東直己のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ正体不明のコンドウキョウコと名乗る女性から、ケラー・オオハタに電話がかかる。わけがわからないままコンドウキョウコの断片的な指令に従ううち、去年の夏に札幌で起こったいくつかの事件に首を突っ込んでいく。
ハード・ボイルドなのかナンパなのか微妙なノリなのだが、パッとしない外見や酒を飲んで醜態を晒す以外は基本的にハード・ボイルドな俺。口ではいろいろ言ってるものの、二日酔いや暴行を乗り越えてきちんと事件に向き合っていく様は、意外とかっちょいい。
一見無関係な事件が徐々にひとつの物語性を持ち、やがて大きなウネリとなっていく。映画版『探偵はBARにいる』は、この『バーにかかってきた電話』をベースにしているが -
Posted by ブクログ
ススキノ探偵シリーズ9作目。
そもそもこのシリーズは、作者が思う現代社会への提言(くだらない事も含む)を、主人公「俺」を通して発信している作品だと思っている。
常に一人称で「俺」目線の表現、というのもそのためだと捉えている。
しかし、シリーズ当初は30歳前後だった「俺」も本作では50歳。
さすがに落ち着きもする。
そんな中で今回、「俺」とは別の意味で格別に濃いキャラの近藤というイラストレーターが登場し、「俺」に代わり作者の代弁者となっているという印象。役割を半ば譲った「俺」がバランサーになる場面もある、その過去作品とのポジションの違いが面白い。フレキシブル。
あ、「俺」って書き過ぎた