018年03月18日
  • 流れる砂

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    私立探偵畝原シリーズ第二弾。
    本書の単行本が発行されたのが99年。
    オウム真理教、パナウェーブ研究所、林真須美のヒ素カレー事件が思い出される。
    出版された年に読んでいたら、さぞ不気味だったことだろう。

    最初の依頼のマンションの一室で、良からぬことが起こっているようなので、その調査から物語は始まる。
    その後、新興宗教から保険金殺人へと。

    悪の根源はなく、悪の臭いを持つ者同士が互いに弱みを握り合いながら、より悪事に麻痺し溺れて行く様が実に人間臭い。
    毎度、長編にもかかわらず、場面運びは秀逸だ。
    しかし、最後のオチの仄暗さは何度も言い表し難い。タイトルの通り。

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    2018年03月12日
  • 流れる砂

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    私立探偵畝原シリーズ第二弾。
    本書の単行本が発行されたのが99年。
    オウム真理教、パナウェーブ研究所、林真須美のヒ素カレー事件が思い出される。
    出版された年に読んでいたら、さぞ不気味だったことだろう。

    最初の依頼のマンションの一室で、良からぬことが起こっているようなので、その調査から物語は始まる。
    その後、新興宗教から保険金殺人へと。

    悪の根源はなく、悪の臭いを持つ者同士が互いに弱みを握り合いながら、より悪事に麻痺し溺れて行く様が実に人間臭い。
    毎度、長編にもかかわらず、場面運びは秀逸だ。
    しかし、最後のオチの仄暗さは何度も言い表し難い。タイトルの通り。

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    2018年03月12日
  • 探偵、暁に走る

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    ネタバレ

    再読。いやー、これはほんと切ない話。認知症を発症したけど、嫁以外の前ではしゃんとして、嫁しかおばあちゃんの混乱した姿を知らない、というのも、そのせいで嫁が夫から文句言われるのも。いかにもありがち。そして詐欺にあって騙されてるけど、それを絶対に言おうとしないというのも。正直、自殺しようとするのも分かるなぁ。それを助けたのもほんとに良かったのか。しかし、振り込め詐欺、聞かなくなったけど、まだやってる人もいるんだろうな。そしてもっと違う詐欺をやってるんだろうな。

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    2018年03月02日
  • 探偵は吹雪の果てに

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    読み応え充分な内容。
    俺も歳取ったな…と前半は流して読んでいたら、怒涛の後半はドンチャン大騒ぎ。
    シリーズの伏線にもなっていて、おぉ!おぉ!とシリーズを読み返したくなりました。

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    2018年02月06日
  • 向う端にすわった男

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    以前読んだときはぱっとしないなと思ったが、再読したら意外によかった。探偵の失敗談が多く、ほろ苦い読後感になる作品が多い。一話目は、探偵の醸し出す緊張感がやけに強いなと思っていたら見事に裏切られて、気持ちいいし。

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    2017年09月07日
  • 旧友は春に帰る

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    複数再読。かつてファムファタールだったモンローが醜悪なオバサンになってしまうのが切ない。単なる老いではなくて、あの頃のまま、子供のまま、年齢を重ねてしまったということだろう。
    アキラさんもどんどん弱っていく感じがして、いつか死んでしまうんだなと思わせる。

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    2017年06月07日
  • 半端者

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    ススキノ探偵シリーズ11作目。
    しごく当たり前のことだけれど、ススキノ探偵の「俺」にだって若いときはあったのだ。
    高田とはもちろん交遊があり、桐原ともすでに顔見知りだ。
    どんな生活なのかと思えば、あまり大きな違いはない。
    「俺」はやっぱり若くても「俺」で、基本的な性格は変わってはいない。
    大学生活を送りながら、怠惰な時間を送る日々。
    だけど、ススキノの歓楽街に出入りはするものの、まだススキノに溶け込んではいない。
    親しくなった女性が姿を消したことから、「俺」は彼女を捜してどんどん深みにハマっていく。
    気づけばけっこう怪しげなところまで踏み入っていて、謎は少しも解けそうにない。
    いかにも「俺」ら

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    2017年04月11日
  • 旧友は春に帰る

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    理由もわからないままトラブルに巻き込まれ、いつものことがけれどやくざから追われるはめになった「俺」。
    かつてススキノを席巻したモンローから、久しぶりの連絡を受けた「俺」は、面倒がりながらも結局は手を貸すことになる。
    過去から這い出てきたような女の存在は、「俺」を思いもよらぬ事態へと引きずり込んでいく。
    あるのかないのか、まるで信憑性のない蜃気楼のような「印紙」を追い求め、入り乱れる人間たち。
    損得勘定で動く彼らには、真実はいつまでたっても見えないのだろう。
    自分たちの見たいものしか目に入らないし、自分たちの信じたいものしか信じないのだから。
    何ごともほどほどがいい。
    過ぎたるは及ばざるがごとし

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    2017年03月13日
  • 猫は忘れない

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    顔馴染みのミーナから猫の世話を頼まれた「俺」。
    約束通り餌をやりに行けば、ソウルにいるはずの飼い主が殺されていた。
    事件を担当した刑事の茂木から、猫を飼うのに必要なものを教えてもらう「俺」。
    かくして、猫の世話をしながらミーナを殺したやつを「俺」は捜し始める。
    「俺」もすっかり年を取り中年どころか初老のおじさんになっていた。
    そんな「俺」が慣れないながらも猫の世話をし、しかも癒されている図はなかなか微笑ましいものだった。
    若い頃とは違って無理のきかない年齢なのに、相変わらずやってることは無茶が多い。
    真相に迫っていく粘りも変わってはいないけれど。
    何気なく話をし、どうでもいいことで笑いあう。

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    2017年03月13日
  • 旧友は春に帰る

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    すっかりいい歳になった「俺」の言動は、若い頃から持っている独特の美学を残しつつも大人の分別や優しさも身に付き、成熟した魅力になっている。
    桐原や種田も然り。
    本シリーズのベスト作品じゃないかな。

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    2017年03月04日
  • 探偵は吹雪の果てに

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    「俺」も人並みに年をとり、45歳という世間的にはそれなりの年齢になっているのが本作である。
    しかし、45歳になってはいても「俺」は変わらない。息子を持つ親父になっても「俺」は変わらない。
    誰がなんと言っても譲れないものは譲れないのだ。
    「俺」だけに通用する「俺ルール」が、けっこう好きだ。
    男という生き物はなんと切ないのだろう。
    甘ったるく、それでいて意地っ張りで、大切なものへの思いを胸に生きている「俺」が特別な存在なのだろうか。
    男は夢に生き、女は現実に生きる。
    まさに今回の騒動は、そんな男と女のしがらみが引き起こしたものかもしれない。
    このシリーズはどれも好きだけれど、中でも「探偵は吹雪の果

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    2017年02月27日
  • 探偵はバーにいる

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    男が憧れる男。
    ものすごいマッチョでイケメンには憧れない。
    お酒を朝から飲んで自由気まま。それでいて、仲間に愛され、人情的。ユーモアがあり、女にもモテる。
    なんて男に憧れる。というか、そういう主人公の本が読みたい。
    ススキノが舞台なので感情移入もしやすい。大泉洋として見てしまうのも、またよし。
    ちょっと分かりづらい部分もあるが、まあそれはそれで。

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    2016年09月11日
  • サイドストーリーズ

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    またあの人たちに会える喜びとまだ知らない人たちの日常を垣間見れるお試し的感覚。
    何作か読みたい本も見つかってとっても得した気分。

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    2016年05月30日
  • サイドストーリーズ

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    アンソロジーは、未読の作家さん探しに持ってこい!
    と、こちら即買い。
    しかし・・・しくじった⁉️
    よくれば、タイトルが、「サイドストーリーズ」
    ということは・・・本編ありきだった(笑)
    既読は、「百瀬〜」と「まほろば駅前〜」のみ。
    いくつか本編読んで、ようやく積読から脱出。
    ドラマ化されてるもの たくさんあって、
    本シリーズ読んでなくても
    イメージ湧いて 十分楽しめました。
    姫川玲子シリーズ、北天の馬シリーズに興味津々

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    2016年05月11日