沢木耕太郎のレビュー一覧
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まさに一期一会の旅。
この本でいちばん心に残るのは、ふらっと立ち寄った場所で出会う人たちとの交流だ。
商売目的で近づいてくる者もいれば、親切心から食事を奢り、一緒に宿を探し、駅まで見送ってくれる人もいる。現地の子どもたちと無邪気に遊び、ときには連れ込み宿の住人たちと深く打ち解ける。
そうして言葉を交わす中で、その街の輪郭が浮かび上がり、同時に自身の旅を見つめ直す。出会った人たちと二度と会うことはないかもしれない。それでも、その一瞬を確かに分かち合っている。
放浪の旅の醍醐味は、「どこへ行くか」ではなく、「誰と出会い、どんな時間を過ごすか」にあるのだと教えられた気がした。 -
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ネタバレ(第14章)パルテノン神殿に対して「観光地として生き永らえている」と印象を持つ感覚は少し分かるような気がした。
旅に好奇心や新鮮さ、刺激を感じなくなってくることを「旅の壮年期・老年期」と人生になぞらえていて、ますます旅を魅力に感じる。
「旅は私に二つのものを与えてくれたような気がする。ひとつは、自分はどのような状況でも生き抜いていけるのだという自信であり、もうひとつは、それとは裏腹の、危険に対する鈍感さのようなものである。(中略)「自信」が「鈍感さ」を生んだのだ。私は自分の命に対して次第に無関心になりつつあるのを感じていた。」 -
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ネタバレイランは行ってみたい国のひとつ(シーラーズのピンクモスクを見てみたいという程度の動機だけど)
深夜特急は、旅をするとはどういうことか、を考えさせてくれる。4巻目の対談(文化人類学者 今福龍太氏と)では特にそうで、
「留まることと移動することについて」
「世界には2種類の場所がある。放っておいても何かが起こる場所と、自分からアクションしないと物事が動かない場所」
「それを知って何かが起こる場所へ出向くのか、それとも行った先が結果的にそうなのか」
それから、言葉で理解することの限界について知りながらも、言葉で理解できることもあると希望を捨てない…というフィールドワークやインタビューについての -
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ネタバレバックパッカーのバイブル『深夜特急』3巻目。
こんな状況だったらきっとそう感じるだろう、と共感できそうなこと(とはいえ誰でも実体験が可能ではないこと)を豊かに表現していておもしろい!情景が浮かんでワクワク、ドキドキする。
旅先で人と出会い、そのたびにぐるぐる色んな感情を感じる豊かさと、自分は旅人であるということへの寂しさ、孤独感のようなものを感じながら読んだ。
このシリーズは最後の対談とエッセイで満足感がさらに上がる。
「好奇心が摩耗しているのに外国旅行をしなくてはならないというのはほんとに切ないことですね」
「旅がすさんできた」
こんな表現が分かるような旅をしたことはないけど、ああそ -
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ネタバレ『凍』を読んでから改めて著者の作品に興味を持ち始めたので、購読。戦後の宰相やその周りの政策当局者が何を考え、どう行動したか。下村恭民(下村治の息子)による解説で強調されているが、本書の中では当時の政策当局者が経済理論に強い関心を持ち、この取組みの中から「所得倍増」等のキーフレーズが誕生したことが示されている。復興期に於ける米国との関係維持だけでなく、その先にどう成長を実現していくか、まさに一寸先が見えない状況に於いて、引くべきレバーは設備投資費の増加なのか等、マクロな視点で経済を捉え、議論していた過程が印象的であった。当時に比べて現在は、成長が長らく停滞し、それ故にわかりやすい1つのスローガン
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ネタバレ右派であるとか左派であるとかは関係なく、大声で人を恫喝する人や暴力で言うことを聞かせようとする人が苦手です。
そういう人の話を聞くのもちょっと無理。
なので、テロリストのノンフィクションというのは、わたしには少しハードルが高いものでした。
それでも、レッテルを貼って知った気になってはいけないと自分を鼓舞して読みました。
読んでよかった。
殺された浅沼稲次郎も殺した山口二矢も、損得で行動する人ではありませんでした。
なんとなく流されるということのない二人は、どちらも人付き合いが不器用です。
ある意味、信念に基づいて行動する、聞く耳持たない人の方が始末に負えないのかもしれません。
浅沼は年の功 -
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なんて自由気ままな旅なんだろう。
目的地も日数も決めず、行く先々の街に溶け込み、現地の人たちと触れ合い、現地の食事やイベントを楽しみ、時にボーっと海を眺めて過ごしたり、時にカジノに熱狂し、気が済んだら次の街へ向かう。
本作を読んでいると、自分もこういう気ままな旅がしてみたいと思った。豪華なホテルや高級レストランに行かなくても、世界遺産や有名な観光地に行かなくても、旅はいくらでも楽しめるんだな。
本作はまだ香港とマカオに立ち寄ったところで、長い旅の始まりに過ぎない。これからどんな出会いがあり、どんな景色を見せてくれるのか。一緒に旅をしている気分で読んでいきたい。