東直己のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東直己のススキノ探偵シリーズは、いわゆる第一期、つまり主人公の「俺」が20代後半から30代だった時代の作品(具体的に言うと『探偵はひとりぼっち』まで)しか読んでなかったので、このいきなり十年以上の年月が経過していて「俺」が春子と結婚し、別れ、そしてなんと中学生にもなる息子までいるという舞台の変化にあまり気持ちの良くないとまどいを感じたのは確か。
生活スタイルや行動様式はあまり変わっていないようでいて、しかしながら確実に時間の経過というものを認識せざるをえない、主人公の「俺」を含めおなじみの登場人物たちの「老い」を感じざるを得ないところに一抹の寂しさを感じてしまう。
とくにあまり登場シーンも -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズの長編3作目。
「言葉のレベルを設定したのはあんただよ」とか、近年SNS等で有名人にチンケなクリシェで悪絡みする連中に対してなんかも使えそうで、今の世の中に投げかけても違和感のない言葉が多く見られる。先見の明がすさまじくないか。
裏表紙のあらすじに「変質者による犯行か」とあり、前作まではその類の人間は結局犯人ではなかったからそろそろこの線で来るかもなと思ったら想像を超える狂った世界がそこにあり、これは映画化の際に本作がスルーされるのも当然だろうと思った。
作中で同性を含めた複数人から美人という評価を受けている晴子は実写化するなら誰だろうか。 少し前ならちょっとキャピキャピした感じを -
Posted by ブクログ
大泉が演じた初期の若き「俺」とはもはや別人といってもいい、50近くのデブと化している主人公なのだけれど、やっぱりファンとしてはそういう彼にも愛着がありますな。
年々渋さと偏屈さに磨きがかかってるし、信念は曲げないし。
「俺」と、おそらく作者自身がモデルであるのだろうと思われる物語の重要な位置をしめるイラストレーターがしつこく繰り返す、あの道産子の恥であるYOSAKOIと、そのうさんくさいイベント周辺にたむろする連中への対する呪詛にも近い罵倒とののしり具合には、同じくあの珍妙な祭りに嫌悪感を抱いている者として少なからず愉快になってくるくらいの酷いDISり具合だ。
華の部屋で、ちょっとした行き -
Posted by ブクログ
ススキノの<探偵>シリーズの魅力は、もう語るところがないほど語りつくされている。
<探偵>と言ってはいるが、私立探偵でもなんでもない。
うさんくさいモメごとやトラブルを、依頼があれば片付ける便利屋のようなものだ(その中には麻の葉っぱを売る商売なんてものも入っている)。
自堕落ではあるが、いざ事件に顔を突っ込むと、俄然、頭の回転が速くなる。
そして、強さもハンパない。
盟友の高田とともに、チンピラだろうが、ヤクザだろうが相手にして、大立ち回りを繰り広げる。
この作品では、最後の最後の暗闘で、かなりボコボコにされてしまったのだが。
この作家さんの作品(探偵、畝原シリーズでもそうだが)