沢木耕太郎のレビュー一覧
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マラソン選手の円谷さんの遺書がとても印象的でした。
大切な人たちへ書き綴った最後の言葉。文学知識のない私ですが川端康成さんの感想 悲しい響きという表現 にしんみりしてしまいました。
過去の動画や人物を検索しながら読み進める。円谷さん、内藤さん、難波さん、土屋さん、榎本さん、イシノヒカル 色々なスポーツ界の方々の活躍を知ることができました。プロ意識や、ハングリー精神、人知れぬ努力。
ラストの「ドランカー」では、ボクシング輪島対「クレイになれなかった男」に登場した柳さんとの試合、もしかしてカシアス内藤さんも登場するのでは!と…
誰もが勝つとは信じていなかった試合に勝利を収めた輪島さん。
P242 -
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何年も前にこの巻だけ読んで、それっきりにしていたのを再読。改めて読むと、旅それ自体の魅力と同じかそれ以上に、著者の感傷やイマジネーションが旅を彩っていることに気付かされる。
もちろんそれは著者の文筆家としての力量やデリケートなな感性によるものだろうが、巻末の対談「出発の年齢」を読んで、当時26歳という著者の年齢にも思うところがあった。
沢木氏と対談相手の山口文憲氏いわく、26歳ではじめて海外に行くのが一番いい。26歳というのは、一応の世間知がついた上で最後のぎりぎりの自由な年齢なんだとか。
2人ともが26歳ではじめて海外に行ったということから冗談半分で提唱された説だが、当時の2人とそう変わら -
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この本が執筆された1986年から、インドは著しく成長したのだろうなあ。コテンラジオのインド深掘り回を聞いて以降、インドの複雑さディープさに興味を持っていたので、時は遡るものの当時のインドの様子がわかるこの巻は読んでいてとっても興味深かった。
あと巻末に収録されている此経さんとの対談がとても良い。
再読を通して、15年前に読んだ時と全く違う感想がポンポン出てくる。当たり前っちゃ当たり前なのだが、自分の見てきたもの経験してきたことが、沢木さんの経験談とリンクする部分ができたからなのだろうな。沢木さんも今の私とほぼ同い年で旅していたのだもんな〜。中学生の頃は、浪漫感じる最高の旅行記!って感じで読ん -
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バンコク!スラタニ!ソンクラー!いづれも出張でよく行った町だったので読んでいてとても楽しかった。とくにスラタニは今でも超田舎町で、出張で訪れた海沿いの水産工場やレストランから見えるサムイ島がとっても綺麗だったことを覚えている。もう長老だった工場長補佐が連れて行ってくれたマーケット、そこで食べたチマキみたいなおにぎりや、大量に買ってくれたカレー用の香辛料が懐かしい。長い出張からの帰国後、香辛料が腐ってないことを祈りながら作ったグリーンカレーは人生で食べたグリーンカレー史上最高に美味しかった。
ベトナムやインドネシアのビジネスマン曰く、タイのビジネスは彼らの二歩先を進んでいるらしく、バンコクのビ -
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約15年ほど前、ボロボロになるまで読んだ文庫を再読。前の座席の子と意気投合し、いつかこんな旅がしたいなーと語り耽ったのを覚えている。彼は今、地歴の先生をしているらしい。
当時の私のバイブル的存在だったこの本は、今も変わらず、けれど違った角度で私に語りかけてくれ、もっと海外生活を楽しめ!異文化に浸れ!と叱咤してくれたような気がする。小さな事でもいちいち感動していた当時の自分は何処へ、スルー力がつきまくった今の私は、深掘りすればもっと楽しいはずのポイントもスルーしてしまい、もはや異文化不感症である。淡々と送る海外生活もいいが、もっとディープな部分に浸かるべきだな〜と、本書を読んでしみじみ思った。 -
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まるで海外には興味がなく、情報さえあればいいと思っていた固定観念が見事に破壊された。
自分は物事を全て計画立てて完璧な準備をしてから物事に臨みたい、で、その準備が面倒になって途中で飽きるという無頓着なタイプなのだが、行き当たりばったりのこんな旅も悪くない。
登場人物たちも非常に好感が持てる。現実の人間、とても生き生きしている。様々な人々が登場する。金をせびりまくるインドの青年に、少しだけ話す香港の娼婦、仲良くなった澳門の子供たちに床で転がる放浪者たち。そのどれもが生き生きとした描写で語られ、「熱」を感じられる。とても40年前に記されたとは思えない、熱の籠もった生き生きとした、そんな本だった。 -
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ネタバレ長女が次女にプレゼントした本をちょいと拝借した。
南沢奈央さんがラジオで紹介していた本だという。
沢木耕太郎さんと言ったら、私の世代にとっては、バックパッカーのバイブルともいうべき「深夜特急」の著者。イメージは大沢たかおさん。
スマホの写真ではない。重たいカメラで撮った写真とエッセイ。「世界にはつまらない場所などない。」と語る沢木さんはカメラで、文化を歴史を自然をそして人の内面を切り取る。ひとつひとつの写真とエッセイに慈しみを感じる。
お気に入りはいくつもあるけど、「真剣勝負」かな。ひとりの女子学生が、老人から何かをレクチャーを受けている光景。彼がホノルルに滞在していた1ヵ月半の間、朝の9時か -
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アジアを抜けヨーロッパに入り、日本のような近代化した土地になり、絵が想像しやすくなった一方、インドや香港などで感じたような「非常識感」は薄れていった。作者も、そういった非常識な刺激がなくなった分、考え事をしたり、内省している時間が増えたようだ。
イスタンブールは久しぶりに作者が気に入った土地だったようで、読んでて心地良かった。もっと長い期間滞在すればいいのに!と思ってしまった(笑)
アジアではヒッピー達からお金を巻き上げようという人たちが多かったけど、ヨーロッパに近づくにつれヒッピー達に対して純粋に好奇心をあらわにして近づいてくる人が増えた気がする。物質的に豊かになっているからだろうか?もち -
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前巻のインドはとにかく絵が強烈だったが、今巻は作者の心情の揺れ動きにスポットが当たっている気がした。
旅慣れ、あるいは旅疲れもあるのか、途中「人の親切がわずらわしい」とまで言い出してしまって、”おやおや”と言う気持ちで読み進めた。なんだか、先へ先へととにかく進んで、とにかく値切って...と、”もう少しその町を楽しんで!”と切ない気もしたけども、これが長旅を続けるヒッピーのリアルということなのか...
好奇心が摩耗してきて、それでも旅からは抜け出したくない、そんな心のカオスが伝わってきた。
ラマダンのバスの中で、みんなが「勧めあいっこ」して食べ物を18時より前に食べるきっかけを作ろうとしてると