沢木耕太郎のレビュー一覧

  • 波の音が消えるまで―第3部 銀河編―(新潮文庫)

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    沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第3部 銀河編』新潮文庫。

    あっという間に最終巻を迎えた。非常に面白いのだ。劉が亡くなり、李蘭も去り、独りマカオに残り、バカラの必勝法を追い求める航平の辿り着く場所は…

    航平は、かつてノースショアで敗れた大波に乗れるのか…いや、結末は既に見えている。一度、大波に敗れた人間に、流れに身を委ねることなど出来ないのだ。

    束の間の儚い夢と新たな希望。ギャンブルとサーフィンを対比しながら、描かれる人生。そして、見事な結末。久し振りに良い物語を読んだ。

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    2017年08月05日
  • 波の音が消えるまで―第2部 雷鳴編―(新潮文庫)

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    沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第2部 雷鳴編』新潮文庫。

    マカオを舞台に伊津航平、劉、李蘭の3人を巡る物語は続く。バカラにはまり、バカラの必勝法を追い求める航平と謎の男・劉、背中に傷痕のある娼婦・李蘭の過去と現在が交錯する。

    面白い。読み進めば、読み進むほどに面白くなる。

    波に乗るのも、波に翻弄されるのも人生だが、なかなか波に身を委ねることは難しい…なすがままに…

    やはり、ギャンブル小説でもあり、サーフィン小説でもあるようだ。表向きにはギャンブルを描いているが、その裏ではサーフィンの真髄を描いているように思う。流れに身を委ねる…なかなか出来ないことだが、サーフィンの真髄、人生を楽しむ

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    2017年08月07日
  • 波の音が消えるまで―第1部 風浪編―(新潮文庫)

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    沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第1部 風浪編』新潮文庫。

    久し振りに読む沢木耕太郎だった。『凍』以来だろうか。20年以上前に読んだ『深夜特急』に衝撃を受け、貪るように沢木耕太郎の作品を読んでいた時代もあった。

    序章で主人公が亡くなった劉さんが残したノートに記された『波の音が消えるまで』という1行を目にした時、何故か涙が零れた…理由は解っている。

    面白い。非常に面白い。

    ハワイのノースショアの大波に敗れ、バリ島へと居を移し、マカオへと渡ったサーファー伊津航平を主人公にしたサーフィン&ギャンブル放浪小説。確かにギャンブル小説という色合いが濃いのだが、間違いなくサーフィン小説として

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    2017年08月04日
  • 危機の宰相

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    ネタバレ

    池田勇人元首相の評伝というよりは、所得倍増計画の誕生秘話。誕生に大きな役割を果たした池田元首相と二人のブレーンがルーザー<敗者>であったことや、多くの学者、官僚、政治家が否定的であったことなど、初めて知ったことばかり。非常に興味をそそられる内容でした。

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    2017年02月08日
  • 旅の窓

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    疲れた時にすっと心に隙間風のように入って来る言ノ葉たち、そしてさり気ない旅先の写真。他のこの方の書籍も手に取って読んでみたくなった、そんな一冊。
    但し諸事情にて幻冬舎の書籍は以後読まないと決めたので、他の出版社からリリースされている書籍に限りますが、この本は常にバッグに入れて持ち歩きたい一冊になりました。

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    2016年09月04日
  • 「愛」という言葉を口にできなかった二人のために

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    [口にできない、したくない]家族、恋人、夫婦、そして友情......。形は異なれど、「愛」という言葉を最後まで口にできなかった人々が描かれる映画の数々を評した作品。著者は、評者が最も好きな書き手の一人である沢木耕太郎。


    著者の個人的なエピソードなどが評文の冒頭に置かれ、その後に映画のあらすじが語られるのですが、この冒頭部分が簡潔ながらもとにかく秀逸。自然と、それでいてグイッと映画の世界の入口へと読者を誘ってくれること間違いなしです。


    本書で取り上げられた映画は、予め評することを決めて鑑賞したものではないようなのですが、どれも思わず見たくなってしまうから不思議。少し変わった角度から書かれ

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    2016年04月20日
  • 一瞬の夏(上)

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    才能があるのに努力しないボクサーが5年のブランクを経て再帰する物語。
    若干29才で年を取っていると言われてしまうボクシング界。
    人生経験や試合経験よりも、瞬発力、運動神経、目の良さ、そして絶対に勝つ気迫が重要な要素だ。
    若いときに自分の才能に気づき、それに溺れることないように努力させるには、本人の性格もあるが周りの協力者の力が非常に重要だ。
    沢木さんは一度見捨てたボクサーの再帰を知り、ふたたび力を貸すようになる。
    主人公が練習に打ち込めるよう環境を整えたり、試合をスケジュールするが、ボクシング界の背後には腹黒い人間や、欲深い人達が渦巻き、一筋縄ではいかない。

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    2015年12月14日
  • テロルの決算

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    著者がまだ若いときに出版されたもので、著者が真実に迫ろうとする、真摯でまじめな姿勢がうかがえる。

    まず、取材先の数が膨大である。
    自分のなかの疑問を少しでも解き明かすため、著者はあらゆる関係者の声を聞きたかったのだろう。そのころはまだ大作家ではなく、おそらく自分でアポをとり、自分で取材趣旨を説明し、自分で話を1件1件聞き、自分でルポにまとめていたのだろう。全体の完成度からみれば後の作品のほうが良いだろうが、著者が構成力を、取材を丁寧かつ時間をかけて積み上げることによってカバーし、結果として読者がよりよく真実を見極められる材料を提供している。

    さらに、山口二矢の関係者と、浅沼稲次郎の関係者と

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    2015年11月10日
  • 一瞬の夏(上)

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    [丁半の定め刻]圧倒的な才能を有しながらも、ボクシングに本気になれず、その世界から惨めな敗北とともに脚を洗ったカシアス内藤。そんな彼が4年ぶりに復活するという話を耳にした著者は、引退前の彼に取り憑かれたときのように、またジムへと訪れ、彼の再起をその眼で見たいと願うのであるが......。男たちの一世一代の賭けを追ったノンフィクション。著者は、私がもっとも好きなライターの1人である沢木耕太郎。


    人生で一度は震えの起こるような勝負をしてみたいと思ったことがある方なら、本書を読んで間違いなく震えが走るはず。ボクシングに「かたをつける」ためにリングに上がるカシアス内藤、その内藤に形容し難い夢を見る

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    2014年11月10日
  • オリンピア ナチスの森で

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    [巫女の誘うベルリン、1936]ヒトラー率いるナチスの下で開催された1936年のベルリン・オリンピック。その記録映像で世界的な名監督として祭り上げられ、戦後はその作品の故にナチスに加担したとして世の中から疎まれ続けた「巫女」、レニ・リーフェンシュタール。五輪の映像として史上最高とされている彼女の『オリンピア』を縦糸に、その大会にまつわる数々のエピソードを記した作品です。著者は、日本のノンフィクションといえばこの人、沢木耕太郎。


    やはり沢木氏、人生の「峰」と「谷」を切り取るのが抜群に上手い。本作においても、レニ・リーフェンシュタールの、ベルリン・オリンピックに参加した日本選手たちの、さらには

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    2013年08月17日
  • 一瞬の夏(上)

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    沢木耕太郎は、人物を題材をゆっくりと選ぶ作家だ。
    主人公である『カシアス内藤』に少しづつ自分を重ねてゆき、覚悟を決めて同行していく。
    自分とうまく折り合いが付けられず、
    何か「やりきれなさ」を抱えたまま終盤を迎える。

    著者の作品を読んでいると、せつなさが込み上げてくる。独自の視点で何処か天邪鬼で、必ずしも読者の期待に応えなくて。

    若い頃の著者は、いつも答えのないものと格闘していた。
    それがもしかしたら「青春」なのかもしれない。

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    2013年03月05日
  • オリンピア ナチスの森で

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    1936年に行われたベルリンオリンピックの映画と日本人選手の活躍を描いたノンフィクション。
    オリンピック映画を撮影したレニ・リーフェンシュタールへのインタビューと映画を基に、日本人の活躍と当時のオリンピック熱を描く。
    オリンピックになると、日本中が大騒ぎになっていたのは今も昔も同じだったようです。日の丸を背負って、ベルリン大会に出場した選手には大きな期待が掛けられ、栄光を掴み取った選手もいれば、力及ばず敗退した選手もいました。勝った選手、負けた選手それぞれの生い立ちから、出場までの経緯、競技の内容、オリンピックのエピソードやその後の人生など、緻密に取材されていて大変面白かった。
    レニ・リーフェ

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    2012年11月23日
  • 危機の宰相

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    日本近代史に詳しくないので知らないことだらけでした。
    高度経済成長の始まりにいた池田内閣の話。
    人として政治家として応援したくなる人物たちですが、今もこういうマジメな政治家がいるんだろうか。

    経済学や経済学者がどんな働きをしているかも、少しわかってきた。

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    2012年10月23日
  • テロルの決算

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    1960年10月12日。東京の日比谷公会堂では自民党・社会党・民社党の
    3党首による立会演説会が行われていた。

    民社党委員長の西尾末広の演説が終わり、社会党委員長の浅沼稲次郎
    が壇上に立つ。

    会場の右翼からは凄まじい怒号とヤジが飛ぶ。警戒する警備陣の
    隙をつくように、ひとりの少年が壇上に駆け上がった。その手には
    鈍く光る刃物が握られていた。

    演説中の浅沼委員長に体当たりするように、手にした刃物で刺殺した
    犯人は山口二矢。当時17歳。

    60年代安保の国会突入の際に亡くなった樺美智子が学生運動の象徴に
    祭り上げられたように、二矢はこの暗殺事件を起こしたことで右翼の
    なかで英雄として祀られる

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    2017年08月17日
  • 危機の宰相

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    高度経済成長とは何だったのか・・・
    所得倍増とは何だったのか・・・

    この閉塞感漂ういま、日本が輝いていたと思われる時代が、
    いったいどういったものなのかを知りたかった。

    それにあたり、本書を読んでみたのだが、
    やはり、60年代というのは、輝いていたのだと思った。

    もちろん、テーマは政治であるが、
    いかんせん、下村治の異色ぶりに感嘆させられる。
    キーワードは大蔵省だ。関係している人たちの出自が大蔵省。

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    2012年04月29日
  • 危機の宰相

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    ネタバレ

     “GOOD・LOSER”(良き敗者)だった三人の男たちが、キャッチコピー「所得倍増」のもと、日本の経済成長(ゴールデン・シクスティーズ)を演出する。
     半世紀後の現代、日本経済はピークアウトして久しく、むしろ六重苦に悩む。この困難な時代にこそ、悲観と楽観、夢と現実等、対極のバランス感覚が必要でなかろうか。
     「世界の静かな中心であれ」。筆者が語るよう、三島由紀夫の一文が身に染みる。

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    2012年01月11日
  • 世界は「使われなかった人生」であふれてる

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    私は大勢で集まって大騒ぎをするのも決して嫌いではないが
    一人きりでいるのも大好きだ。
    が、
    大勢でいると、しんどく感じる時もあるし、一人でいると寂しいな…と感じる時もある。
    一体どうなんだろう?
    この我儘な自分の心を満足させてくれそうな記事がここにあった。

     >一人でいることは必ずしも寂しい事だけでは無く
    楽しみや喜びにも繋がるものだ。
    『単独』は『孤独』と同じ事では無い。
    しかし
    「ひとりきり」でいる事が「楽しみ」を生み出す為には
    その状態を側面から補ってくれるものが必要となる。
    それは、
    離れて住んでいるとしても、どこかで繋がっている家族の存在であり、
    会おうと思えば、いつでも会える友

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    2011年12月23日
  • 一瞬の夏(上)

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    沢木氏の著書では「深夜特急」よりもこちらの方が、私の中では思い入れが強い。
    未読の方は「敗れざる者たち」を先に手にされた方が、カシアス内藤氏の物語を時系列で読むことができるでしょう。

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    2011年11月27日
  • 一瞬の夏(下)

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    血沸き肉躍る話。

    これを読んだのは大学生のころだったと思う。
    いま改めて読み直して、自分が当時のカシアス内藤と沢木耕太郎の年齢にあることを知った。
    なんとなく沢木耕太郎が読み直したくて手にしたのだけれど、そのことに気づくと、呼ばれたような気がした。

    自分が何者にもなれていなくって、何かをしなければという焦燥感に駆られる。そいうのって、この年代にはつきものなのかなとも思う。
    そして、そのタイミングで、夏が訪れた、夏を作り出せた彼らは幸せなのだと思える。

    ひとつの目標に向かってみんながまとまっていく姿、現実の生活というものを目の前にして、亀裂が生じ、誰もがそのことに気付きながら、翻弄され崩壊

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    2011年07月18日
  • 若き実力者たち

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    沢木耕太郎25歳のときに発表された初の著書。当初の売れ行きは絶望的なものだったらしいと後に沢木自身が語っていますが、内容は絶品。河野洋平、畑正憲、中原誠、山田洋次、堀江謙一、小沢征爾といった分野の違う12人の「若き実力者」を取り上げたルポルタージュ。

    1人につき1ヵ月の猶予しかない中での取材・執筆によって生まれたこの作品を読むにつけ、沢木耕太郎=「若き実力者」のひとりだよと感じさせられます。

    巨匠の復活 尾崎将司
    廃墟の錬夢術師 唐十郎
    疾走する野牛 河野洋平
    過ぎ去った日々ではなく 秋田明大
    華麗なる独歩行 安達瞳子
    面白がる聖心 畑正憲
    神童 天才 凡人 中原誠
    錨のない船 黒田征太郎

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    2011年07月13日