沢木耕太郎のレビュー一覧

  • 旅のつばくろ(新潮文庫) 電子オリジナル版

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    恥ずかしくも初めて沢木さんの著書を読んだ。
    エッセイを読んでこれ程心震える感覚はなかなか味わえないような気がする。

    国内旅行での体験や人との関わり。
    言葉一つ一つが刺さってくる。
    生きていく上で大切なことは、肌身で感じることなんだと思い知らされる。
    知った気になったりわかったつもりになりがちな現代人にこそ読んで欲しい。
    今しかない時を逃さないで、失敗出来る時にたくさん失敗しろとメッセージが込められている。

    その土地を味わうには自分の足で赴くことだ。

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    2025年09月08日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    ついにゴールのロンドンへ。長旅お疲れ様でした。最後は意外とあっけなく、予想外の展開で笑ってしまった。

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    2025年09月05日
  • キャラヴァンは進む―銀河を渡るⅠ―(新潮文庫)

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     槍ヶ岳山行に持っていき、2泊目で読み終えたので、本書の内容に引き込まれたと言っていいと思う。

     1994年から25年分のエッセイのえり抜きが本書で、『そう、その通り』と、うなずきながら読み進める。若いころから著者の作品が好きでよく読んでいたが、本書のエッセイの中に、『四十年ほど前、二十代の半ばだった私は、…』と深夜特急の旅に触れたエッセイがある。まさに、今の私と同年代の頃に書かれたエッセイだ。来し方は大きく違うが、共感するところが多くある。特に本書のタイトルになっている『キャラヴァンは進む』だ。

     ある年長の作家に「本を処分するとしたらすでに読んでしまった本と、いつか読もうと思い買ったま

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    2025年09月04日
  • キャラヴァンは進む―銀河を渡るⅠ―(新潮文庫)

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    沢木耕太郎の25年間のエッセイ集。深夜特急の旅、オリンピックの取材、作家との対談、ボクシングについてなど、どれも彼の世界の真ん中にあるものですね。25年にわたって、彼のシンプルで鋭い文体が全く変わっていないようにみえるのもまたすごいことだなと。

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    2025年09月04日
  • 深夜特急3―インド・ネパール―(新潮文庫)【増補新版】

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    ディープなインドがとても衝撃的
    ガンジス川は聖なる川で、身を清めたりするのは聞いたことがあったが、そのほとりで人身を焼いたり、沈めたりというのはとても信じられない
    澤木さん、発熱後どうなってしまうのか、続きが気になる

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    2025年09月02日
  • 暦のしずく

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    はて、どこまで本当なのか、それとも騙りなのか。
    世話物を地で行く市井の描写。友情、朋輩、師弟の関係。さらには手に汗握る剣豪シーンなども交え、最後は政談物へと流れ込んでいく。
    盛り上がってきたところで横道にそれて説明をはじめたり、どこか俯瞰した描写をしてみたり、沢木耕太郎の語り口はまさに講談そのものへの敬意に感じる。終わり方も講談的。
    この小説は是非、現役の講釈師が連続読みの噺に仕立てて欲しい。
    講釈師が講釈師を語り(「東玉と伯圓」のように)、さらにその中で講釈をする。

    一気読みの快作。
    それにしても文耕先生モテすぎでしょう、というところだけ気になったけど、こんなこともまぁ、あったとか、なかっ

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    2025年08月11日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    ラストが思ったよりあっさりしてた。でも実体験を基にしてるのだから、案外こんなもんかなぁ
    この旅を実際に経験した沢木耕太郎にしか、このラストの感慨はわからないのかも知れない

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    2025年08月04日
  • 暦のしずく

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    ノンフィクション作家と言いながらも、このように大作の歴史小説を書かれるとは…。
    僅かな資料しか残っていない馬場文耕という講釈師を、これほど人間味溢れた血肉の付いた人物描写で読ませてくれた。
    文耕の講釈が封建時代の理不尽な事件に切り込んでいく困難さと、武士社会への気骨ある反駁に読み手の気持ちは同調していく。
    小説最後の件に僅かな安堵を覚えたのは、沢木耕太郎氏の温情だろうか…。
    読みでのある556ページだった。

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    2025年08月01日
  • 天路の旅人(上)(新潮文庫)

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    ☆☆☆ 2025年7月 ☆☆☆

    西川一三。このような人物がいたことはまったく知らなかった。
    第二次世界大戦中に密偵として中国奥地に進入し、チベットからヒマラヤを越えインドまで旅をした稀代の旅人の物語。
    本書は沢木耕太郎が西川の取材のため東京から盛岡へ発つところの回想から始まる。いまから四半世紀前というから、おそらく1998年~2000年ごろ?と思われる。「年に364日働いている」という西川と酒を酌み交わしながらの取材を重ねたものの、インタビューを中断し、再開できないまま西川は亡くなってしまう…
    それでも沢木耕太郎はこの人物のノンフィクションを書くことをあきらめず、遺族への取材や資料の綿密な読

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    2025年07月30日
  • 深夜特急2―マレー半島・シンガポール―(新潮文庫)【増補新版】

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    1990年代の東南アジアの旅の記録。
    2025年現在の日本人である私たちの多くも、ここに描かれる東南アジアを東南アジアとして抵抗なく認識できるが、それは東南アジアから当時から変わらないのか、それとも日本人にとっての東南アジアが当時から変わらないのか。その差は、経済的な指標を見比べるだけではなく、今の東南アジアを旅して流れる空気を直接感じなければわからない僅かな差なのかもしれない。

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    2025年07月22日
  • 天路の旅人(下)(新潮文庫)

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    戦前の修猷館の卒業生ならば、こんなパワフルな人がいても納得します。それでも、帰国してからの行動や、お互いの帰国にいたる経緯に対しての思いが対照的でした。帰国してからも飽きない!

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    2025年07月21日
  • 天路の旅人(上)(新潮文庫)

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    チベットに対して特別な興味はない。派手なアクションもない。移動の過酷さは、伝わってくるが、めきつく騙されたり、目を背けるまでの厳しい場面もない。しかし、最後まで夢中にしたのは何でしょうか?とにかく身体が丈夫な主人公でした。ずっと栄養が気になってました。

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    2025年07月19日
  • 夢ノ町本通り―ブック・エッセイ―

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    沢木耕太郎氏はノンフィクション作家ではありますが、エッセイも多く書いています。

    なかでも本にまつわる、というよりその作品に寄せたあとがきを数多く残しています。

    それらが一冊に収められているのが本書です。

    もの凄い分量です。

    よくまあ、これだけ多くの作品に対して自身の感想だけでなく、物語のキモとなる部分を抜き出して一つの「読みモノ」として作り上げることができるもの
    だと感心というより、恐れ入ってしまいます。

    書評とはこうあるべきか、と学ばせてもらえます。

    あの「深夜特急」で多くの若者を旅に誘ったように、本の世界にも魅力的に導いてくれる一冊です。

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    2025年07月16日
  • 旅の窓

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    写真も、その横に添えられている筆者のとりとめのない思いもすごくマッチしてて好き!
    旅の静けさ、発見、楽しさなどが聞こえてくる
    あぁ、旅に行きたくなってきた

    異国の地へ旅した時に読みたい作品。

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    2025年07月14日
  • 深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)【増補新版】

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    2025.7.14
    学生の頃読んで以来の完読。やっぱり面白い。冒頭出発地点であるインドの場面から始まるんだけど、本章はそれまでの「途中で寄った」香港とマカオ。ぷらっと寄り道で1冊書けちゃう沢木さんはすごい。10年以上前、バックパッカーでインドにいた頃も愛読書だったけど、今読んでも変わらずワクワクする。改めてすごいな。

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    2025年07月14日
  • 深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―(新潮文庫)【増補新版】

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    ヨーロッパに近づく中で筆者も読者も物価の高さや街の雰囲気など、どこか日本と似通ったものを感じ、懐かしくなりつつも、旅の終わりを意識し始めるが、読んでて変わらず面白い

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    2025年07月10日
  • 深夜特急4―シルクロード―(新潮文庫)【増補新版】

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    旅先で読むととても良い。金を払うか時間を無駄にするか、どうでも良くなって街に埋没すること、他のヒッピーの生気のない目をみてハッとすること、ソ連が健在で、ポーランドから共産主義の若者がインドの物乞いを嫌悪する。インドの病はインドの薬でしか治らない。病と貧困と、

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    2025年07月06日
  • 深夜特急3―インド・ネパール―(新潮文庫)【増補新版】

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    ▪︎旅慣れた人の澱んだ感じ(責任のない放浪、金がなくて卑しくなって行く)
    ▪︎旅してもその国のことは知れない(暇な老人と子供としか触れ合わない)
    ▪︎語れない。行った場所の批評しかできないつまらなさ。
    ▪︎騙されたくないと必死になる自分が嫌になる(初心を忘れる)
    ▪︎虚無に耐えられなくなる。カトマンズ旅人の吹き溜まり。

    →旅への憧れと現実。また、感じていた違和感への言語化にもなった。

    ▪︎臨機応変に次に行きたい街を選ぶ。
    ▪︎失敗だって当たり前にある。
    ▪︎交渉してもいい、気に入らなかったらやめていい、都度、判断していい。

    →自身も旅行中だったので、沢木さんの失敗のレベルの高さに自分の失

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    2025年06月28日
  • 深夜特急3―インド・ネパール―(新潮文庫)【増補新版】

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    深夜特急を3巻まで読んで何故この本にはまっているのか考えてみたところ、理由は大きく分けて2つありそう。

    1つ目は沢木さんの旅を追体験できること。計画性がありそうでない、彼の心と直感に従って旅をする経験に憧れるから。倹約精神と若さ故の無茶で乗り切る旅が好きだ。
    2つ目は沢木さんの綴る言葉や表現が好きだから。枕詞に続く意外な言葉の組み合わせには、意表を突かれるような感覚に何度もなった。だから沢木さんの言葉たちを自分の中にインストールさせてもらっている。自分は ‘言葉は思考の体現’ だと思っているから、沢木さんの言葉というより以前に考えが好きなんだと思う。

    対談で沢木さんのことを「上手く口ごもる

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    2025年06月22日
  • 天路の旅人(下)(新潮文庫)

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    第二次世界大戦末期、中国の奥地からチベットやインドへ、ラマ教の巡礼僧に扮して密偵として8年に及ぶ旅をした西川一三の記録。
    沢木耕太郎さんの取材と文章で、様子が目に浮かぶような、わかりやすく迫力のあるストーリーで驚きと興奮が止まりませんでした。

    戦時中に敵国へという危険な状況、スマホもない、旅の装備もない、そんな中、
    例えば西川さんの旅の一部、中国の西寧からチベットのラサまでは、日本で当てはめると、北海道の札幌から鹿児島の指宿までとのこと。
    それも平均高度4500メートル。
    それを徒歩で。
    雪や雨のなか寝たり、凍るような河を泳いで渡ったり、酸素の薄い高山を歩き通したり、不可能と思えることばかり

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    2025年06月19日