沢木耕太郎のレビュー一覧
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現実に起きたこの事件は知らなかったが、小説として書き起こされた当時の情景に息を呑む思いを感じる。17歳の少年が人を殺し冷静に取り調べを受け自決する。物語終盤の以下の言葉が少年テロリストのものに思えないが、そう思って読むと様々な感情が湧き起こってくる。
「私の人生観は大義に生きることです。人間必ずや死というものが訪れるものであります。その時、富や権力を信義に恥ずるような方法で得たよりも、たとえ富や権力を得なくても、自己の信念に基づいて生きてきた人生である方が、より有意義であると信じています。自分の信念に基づいて行った行動が、たとえ現在の社会で受け入れられないものでも、またいかに罰せられようとも、 -
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上巻の最後、老齢の4人は才能を秘めた若者・黒木と出逢いました。下巻は、この黒木が4人からボクシング指導を仰ぐ場面から始まり、物語の展開スピードが増していきます。
「孤独」「陰」のイメージの上巻、下巻は「陽」の印象が強まり、ゆっくり流れていた4人の共同生活は、次第に活力がみなぎり、変化していきます。
自分たちの経験と技を黒木に伝えようと指導に注力していく様は、新たな目標をもった人間の潜在的なパワー、伝える熱意の凄みさえ感じます。
まるで、自分たちが果たせなかった夢を追い求めるように‥。
不動産屋の佳菜子は、陰ながら重要な役割を果たしていますが、彼女の過去等少々盛り過ぎ感が‥。
ボ -
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主人公は、かつてボクシングで将来を嘱望されるも、不公平な判定負けを契機に渡米した広岡仁一。米国で再起を目指すも叶わず、ホテル経営で成功し40年が過ぎていました。病を抱えながら、ふと唐突に帰国するところから物語は始まります。
ここから広岡は、自分の目的も判らないまま、記憶を辿り過去をなぞり、導かれるように動きます。かつて試合をした後楽園ホール、ジム、更に四天王と呼ばれた仲間たちを訪ねて‥。
上巻は、このようにボクシング場面がほとんどなく、沢木さんが得意とする放浪の旅に近い旅情を誘う描写が多く、情景が目に浮かぶようです。
また、登場人物の描き分けが素晴らしく、それぞれ個性的で人間臭さが -
Posted by ブクログ
4人の元ボクサーが翔吾に自分の必殺技を伝授し世界チャンピオン目指して育てていく姿に感動した。ボクシングの試合の描写がリアルで目に浮かんで来る。
心に残った言葉
・真拳ジムのなくなった会長は、なぜボクサーがトレーニングをするのか、それはリングの上で相手より自由になるためだ、と常に言っていた。
・そう、料理もアイロンかけも、ボクシングのトレーニングと同じだ。家事が難なくできれば、日常というリングで自由に振る舞えるようになる。
・自分はまともにやらなかったが、勉強というやつも同じなんだろう。家で勉強しておけば、教室で自由に振る舞えるようになる。何でもそうだ。トレーニングというやつは、そこで輝きたい