東直己のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレシリーズの長編3作目。
「言葉のレベルを設定したのはあんただよ」とか、近年SNS等で有名人にチンケなクリシェで悪絡みする連中に対してなんかも使えそうで、今の世の中に投げかけても違和感のない言葉が多く見られる。先見の明がすさまじくないか。
裏表紙のあらすじに「変質者による犯行か」とあり、前作まではその類の人間は結局犯人ではなかったからそろそろこの線で来るかもなと思ったら想像を超える狂った世界がそこにあり、これは映画化の際に本作がスルーされるのも当然だろうと思った。
作中で同性を含めた複数人から美人という評価を受けている晴子は実写化するなら誰だろうか。 少し前ならちょっとキャピキャピした感じを出せる人というところで黒谷友香のイメージなんだけど、今なら山本美月とか中村アンあたり? -
Posted by ブクログ
大泉が演じた初期の若き「俺」とはもはや別人といってもいい、50近くのデブと化している主人公なのだけれど、やっぱりファンとしてはそういう彼にも愛着がありますな。
年々渋さと偏屈さに磨きがかかってるし、信念は曲げないし。
「俺」と、おそらく作者自身がモデルであるのだろうと思われる物語の重要な位置をしめるイラストレーターがしつこく繰り返す、あの道産子の恥であるYOSAKOIと、そのうさんくさいイベント周辺にたむろする連中への対する呪詛にも近い罵倒とののしり具合には、同じくあの珍妙な祭りに嫌悪感を抱いている者として少なからず愉快になってくるくらいの酷いDISり具合だ。
華の部屋で、ちょっとした行き違いや心のズレみたいなのを感じて、あ、これでもう俺たち終わるのだな、という雰囲気になる一連の描写が非常に素敵で良かった。
東直巳さんの作品には、そういう長編の中にものすごく心に残る一文や、描写や、台詞なんかが必ずあって、個人的に好きですね。
長編ストーリーとして、読者を惹きつけるエンターティメントの部分やけっこうヤバいシチュエーションに陥るスリリングなシーン、いい年したオッサン同士のなんともいえぬ友情なんかを含めて、シリーズの中でも一二を争う傑作なのではと思う。 -
Posted by ブクログ
ススキノの<探偵>シリーズの魅力は、もう語るところがないほど語りつくされている。
<探偵>と言ってはいるが、私立探偵でもなんでもない。
うさんくさいモメごとやトラブルを、依頼があれば片付ける便利屋のようなものだ(その中には麻の葉っぱを売る商売なんてものも入っている)。
自堕落ではあるが、いざ事件に顔を突っ込むと、俄然、頭の回転が速くなる。
そして、強さもハンパない。
盟友の高田とともに、チンピラだろうが、ヤクザだろうが相手にして、大立ち回りを繰り広げる。
この作品では、最後の最後の暗闘で、かなりボコボコにされてしまったのだが。
この作家さんの作品(探偵、畝原シリーズでもそうだが)では、得体のしれない人間や、さまざまな欲が顔に張り付いているような輩がよく登場する。
その所業は何とも気持ち悪く、不気味だ。
だからこそ、スリリングな展開がより引き立つのだろう。
この男、自堕落ではあるが、それなりに生きることの矜持を持つ。
例えば、ボコボコにされながらも、「ここで諦めたら、俺は、世界中の全ての人間に、顔向けができない男になる。他人がどう思おうと関係ないが、俺は俺なりにきちんと生きてきた。ここで諦めたら、俺はもう、死ぬまできちんと生きられない」と、立ち上がっていく。
これがこの男の魅力のひとつになっている。
そして、もう一つの魅力が、猥雑で剣呑なススキノの裏社会だ。
東京ならば、新宿が思い浮かぶが、ススキノは独特の匂いがする。
ススキノの<探偵>には名前がない。
<俺>の一人称で物語は展開していく。
このシリーズを読むといつも、ビル・プロンジーニの「名無しの探偵」シリーズを思い出す。
アレも大好きだなぁ。
もう一度、読んでみようか。