沢木耕太郎のレビュー一覧
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[巫女の誘うベルリン、1936]ヒトラー率いるナチスの下で開催された1936年のベルリン・オリンピック。その記録映像で世界的な名監督として祭り上げられ、戦後はその作品の故にナチスに加担したとして世の中から疎まれ続けた「巫女」、レニ・リーフェンシュタール。五輪の映像として史上最高とされている彼女の『オリンピア』を縦糸に、その大会にまつわる数々のエピソードを記した作品です。著者は、日本のノンフィクションといえばこの人、沢木耕太郎。
やはり沢木氏、人生の「峰」と「谷」を切り取るのが抜群に上手い。本作においても、レニ・リーフェンシュタールの、ベルリン・オリンピックに参加した日本選手たちの、さらには -
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1936年に行われたベルリンオリンピックの映画と日本人選手の活躍を描いたノンフィクション。
オリンピック映画を撮影したレニ・リーフェンシュタールへのインタビューと映画を基に、日本人の活躍と当時のオリンピック熱を描く。
オリンピックになると、日本中が大騒ぎになっていたのは今も昔も同じだったようです。日の丸を背負って、ベルリン大会に出場した選手には大きな期待が掛けられ、栄光を掴み取った選手もいれば、力及ばず敗退した選手もいました。勝った選手、負けた選手それぞれの生い立ちから、出場までの経緯、競技の内容、オリンピックのエピソードやその後の人生など、緻密に取材されていて大変面白かった。
レニ・リーフェ -
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1960年10月12日。東京の日比谷公会堂では自民党・社会党・民社党の
3党首による立会演説会が行われていた。
民社党委員長の西尾末広の演説が終わり、社会党委員長の浅沼稲次郎
が壇上に立つ。
会場の右翼からは凄まじい怒号とヤジが飛ぶ。警戒する警備陣の
隙をつくように、ひとりの少年が壇上に駆け上がった。その手には
鈍く光る刃物が握られていた。
演説中の浅沼委員長に体当たりするように、手にした刃物で刺殺した
犯人は山口二矢。当時17歳。
60年代安保の国会突入の際に亡くなった樺美智子が学生運動の象徴に
祭り上げられたように、二矢はこの暗殺事件を起こしたことで右翼の
なかで英雄として祀られる -
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私は大勢で集まって大騒ぎをするのも決して嫌いではないが
一人きりでいるのも大好きだ。
が、
大勢でいると、しんどく感じる時もあるし、一人でいると寂しいな…と感じる時もある。
一体どうなんだろう?
この我儘な自分の心を満足させてくれそうな記事がここにあった。
>一人でいることは必ずしも寂しい事だけでは無く
楽しみや喜びにも繋がるものだ。
『単独』は『孤独』と同じ事では無い。
しかし
「ひとりきり」でいる事が「楽しみ」を生み出す為には
その状態を側面から補ってくれるものが必要となる。
それは、
離れて住んでいるとしても、どこかで繋がっている家族の存在であり、
会おうと思えば、いつでも会える友 -
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血沸き肉躍る話。
これを読んだのは大学生のころだったと思う。
いま改めて読み直して、自分が当時のカシアス内藤と沢木耕太郎の年齢にあることを知った。
なんとなく沢木耕太郎が読み直したくて手にしたのだけれど、そのことに気づくと、呼ばれたような気がした。
自分が何者にもなれていなくって、何かをしなければという焦燥感に駆られる。そいうのって、この年代にはつきものなのかなとも思う。
そして、そのタイミングで、夏が訪れた、夏を作り出せた彼らは幸せなのだと思える。
ひとつの目標に向かってみんながまとまっていく姿、現実の生活というものを目の前にして、亀裂が生じ、誰もがそのことに気付きながら、翻弄され崩壊 -
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沢木耕太郎25歳のときに発表された初の著書。当初の売れ行きは絶望的なものだったらしいと後に沢木自身が語っていますが、内容は絶品。河野洋平、畑正憲、中原誠、山田洋次、堀江謙一、小沢征爾といった分野の違う12人の「若き実力者」を取り上げたルポルタージュ。
1人につき1ヵ月の猶予しかない中での取材・執筆によって生まれたこの作品を読むにつけ、沢木耕太郎=「若き実力者」のひとりだよと感じさせられます。
巨匠の復活 尾崎将司
廃墟の錬夢術師 唐十郎
疾走する野牛 河野洋平
過ぎ去った日々ではなく 秋田明大
華麗なる独歩行 安達瞳子
面白がる聖心 畑正憲
神童 天才 凡人 中原誠
錨のない船 黒田征太郎 -
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ベルリンオリンピックのドキュメンタリー
戦後ナチに協力したと糾弾されたレニ・リーフェンシュタールの
五輪ドキュメント映画「オリンピア」を軸に描いている。
だがはっきりとは書かれていないがレニへのインタビューは大失敗だったみたいだ、
構想ではもっとレニの話を掘り下げる予定だっただろうに最初と最後でちょっと触れているだけ。
なのでナチスやレニについての新事実のようなものを期待するとガッカリするだろう。
だが、そのかわりに描かれている五輪に出場した多くの日本人の話はどれも面白い。
この人一人の話だけで一冊書けるんじゃないかと思えるような話ばかりだ。