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Posted by ブクログ
俺や高田、桐原の青春が交錯する前日譚、すごくいい。
桐原はまだチンピラで、小さな正義感を満たしたことに対し俺に礼を言うところが不器用で青臭くて可愛い。高田はまだ真面目な学生をやっていて、なんというか俺との腐れ縁感もまだまだ乏しい。普通の友達って感じが新鮮。そして俺=未来の探偵は、まだまだ女に心を揺さぶられる。バーにかかって来た電話のようなある程度した男の抑制されたすけべ心ではなく、心の底から動揺し、矢作俊彦に手紙を書こうなどと突拍子もないことを本気で考える始末。若いなー。
荒磯の大将のエピソードや、家庭教師のエピソードなど、とにかく俺の日常的な部分が濃密に描かれていて楽しい。なかなかいい青春だよなー。
Posted by ブクログ
ススキノ探偵シリーズ11作目。
しごく当たり前のことだけれど、ススキノ探偵の「俺」にだって若いときはあったのだ。
高田とはもちろん交遊があり、桐原ともすでに顔見知りだ。
どんな生活なのかと思えば、あまり大きな違いはない。
「俺」はやっぱり若くても「俺」で、基本的な性格は変わってはいない。
大学生活を送りながら、怠惰な時間を送る日々。
だけど、ススキノの歓楽街に出入りはするものの、まだススキノに溶け込んではいない。
親しくなった女性が姿を消したことから、「俺」は彼女を捜してどんどん深みにハマっていく。
気づけばけっこう怪しげなところまで踏み入っていて、謎は少しも解けそうにない。
いかにも「俺」らしい展開だ。
脇本先生に手紙を訳してもらう場面は、ちょっと「俺」がかわいそうになってしまった。
いなくなってから気づく気持ちって確かにある。
二度と会うことはないとはっきりわかってから、「俺」はようやく自分の気持ちに気づいたんだろう。
恋とは違うかもしれないけれど、ある種の喪失感じゃないだろうか。
「ススキノ探偵」シリーズを読んできたからこそ、この物語の面白さがわかる。
もしも、まだシリーズを読んでいないのにこの物語を手にしてしまったら・・・。
ぜひ、先にシリーズを読むことをお勧めする。
Posted by ブクログ
「探偵はバーにいる」のシリーズを映画も本もどちらも見ていない。かなり話題になってもいたし、そこそこ興味もあったのだが私なりには優先順位が低かったといえる。
本書がそれらの前日譚であるということを知らずに手にとってみた。
内容的にありがちなストーリーでありそうでいて、実はこれまでに経験したことのないスリルを随所で感じることができた。
ミステリーであるとの先入観をもって読んでいたが、殺人があったり、盗難があったりのいわゆる刑事事件がなかなか勃発しない。
「俺」は自堕落な日々の中で、自分自身に言い訳をしながら飲んだくれ、遊び歩いている、と思いきや、北海道大学の学生、つまり秀才であること、そして週1回のゼミには必ず出席すること、家庭教師のアルバイトを決して休まない等々のぎりぎりの線での自尊心を持ち合わせており、そのことが自分自身も読者も「俺」に安心し、許容している。
物語は作者の経験(体験)も盛り込まれているということであるが、どの部分が実話であるかはもちろん不明である。いつ、推理を働かせるような事件が発生するのか、今か今かと読み進んでいったが結局そういう意味での事件といえる出来事が出現したのは、九割方読み進んでからであった。
最後の一割で少しばかりの推理の要素を含んだ事件に巻き込まれ、とりあえずはハッピーエンドなんだろう、という終わり方で締める。
全般的に新鮮な文体で中身の濃い作品であった。
非常に興味をもった点
1 「飯島」の裏稼業が物語において何の影響も及ぼさない、単なる効果音的存在であったこと。
2 「俺」の氏名が最後まで明かされなかったこと。
Posted by ブクログ
ススキノ探偵シリーズ10作目。
1作目よりも前、主人公・「俺」が探偵になる前の、
大学生時代の物語。
映画化を記念した作品とのこと。
気に食わない喫茶店のマスターを嵌めたり。
老人を守るためにヤクザに突っかかったり。
恋に落ちたフィリピン人のために命を賭けたり。
まさに青春という感じ。
感性のまま危険を顧みず顔を出してしまうスタンスは
探偵になってからも変わってないが、全部が中途半端に終わっている。
シリーズ読者だからこそ、題名の深みをより感じられる。
そしてシリーズ読者だからこそ、お馴染みの登場人物の若き姿に触れる事ができる点も、面白い。
また、あとがきで作者は小説の映画化について言及している。
小説と映画では「伝え方」が違う。
それぞれが違う発信者としてのプロ。
そこに口を出すのはナンセンス。
そんな作者のスタンスにさらに好印象を覚えた。
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