沢木耕太郎のレビュー一覧

  • 深夜特急4―シルクロード―(新潮文庫)【増補新版】

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    パキスタン、アフガニスタン、イランを巡る旅。
    イランのイスファハンでの、バザールの時計屋との価格交渉が印象的。
    既に旅を始めて1年になろうとしていて、旅という長いトンネルに入ってしまったと感じている。トンネルの向こう側にあるものとうまく折り合えることができるのか?感情の揺れ動きが感じられて面白い。

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    2024年05月28日
  • 一瞬の夏(下)

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    子供の頃から斜に構えた人間だったので沢木耕太郎は意識高い人間が読むものだと読まず嫌いして避けて通っていたけれども本作は高校時代の友人が勧めていて、かつボクシングの話なので意を決して読んでみました。

    結論としてはすごく面白くて夢中になって読みました。

    カシアス内藤のことはうっすらと知っていて結末に向かっていくにしたがってドキドキよりも不穏な気持ちの方が大きくなるかなと思いながら読んでいたけれども、結末に至るまでの人物と心の描写がすごくて、ああこれは沢木耕太郎信者が多いわけだと納得してしてしまいました。

    やはり好きなジャンルのノンフィクションはいいものだなーと思いつつ、こう言う好きなジャンル

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    2024年05月19日
  • テロルの決算

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    現実に起きたこの事件は知らなかったが、小説として書き起こされた当時の情景に息を呑む思いを感じる。17歳の少年が人を殺し冷静に取り調べを受け自決する。物語終盤の以下の言葉が少年テロリストのものに思えないが、そう思って読むと様々な感情が湧き起こってくる。
    「私の人生観は大義に生きることです。人間必ずや死というものが訪れるものであります。その時、富や権力を信義に恥ずるような方法で得たよりも、たとえ富や権力を得なくても、自己の信念に基づいて生きてきた人生である方が、より有意義であると信じています。自分の信念に基づいて行った行動が、たとえ現在の社会で受け入れられないものでも、またいかに罰せられようとも、

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    2024年05月13日
  • 春に散る(下)

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    あとがきにこうあった。描きたかったのは、見事な「生き方」や鮮やかな「死に方」ではない。一瞬一瞬のいまが全ての「在り方」、現在をないがしろにしたり犠牲にしたりせず、いま在るこの瞬間を慈しむ「在り方」を描きたかったのだと。

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    2024年05月12日
  • 春に散る(上)

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    ボクシング小説だと聞いて読み始めたが「上」では、そんな場面などもほとんどなく、ボクシングを引退した後あまり芳しくない人生を送ってきた70歳手前のチャンピオンにもなれなかった元ボクサー四人が邂逅していく話だ。ほぼ同世代なので、その複雑な心情がしみじみと伝わってきてほろほろする。しかし、「上」の最期の最後に登場した半グレと一緒にいた若者が、この後の「下」巻を熱いものに変えていく。

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    2024年05月12日
  • 深夜特急2―マレー半島・シンガポール―(新潮文庫)【増補新版】

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    この旅の明確な目的はなくとも、「誰にでも可能で、それでいて誰もしそうにないことをやりたかった」デリーからロンドンまで乗合いバスで乗り継ぐことの、ジャーナリズム精神にワクワクと感動を覚えた。

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    2024年05月02日
  • 春に散る(下)

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    著者の沢木先生が理想の人生を描いた作品に思える

    登場人物が全員いとおしくかっこいい

    こんな年の取り方をしてみたいものだ

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    2024年04月16日
  • 春に散る(上)

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    チャンピオンをあきらめた男が
    日本に帰って チャンピオンを育てることをめざす物語

    同年代だからか 胸が熱くなる作品

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    2024年04月16日
  • 深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―(新潮文庫)【増補新版】

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     沢木耕太郎の旅行記はなぜこんなにも面白いのだろうか?それは彼が単なるヒッピー的なバックパッカーではなく、知性を備え、学ぶ力や応用する力を持った若者だからである。オーディブルで聴いたのだが、ハッとするような表現力にときどき読み返したくなった。オーディブルだとそのフレーズをメモろうとする間に流れてしまう。
     これも後から紙の本を買ってしまうかもしれない。

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    2024年03月12日
  • 飛び立つ季節―旅のつばくろ― 電子オリジナル版

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    会社員時代の出張で新幹線を利用していると、トランベールっていう冊子に連載されていたのを駅弁の紹介コーナーと並んで楽しみに読んでました(今も連載されてるのでしょうか?)。本の大きさといい重さといい手触り装丁が紙の本として旅のお供にぴったり。電子書籍も荷物にならなくていいけどこういう感じの本だと紙の方がいいなぁと思ってしまいます。一気に読むのでなく一編一編味わって少しづつ読むのが楽しかった。それにしても心にしみる文章です。完璧な予定を立てて滞りない旅行よりも思いがけないものとの遭遇の方が感動が上回るエピソードは実感します。コロナ後の自由になってきた世の中でまた用心しつつ、思いがけないものとの出会い

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    2024年01月30日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    最終巻。単行本第三巻の後半部分だから、5巻と同様に如何に旅を終わらせるかと言う点について自問しながら旅をする。イタリアからモナコを経由してスペインに入りポルトガルまで行き、ヨーロッパの果てまで来て旅の終わりを確認する。その後はパリに出て、ロンドンに移動する。文庫本に入っている対談で沢木さんはあまり美術品などの感想を記していないと書いてあり、唯一あった風景がこの巻に出て来た。美術品の解説より人との触れ合いの方が面白いよな。パリでの出会いも素敵だったし、最果ての地での宿泊地の見つけ方も良かった。運がいいんだろう。しかし全巻通じてあっという間に読めた。今は出来ない旅になってしまっている。あとでやろう

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    2024年01月22日
  • 敗れざる者たち

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    年末年始を海外旅行で過ごすことにし、旅行の友に選びました。私も30年前、「深夜特急」に影響を受け、アジアへ一人旅にでた若者の一人ですが、今回久しぶりに手にした筆者の作品。
    私にとっても馴染みのない野球選手、ボクサー、ジョッキー、ランナーにも関わらず、45年を経ても胸に迫るものがありました。時代が変わっもの変わらないもの、もしかして失われつつある愚直さ。生き方を問いかけられるようでした。自らの旅と等価以上の興奮を与えてくれる作品でした。

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    2024年01月02日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    Cの国から始まりTの国を渡り、そして再びCの国に舞い戻る。だからこんなに良い出会いが巡っていたわけだ。
    イタリアの美しい街並み、アートが想像力を掻き立て、パスタを食べたくなる、人々の悪意のないいい加減さ。凄く行きたくなった。
    沢木さんは色んなものを引き寄せている。
    コミュニケーション能力も高くて誰からも愛され、それでいて人間臭さもあり、なんと魅力的な人間なのでしょうか。
    彼の文章は自分も共に旅をしているかのような、彼が観ている景色が思わず浮かんでくるような、それでいて一癖あって面白くて中毒性がある文章。
    旅はまだまだ終わらない。

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    2023年12月30日
  • 深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―(新潮文庫)【増補新版】

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    個人的には深夜特急の中でも1番好きだった。
    トルコのブルーモスクでコーランを聴く日々。
    鯖サンドたる物を食べる。
    熊を散歩してるおじさん。
    私が行きたい見たい聴きたい食べたい景色が浮かんできて、そこに行きたくなる。
    同じ風を浴びたくなる。
    最後の手紙もすごく良かった。
    旅の終わりを想像してしまい、終わらないで欲しいと願う気持ちとどう終わるのかという興味と。
    本当に言語化能力が高すぎる。

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    2023年12月27日
  • テロルの決算

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    社会党委員長の浅沼稲次郎が渋谷公会堂で行われた立会演説会の演説の最中にテロリストの若者と交錯した場面はテレビ映像で何回か見たことがあった。
    この本は17際の少年がなぜ暗殺に及んだのか、また、その時現場にいた多くの人たちが何を見て何を感じたのか克明に描いている。
    当時の政治情勢含めて詳細に描かれた秀作だと思う。

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    2023年12月15日
  • 深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)【増補新版】

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    旅は続いていく、そんな自由な空気感を感じさせる終わり方だった。趣くままに旅に出たい、自由な雰囲気を感じさせてくれる面白い内容でした

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    2023年11月26日
  • 旅のつばくろ(新潮文庫) 電子オリジナル版

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    JR東日本の雑誌『トランベール』に連載していたエッセイから、著者自ら41編を選んで一冊にまとめたもの。当時、新幹線の車内で読んでいた人が羨ましくなる、素晴らしい内容でした。

    例えば「絵馬の向こう側」では、日本人と海外から来た人の書く内容から、視点の違いにドキっとしたり、「旅の長者」では、旅に出て予期しないことに出くわす”旅運”についての記述など、たくさんの興味深いエッセイがありました。

    なかでも、一番好きなのは「夜のベンチ」です。著者が、16歳の春に初めての一人旅である、東北一周の旅に出たきっかけが「終着駅」に書かれていますが、そのときに起きたあるエピソードについて書かれています。人ってい

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    2023年11月15日
  • テロルの決算

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     社会党政治家が右翼少年に刺殺された事件がテーマとなったノンフィクション作品。二人の過去を辿りながら、社会党政治家側の視点、右翼団体の視点、そして、テロ至るまでの経緯が丁寧に描かれている。
     戦争、安保闘争、学生運動、その時々の人々の考えが伝わってくる、とても学びの多い作品だった。それぞれの転換期にどちらに世の中が傾いたか。世代間の考え方の違いは、歴史の積み重ねであることを感じた

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    2023年11月13日
  • 旅のつばくろ(新潮文庫) 電子オリジナル版

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    沢木耕太郎『旅のつばくろ』新潮文庫。

    東北新幹線の車内誌『トランヴェール』に連載された国内旅のエッセイから41編を収録。

    新型コロナウイルス感染禍が始まる前から『トランヴェール』に連載されたエッセイで、東北地方についても触れていたので、新幹線に乗車する度に楽しみにしていた。2020年1月、いよいよ新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい出すと新幹線を利用する機会も無くなり、このエッセイを読む機会も無くなってしまった。

    先日、4年振りに新幹線に乗車すると『トランヴェール』の連載エッセイが柚月裕子に変わっていたのを初めて知った。


    沢木耕太郎の初めての旅は16歳の時に周遊券を握り締めて回った

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    2023年11月05日
  • 春に散る(下)

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    こういう晩年もいいな。
    未来のために現在をないがしろにしたり、犠牲にしたりする「生き方」「死に方」ではなくて、今この瞬間を慈しむ「在り方」という表現が刺さった。

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    2023年11月03日