沢木耕太郎のレビュー一覧

  • 世界は「使われなかった人生」であふれてる

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎が「暮しの手帖」に連載していた映画評。
    子供を映画館に連れていく以外に映画を観ない自分が、「この映画観てみたい」と思ってしまうような鋭い評分。
    著者の映画評は監督/俳優に詳しく焦点を宛てる。また、その演技だけでなくどんな人生がその背後にあるのかも書く。そこは世界各地を旅した沢木耕太郎だけあって、遠く離れた現地の情景がありありと浮かび上がってくる。
    その瞬間不思議と、映画で映されているのは、自分とは無関係の世界ではなく、もしかしたら自分にも相関する/していた人生なんじゃないかとふと思う。

    0
    2022年08月10日
  • 作家との遭遇(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    著者の分析力、評論の眼差しについつい引き込まれる。
    中でも、私の敬愛する田辺聖子、向田邦子についての章が秀逸。
    田辺聖子の「しんこ細工の猿や雉」は自伝的小説、その自分と他者への距離の取り方を絶賛。
    「父の詫び状」の中の”ねずみ花火”の完璧なカードの切り札。再読したい本がいっぱい。
    寂聴氏の「美は乱調にあり」も関心あり。

    0
    2022年08月02日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

    Posted by ブクログ

    トーンが著者のラジオで聴いた語りのままで心地良い。
    「旅先に心残りをつくるのも悪くない」「偶然の遭遇 すれ違い」「旅に出てから学ぶタイプ」「思いもよらずの為に隙間を作っておく」「黄金の刻 旅の神様」ー33のエッセイに出てくるこれらの言葉。旅はいい。
    私も若い頃に著者の真似をしていた”旅のリュックにリンゴを…”の最初の話が出てきたのには感動。

    0
    2022年07月09日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

    Posted by ブクログ

    とても読みやすいエッセイシリーズだと思う。

    土地勘や全くない地域がほとんどだったり、自分自身の知識が浅い内容を色々出てくるが、栞を挟んで置くという選択肢が出てきてもおかしくないが、読み進めさせてくれる。(最近、本を読むのがしんどいと思う時間が長いがそれでも読める。)同じ経験はしていないが、「わかる!!」と思わせてくれることが多く記されている。

    西日本中心のものが是非出てほしいと思う。

    0
    2022年07月03日
  • オリンピア1996 冠〈廃墟の光〉(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    アトランタオリンピックのノンフィクション。
    沢木耕太郎が体験したアトランタという街とオリンピックは…。

    東京オリンピックはかつてないコロナ禍での開催となった。
    どのオリンピックも最先端技術を駆使して、綺麗な映像やパレード、選手村の様子が華々しく映し出される。

    付け焼き刃的なドタバタもあるものだ。なかなか冷静な対応もできなかったり。
    アトランタにそんな事があったのかと改めて知ることができた。
    東京オリンピックとの比較もしながら、アトランタの裏方や背景が沢木耕太郎から溢れて止まらない。
    たっぷり楽しめた。

    0
    2022年06月06日
  • 一瞬の夏(下)

    Posted by ブクログ

    障害物だらけの人生の中、
    どこまで本気で向き合えるか、
    自分の人生をここぞという時に賭けれるか。

    カシアス内藤と沢木さんの話。

    0
    2022年05月31日
  • 作家との遭遇(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎が言うところの…〈作家との遭遇〉は2つあり、ひとつは酒場。もうひとつは文庫の解説を書く機会と…あとがきに記す。

    ひとたびその機会を得られると、著書は〈ひとりの作家について学ぶためのチャンス〉と見なし、全作品を読み通し、自分なりの『論』を立ててみようとする。

    通常の文庫解説は400字×10数枚。意気込み溢れる沢木耕太郎にはそんな紙幅には収まらず、最低でも20〜30枚、時に40枚程になることもあり、文庫解説のレベルをはるかに超えた労作となる。

    その創作を振り返り、大学の卒論『アルベール・カミュの世界』執筆時と同じ昂揚感を覚えたと坦懐。

    本書には19名〈井上ひさし・山本周五郎・田辺

    0
    2022年05月25日
  • 作家との遭遇(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎(1947年~)氏は、横浜国大経済学部卒のノンフィクション作家、エッセイスト、小説家。『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞(1979年)、『一瞬の夏』で新田次郎文学賞(1982年)、『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞(1985年)、菊池寛賞(2003年)、『凍』で講談社ノンフィクション賞(2006年)、『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞(2013年)等、数々の受賞歴あり。また、1986~1992年に刊行された『深夜特急』は、バッグパッカーのバイブル的な存在となった。
    私は、最も好きな書き手は誰かと問われれば、迷わず沢木氏の名前を挙げるファンであり、多分の例に漏れず、『深

    0
    2022年05月08日
  • 敗れざる者たち

    Posted by ブクログ

    勝負の世界に生きるが故に勝者と敗者に分かれるアスリート。そして多くのスポーツの歴史や物語は勝者の視点で書かれているが故に勝つことの出来なかった者の視点で書かれた本書は、勝てなかった、陽が当たらなかった選手たちに思いを馳せられるノンフィクションであり、読み応えがあった。

    0
    2022年04月14日
  • 旅のつばくろ 電子オリジナル版 無料お試し版

    購入済み

    旅気分

    収録された作品が新幹線とかでよく見かける車内旅行誌に連載されていたことを思い浮かべると、まさに自分がその見知らぬ土地に旅行しているかのような錯覚が、作者沢木の独特な表現描写によって思い起こされる感じがします。関東を舞台にした作品は印象に残りました。

    0
    2022年04月01日
  • 波の音が消えるまで―第3部 銀河編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    冒険研究所書店の選書で購入。

    劉の体が悪くなり、金も尽きた航平は一度日本に帰り、治療費を作ってマカオに戻る。

    しかし、劉はすでに亡くなって、李蘭に一冊のノートを託す。

    そのノートにはバカラの必勝法が書かれているとばかり思ったが、ノートにはただ一言「波の音が消えるまで」と書かれただけだった。

    この本を完読した感想は「村田明美」に会いたいです。

    0
    2022年03月23日
  • 波の音が消えるまで―第2部 雷鳴編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    冒険研究所書店の選書で購入。

    丁半博打と同じ、白か黒かだけの勝負で果たしで必勝法はあるのか?

    単なる陳腐なストーリーにさせないのが、沢木耕太郎。

    0
    2022年03月23日
  • 波の音が消えるまで―第1部 風浪編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    冒険研究所書店の選書で購入。

    サーファーでカメラマンだった伊津航平はバリで1年間過ごしたあと、日本に帰国する途中乗り継ぎで中国返還前日の香港を訪れる。

    香港のホテルが満室で、人の勧めもありマカオに向かう。
    そこのホテルで「バカラ」と出会う。

    マカオのホテルリスボア(実在する)のカジノを舞台に、娼婦の李蘭、劉と名乗る男性とバカラをめぐり話が展開していく。

    0
    2022年03月23日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    そんなにこの作家の経歴を知らないので、ほー、こんなところに手を出してたのか、と意外感あり。そしてそこから本能的になのか、その筋には進まなかったことも妙に納得。
    ともあれ内容はなかなか面白いです、そして分かってはいるけれどもますます日本は斜陽なんだな、、、と得心する次第です。

    0
    2022年03月10日
  • 将監(しょうげん)さまの細みち 山本周五郎名品館IV

    Posted by ブクログ

    泣ける。ドラマがある。人の心にジーンとくる。思想でも、主義主張でもなく、沁みてくる。黒澤明やテレビのドラマで使われる題材が山ほど、そこにはある。

    0
    2022年02月22日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

    Posted by ブクログ

    いいです。勧善懲悪、予定調和ながら泣かせる。日本人のベースは、こういった物語で作られていったのだろう。テレビドラマでもよく見られるわけだ。

    0
    2022年02月08日
  • おたふく 山本周五郎名品館I

    Posted by ブクログ

    価値観の旧いところと今に通じるところといろいろあるものの、名もない人たちの日々の努力は泣ける。文豪は、夏目や谷崎だけではありません。

    0
    2022年01月23日
  • 深夜特急(1~6)合本版(新潮文庫)【増補新版】

    購入済み

    電車旅がしたくなる

    ユーモラスで情景が浮かぶような語り口が特徴。ボリュームもあり、読み応えたっぷりです。今すぐ電車で世界を旅したくなる本。

    #笑える #エモい

    0
    2021年12月18日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

    購入済み

    武士と職人の江戸情歌

    沢木耕太郎の選んだ周五郎作品集(I)「おたふく」が良かったのでこの(II)を購入しました。直木賞を辞退した周五郎のような、意地っ張りの武士、職人の男伊達が巧みに描かれております。「情」たっぷりで、演歌のような情感を感じました。でてくる男性よりも女性の方が魅力的だとの見方もあるようですが、読み方次第ですね。「おたふく」も是非お読みください。(完)

    #胸キュン #切ない #ほのぼの

    0
    2021年12月04日
  • 敗れざる者たち

    Posted by ブクログ

    この作家がこんなに昔の人なのかと思う位の現代性ありです。対象とする題材は明らかに古いけれども読める、これは並のものではないです。
    この作家の前がどうなのかが分かりませんが、例えば某スポーツ雑誌の記事、本作の類型だなと認めるところから始まるくらいの代物かと。

    0
    2021年11月23日