沢木耕太郎のレビュー一覧

  • おたふく 山本周五郎名品館I

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    【あだこ】
    山本周五郎作品の一位が塗り変わった。
    あだこ。
    人は不幸や苦しみからしか学べないというけれど、ここまでの人柄になるまでにはどれ程の事があったのか。
    誠実に仕事をする。
    誠意を持って人と接する。
    日々の中で出来るようでつい疎かになってしまう時、怠けてしまいそうになった時、あだこを思い出したいと思ってしまう。
    荒れた庭の草むらの中からひょっこり立ち上がったあだこを思うと涙が出てしまう。
    福の神。あだこは福の神だ。

    どれも後味の良い爽快な物語だけれどコレは刺さった。
    山本周五郎を知って本当に良かったと思う作品だった。

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    2022年12月02日
  • オリンピア ナチスの森で

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    「沢木耕太郎」がベルリンオリンピックを描いたノンフィクション作品『オリンピア―ナチスの森で』を読みました。

    「沢木耕太郎」作品って、一冊読むと、また違う作品を読みたくなる魅力がありますね。

    ということで、『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』、『旅する力―深夜特急ノート』に続いて「沢木耕太郎」作品です。

    -----story-------------
    1936年夏、ナチス政権下のベルリンで第11回オリンピックが開催された。
    「ヒトラー」が開会を宣言し、ナチスがその威信を賭けて演出した。
    その大会を撮影し、記録映画の傑作『オリンピア』二部作を生み出した天才「レニ・リーフェンシュ

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    2022年11月23日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

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    何度読んでもそのたびに、江戸時代の情景が光や影の様に眼前に広がり、想いを異なった形で伝えてくる。
    秀逸と思う。
    一時、江戸時代の鎖国が今の閉鎖的な日本人の原型を作ったのかなと感じ、嫌になった時間が有った。
    しかし、歳を重ねて人生を歩んでくると、嫌でも「自分に流れて居る血」は日本人そのものだし、自然の風景は人口の手になるモノ以外は縄文弥生時代からの山地。

     周五郎がが描く世界は ほんとにちっぽけ・・今のIC,ネット社会が生んだ利器の社会と比べるととるに足らない空間かもしれない。でも人間が持つ力は大きく変わっていないことに気づかされる。
    執念・怨嗟・憎悪・仁徳・孝養・・・ひとかけらの温もりが人の

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    2022年10月28日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

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    旅のつばくろシリーズ第二弾。短いエッセイの中に濃縮された人生の悲哀。名人の域に達したと言える筆者の絶妙な筆致。さあ、旅に出よう。

    なぜ一つの旅、短いエッセイからこれだけ奥深いものが引き出せるのだろうか。どこか人生の悲哀を感じつつも小さな驚きと感動がある。

    山口瞳に教わったという紀行文を書くための要諦、特に「滞在中ひとつの店に何回も行く」が秀逸。

    筆者の心象風景。黒塀と丸型ポスト。それがとある町を旅してふと見えてくる場面。

    さほどの分量ではない本だが無限の感動を持った1冊。

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    2022年10月23日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版 無料お試し版

    匿名

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    懐かしい

    新幹線移動中によく車内で読んでいたトランヴェールの収録話、この一冊にまとめられています。著者さんによる感性と細やかな文章力のレベルが高く、かつ旅のお供にぴったりの内容もあったりするので、とても印象に残るものばかりです。

    #ほのぼの

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    2022年10月04日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

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    沢木耕太郎の最新作といえば、新潮8月号9月号に掲載された超大作「天路の旅人」ということになると思うが、その発表の1か月ほど前に発刊されたのがこの本。前作「旅のつばくろ」の続編。「旅のつばくろ」はJR東日本の車内誌トランヴェールに連載されたもので、仙台に単身赴任してる最中に毎月楽しく読んでいた。今回の続編も一部読んだことがある文章もあったと思うが、仙台生活も終えて2年半経つのでほとんど初見。一つ一つが短く簡潔なのでとても読みやすいが沢木耕太郎の魅力は満載。読んで行きたい場所がいくつも増えたことは嬉しい限り。

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    2022年09月17日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    旅行記の最高傑作

    現代と状況は違うものの、そんなギャップは全く感じられない。
    文章も頭の中にスラスラ入っていき旅行記としては最高傑作だと思う。
    何度でも読み返したい秀作である。

    #感動する #癒やされる #ドキドキハラハラ

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    2022年07月11日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

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    沢木耕太郎(1947年~)は、ノンフィクション作家、エッセイスト、小説家、写真家。著者が、1974~75年に香港からロンドンまでを旅した記録『深夜特急』(発表は1986~1992年)は、当時のバッグパッカーのバイブル的存在としてあまりにも有名。1979年 『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1985年 『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、2003年菊池寛賞、2006年 『凍』で講談社ノンフィクション賞を受賞。
    本書は、JR東日本の車内誌「トランヴェール」の連載(現在も継続中)をまとめて書籍化したもので、2020年4月の『旅のつばくろ』(41篇を収録)に続く2冊目(35篇)。

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    2022年07月04日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    全巻通して
    カトマンズ辺りからトルコ辺りまではずっと、読みながら何か込み上げるものがあって、心拍数が速くなる様な感覚があった。

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    2024年03月01日
  • 深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―(新潮文庫)【増補新版】

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    筆者が唯一行ってみたいと思っていたペロポネソス半島は、生で見ずとも、魅力的に感じた。廃墟の美しさに気づいたような気がする。

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    2024年03月01日
  • 春に散る(下)

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    【春に散る】
    2020年2月に文庫本で発売された著書を、ある知り合いからお薦めいただき読み始めました。

    人生を豊かに生きるための心構えのようなものを教えていただいた感覚が残る小説でした。

    かつてはボクシングの頂点を目指した4人の仲間が、それぞれの人生を歩みながら40年ぶりにまた共同生活を送ることになるのですが、そこにはそれぞれの役割だったり、お互いを思い遣る言葉遣いや振舞いがとても心温まるものです。

    『俺は今、生きているか?』

    『果たせなかった夢をふたたび手に』

    単なる人生の終盤を迎えた男たちの物語ではなく、今をどう生きることに意味があるのかを問いかけられた気持ちになる著書でした。

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    2022年03月21日
  • 春に散る(上)

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    【春に散る】
    2020年2月に文庫本で発売された著書を、ある知り合いからお薦めいただき読み始めました。

    人生を豊かに生きるための心構えのようなものを教えていただいた感覚が残る小説でした。

    かつてはボクシングの頂点を目指した4人の仲間が、それぞれの人生を歩みながら40年ぶりにまた共同生活を送ることになるのですが、そこにはそれぞれの役割だったり、お互いを思い遣る言葉遣いや振舞いがとても心温まるものです。

    『俺は今、生きているか?』

    『果たせなかった夢をふたたび手に』

    単なる人生の終盤を迎えた男たちの物語ではなく、今をどう生きることに意味があるのかを問いかけられた気持ちになる著書でした。

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    2022年03月21日
  • 寒橋(さむさばし) 山本周五郎名品館III

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    あの国民的作家山本周五郎作品の沢木耕太郎セレクト版、全四巻中の三巻。作品も解説も絶品。

    落ち梅記、寒橋、人情裏長屋、なんの花か薫る、かあちゃん、あすなろう、落葉の隣り、茶摘みは八十八夜から始まる、釣忍、の九篇を収録。

    人情裏長屋と母ちゃんが有名であろう。私的には寒橋の切なさと感動が良かった。ついて良い嘘というものがある。

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    2022年02月27日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

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    国民的作家山本周五郎の珠玉の短編集。選者はあの沢木耕太郎。これが面白くないはずがない。様々なテーマ、舞台。山修の守備範囲の広さには驚かされる。

    直木賞ほか文学賞を全て辞退したという山本周五郎。没後50年が過ぎても今でも多くの作品を簡単に入手することごできる。作品数から言えば司馬遼太郎と並ぶ国民的な作家であろう。

    「ちいさこべ」「法師川八景」「よじょう」「榎物語」「裏の木戸はあいている」「こんち午の日」「橋の下」「ひとでなし」「若き日の摂津守」

    本書は、沢木耕太郎が4巻に9作品ずつ合計で36編の短編小説を選んだもの。さすがにいずれもレベルが高い。映像化するなら「ちいさこべ」が良くまとめられ

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    2022年01月31日
  • おたふく 山本周五郎名品館I

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    名人は名人を知る。紀行文、ノンフィクション作家が選ぶ文豪山本周五郎の珠玉の短編小説。

    本シリーズはあの沢木耕太郎の選んだ山本周五郎の短編小説。
    沢木は全集で全38巻、300編の小説から名作と呼ぶにふさわしい36編を選び4巻の名品館にまとめている。

    本書はその第1巻。あだこ、晩秋、おたふく、菊千代抄、その木戸を通って、ちゃん、松の花、おさん、雨上がる。の9編。

    半分ぐらいは一度は読んだことのあるものだったが、映画になった雨上がるを除き詳し筋は忘れてしまっていた。今回あらためて読み、新たな発見と感動が多数。

    山本周五郎の描く女性。そして貧しくとも懸命に生きる市井の人々。人それぞれの哀しみを

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    2022年01月26日
  • テロルの決算

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    当時の風景が動画を通じて

    YouTubeに実際の動画があり、当時の風景が鮮明に伝わってくる。
    読む時期としては45歳の私にはちょうど良かった。良い意味で人生に少し影響を及ぼしてしまうような作品でした。

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    2021年10月20日
  • テロルの決算

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    私が生まれて間も無くの事件だった。
    短刀を構えた青年が、壇上の浅沼氏に襲いかかる映像も何度も目にした。
    子供心に公衆の面前で浅沼氏が刺殺されるというショッキングな事件を覚えている。
    この作品で山口二矢という青年を知り、彼の思考を知り、あたかも鞘を持たない抜き身の刃物のような存在に思えたこともある。
    純粋さやひたむきな正義感は直情的な行動に移行すると凶器になってしまう事があると改めて感じた。

    (発売当時の月刊文藝春秋で読んだと記憶す)

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    2021年10月10日
  • 敗れざる者たち

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    45年前、生まれ育った街の当時としては比較的大きな書店で手にした単行本。以来、折に触れて読み返し、またこの作者の本をすべて読んできた。この作品に出会ったことで読書好きの今の自分が居る。新装版はカバンの中に入れて持ち歩こう。

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    2021年03月30日
  • テロルの決算

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    ずっと前に買ってあったが、全く読めておらず本棚に眠っていた。さすがにノンフィクションの金字塔といわれる作品。読み応え十分。目のつけどころもすごいし、事件が事件だけに、取材するのが相当に大変だったと思われる。インタヴューを重ね丁寧に文章を紡ぐ。こんなことはなかなかできないことだと思う。この人にはかなわないと改めて思ってしまう。

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    2020年12月07日
  • ポーカー・フェース(新潮文庫)

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    バーボンストリート、チェーンスモーキングに続く、同種のエッセイ集。流れるような話の運び方は本当にさすがだと思う。高峰秀子とのエピソードなどは、人間的な魅力のなすものなのだろう。人間力の極みだ。前2作よりだいぶ最近のことになるので、それはそれで楽しめた。

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    2020年11月05日