沢木耕太郎のレビュー一覧

  • オリンピア1936 ナチスの森で(新潮文庫)

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    著者の根底には、参加者に勝手な思いを押し付ける人々に対する違和感があるのではないだろうか。それほどまでに、オリンピックは、いつの時代も人々を熱狂させるものなのかもしれない。

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    2022年05月09日
  • オリンピア1996 冠〈廃墟の光〉(新潮文庫)

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    コロナ禍で海外旅行が厳しいと感じたためか、読書中にGoogleマップを使ってしまう。著者がオリンピアの遺跡を訪れているなら、その場に立ってみる。
    著者のような洞察力があるかどうか確認したく、アトランタオリンピックのフェンシング代表の話になれば、彼らの写真を検索する。
    著者が見えている世界と、私が感じる世界の差分を体感しようとした。つまり、彼のような日記は書けないだろう。

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    2022年04月03日
  • ポーカー・フェース(新潮文庫)

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    代田の古本屋で発見。

    沢木耕太郎は深夜特急しか読んだことはなく、エッセイは初めて。
    男性の作家の文章はやっぱり好きだけど、エッセイを書くとなると人生で経験してきた話が元になるからか、やっぱり年齢を重ねた人の経験談、良い意味でおじさん臭がするものが多いんだよな。話題とか。
    若い男性の作家でエッセイが面白い人って誰かいるのか、探してみたい。

    一番印象的だったのは、ダントツで
    “「いままでの人生で、大事なことというのは男と女のどちらに教えてもらいましたか」"

    これは面白かった。

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    2021年12月26日
  • 世界は「使われなかった人生」であふれてる

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    映画を通してみる人生。映画を見ることは、何か、自分が行かなかった人生を擬似体験することに似ている。どの作品評も映像が蘇るくらいに描かれていて、見てみたいと思ってしまう。

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    2021年11月21日
  • 敗れざる者たち

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    勝者と敗者。注目され、歴史に残るのはどうしても勝者になる。
    とはいえ、勝つこと、栄光を掴むことだけが人生ではない。
    勝っても負けても、人生を生ききる姿が胸を打つ。
    円谷幸吉さんの人生が残念だ。

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    2021年09月25日
  • 旅のつばくろ 電子オリジナル版 無料お試し版

     

    購入済み

    よい

    沢木耕太郎のはじめての旅は16歳、行き先は東北。あの頃のように自由に、気ままに日本を歩いてみたい。この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩いてみようか……。

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    2021年07月31日
  • 春に散る(下)

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    「生きる意味が見つからない」という人が本書には出現します。この雰囲気が、懐かしいというか、昭和というか、過去に執着しすぎ=男のクセに女々しいというか、つまりどちらかというとネガティヴな印象が第一印象なのですけれど、どこかカッコよくもあるんですよね。

    。。これってひとことで言うと、「不器用だけど真面目でまっすぐでちょっと色気のある男」のことだ! と気づいて、本作はフィクションなのだけれど、やっぱり沢木耕太郎さん作品だな、と勝手に納得したのでした。

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    2021年03月28日
  • 旅の窓

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    ぐいぐい引き寄せる文章を読むと旅の絵が思い浮かんでくる。そして短めの章の終わりに筆者の撮った写真が現れる。そしてその写真はほぼ想像を越えない。文章ほどには届かない。やはり筆者は文章のプロということなのだろう。
    中には想像を超えた心をうつ写真もあることは補足します。

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    2020年11月17日
  • 危機の宰相

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    解説にもあったが、日本という国の青春の本。
    その意味では、坂の上の雲に通じる。
    富国強兵と所得倍増計画。

    しかし、池田勇人についてほとんど知識がなかった。
    少なくとも本作では理想的な保守政治家として描かれており、非常に魅力的な宰相だが、吉田茂、田中角栄はもちろん、岸信介、佐藤栄作などよりも知名度は低い。
    それ自体が、この国の知的な悲劇だと思う。

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    2020年11月01日
  • 一瞬の夏(下)

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    ネタバレ

     思えば、ボクシングというのは独特なスポーツである。選手には過酷なまでのトレーニングと節制が求められる一方で、リングの下では大金が動き、怪しげな人士が跋扈する。試合と興行という言葉が矛盾なく同居する唯一の競技でもあるだろう。
     いまからおよそ四十年ほども前、そんなボクシング世界の片隅に一瞬去来した光芒を、優れたルポライターが拾い上げて書いた。本書をごくかいつまめばそのようなものになるのだが。


     実のところ、筆者自身はまるでボクシングというものに知識がない。本書に書かれる不世出の天才ボクサー、カシアス内藤という名前も初めて知ったていどである。混血のボクサーであり、かつては天才として一世を風靡

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    2020年10月31日
  • 春に散る(下)

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    沢木耕太郎のボクシング小説。上下2巻。
    40年前、小さなボクシングジムで共に世界を目指した階級違いの4人のボクサー。夢に破れ、それぞれ孤独な生活をしていた4人が再び一軒の家で共同生活を送りながら、知り合った若いボクサーを育て、世界チャンピオンに挑戦するお話。
    とても面白い。上下二巻が気にならないくらいサクサク読めます。
    でもね、マンガの面白さなのです。一試合毎に4人ぞれぞれの必殺パンチを若いボクサーに伝授し、それを使って見事なダウンを奪って行く。そんなストーリー立ても登場人物の設定も、なんか絵に描いたような稚拙さです。でも、流石に文章は上手いし、マンガなんだと割り切ってしまえば面白い話なのです

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    2020年10月08日
  • 危機の宰相

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    令和になって読んでもっとも驚くのは、こんなふうに情熱をもって、「尽忠報国」の精神で働ける政治家がちゃんと日本に存在していたのだということ。
    いまの政治家の実情を知っているわけではないが、そんな姿勢でまつりごとをしていれば絶対にこんなふうにはならないのではないかと、思えてならない。
    下村治のゼロ成長理論への転換と、三島由紀夫の「世界の静かな中心であれ」を絡めた段には、常々自分が感じていることに非常に近いことがらが語られていたことにも膝を打つ思いがした。
    経済大国であるという誇大妄想、これからも「高度成長」できるという嘘をかがげながら権力闘争に明け暮れる政治屋たち、「終活」を考える気のないこの国で

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    2020年07月23日
  • テロルの決算

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    緻密な取材と描写が光る。
    時代背景に無知な自分のような読者にも(未知の言葉や人物を調べつつ、という作業は必要になるが)文脈を示し、出来事を筋立てて理解させてくれる。そのくせ、沢木氏の真骨頂ともいえるドラマ性の高い筆致が、難解さや淡白さを許さず、面白く読み進めることができた。テロルを起こす側と起こされる側、主人公ふたりのXデーまでの道のりを丁寧に、ドラマチックに仕立てた構成が見事。

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    2020年03月23日
  • 一瞬の夏(上)

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    強打をうたわれた元東洋ミドル級王者カシアス内藤。当時駆けだしのルポライターだった“私は、彼の選手生命の無残な終りを見た。その彼が、四年ぶりに再起する。再び栄光を夢みる元チャンピオン、手を貸す老トレーナー、見守る若きカメラマン、そしてプロモーターとして関わる“私"。一度は挫折した悲運のボクサーのカムバックに、男たちは夢を託し、人生を賭けた。 "

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    2019年06月26日
  • 一瞬の夏(下)

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    偶然によって出会ったいくつかの情熱が、一つの目的に向かって疾走する。東洋タイトル戦の実現に奔走する“私。だが、生活のためにはトレーニングを犠牲にしなければならないボクサー、対立する老トレーナー。絶望と亀裂を乗り越えて、最後に彼らの見たものは……。一つの夢をともにした男たちの情熱と苦闘のドラマを“私ノンフィクション"の手法で描く第一回新田次郎文学賞受賞作。 "

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    2019年06月26日
  • テロルの決算

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    刃を持った17歳の右翼少年と、刺殺される社会党党首/ 両者を掘り下げてその悲劇をリアルにする/ 左翼活動全盛期の追い詰められた右翼がよく描かれている/ 

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    2019年04月15日
  • 旅の窓

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    旅の写真とエッセイ。
    写真は撮る人と撮られる人と読み手の関係性だと聞いたことがある。
    この人のエッセイが今の私の心を揺さぶり、琴線に触れるのも、この時の著者と今ここにいる私との関係性なんだろう。

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    2018年06月23日
  • 世界は「使われなかった人生」であふれてる

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    いい映画かどうかは、判断できないけど見たくなる内容。感情移入した文は、心を動かす。まあ映画のいい悪いの基準は個人だけど

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    2018年05月03日
  • 若き実力者たち

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    沢木耕太郎が40年以上前に当時の若手のキレ者的な人々について書いたもの。世に出てきた頃の沢木さんの筆力を感じるのも面白い。さすがに随所で若さを感じる。自ら「人物紀行」と銘打っているけど、確かに人物評というわけではない著者のうるささがあまり入っていないのはいい。とはいえ、取り上げる人を選んだのは、唯一の女性である安達瞳子を除けば沢木さん自身であり、好みや興味が寄る人を取り上げていることにはなる。
    取り上げているのは、尾崎将司、唐十郎、河野洋平、秋田明大、安達瞳子、畑正憲、中原誠、黒田征太郎、山田洋次、堀江謙一、市川海老蔵、小沢征爾という面々。45年くらい前に世に出てきた方々を、40年以上を経た現

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    2018年04月22日
  • 旅の窓

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    沢木氏が旅先で自ら移した写真とそれにまつわる文章をあわせたもの。写真はそれぞれなかなかだけど、やっぱり文章がつくことでとらえどころがわかる感じだな。文章は10行ほどの短文なんだけど、そのなかで言わんとするところを伝えようとしたり、オチをつけようとしたり、長文の紀行文などでは冷静に感じられる沢木さんがちょっと苦心している感じがしてかわいらしい。

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    2017年12月23日