沢木耕太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前巻のインドはとにかく絵が強烈だったが、今巻は作者の心情の揺れ動きにスポットが当たっている気がした。
旅慣れ、あるいは旅疲れもあるのか、途中「人の親切がわずらわしい」とまで言い出してしまって、”おやおや”と言う気持ちで読み進めた。なんだか、先へ先へととにかく進んで、とにかく値切って...と、”もう少しその町を楽しんで!”と切ない気もしたけども、これが長旅を続けるヒッピーのリアルということなのか...
好奇心が摩耗してきて、それでも旅からは抜け出したくない、そんな心のカオスが伝わってきた。
ラマダンのバスの中で、みんなが「勧めあいっこ」して食べ物を18時より前に食べるきっかけを作ろうとしてると -
Posted by ブクログ
ネタバレ有名な観光地や観光スポットを巡るわけではなく、自分の直感や旅で出会った人から情報をもとに訪れる地を決めていく。当然失敗することもあるし、思いがけない経験をすることもある。
-----------------------------------
旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっているのではないかということです。大事なのは、「行く」過程で、何を「感じ」られたかということであるはずだからです。目的地に着くことよりも、そこに吹いている風を、流れている水を、降り注いでいる光を、そして行き交う人をどのように感受できたかということの方がはるかに重要なのです。
6巻 p275より
------- -
Posted by ブクログ
ネタバレマレー半島を寝台列車で縦断することになり、同じような旅行をしている人のブログとかを読み漁っていた。そこでたまたま知ったこの本を、寝台列車の中で読んだ。知らなかったのだが、実はかなり有名な紀行文のようで、バックパッカーブームの生みの親らしい。読んでみると確かに同じような旅をしたいと読者に思わせるような旅行記だった。
一巻で訪ねた香港やマカオと比べると、バンコクもクアラルンプールもシンガポールも、作者にとってはどうもイマイチだったらしい。自分と同じような旅程がテーマということで手に取った本であるが、行く先々のほとんどの街が物足りないと言われていたのには、正直笑ってしまった。でも、作中の作者は僕と -
Posted by ブクログ
登場人物の台詞や細やかな気遣いから、人間への愛が感じられます。裏切りや妬みなど人の嫌な部分はなく、安心して心地よく読書を楽しめる、そんな小説だと感じました。
不動産屋や小料理屋など、ふとした他人とのふれあいのシーンがとても素敵で、踏み込みすぎず、でも互いに良い印象を持つコミュニケーションが自分なんかにはまだまだ真似のできない大人を感じさせる振る舞いです。
年を重ねることに不安を感じることが多い中、この小説からは希望を感じます。おじさんの夢が詰まっているとも言えます。
上巻の後半からは登場人物も増え、テンポも上がってきており、下巻を読むのがとても楽しみです。 -
Posted by ブクログ
子供の頃から斜に構えた人間だったので沢木耕太郎は意識高い人間が読むものだと読まず嫌いして避けて通っていたけれども本作は高校時代の友人が勧めていて、かつボクシングの話なので意を決して読んでみました。
結論としてはすごく面白くて夢中になって読みました。
カシアス内藤のことはうっすらと知っていて結末に向かっていくにしたがってドキドキよりも不穏な気持ちの方が大きくなるかなと思いながら読んでいたけれども、結末に至るまでの人物と心の描写がすごくて、ああこれは沢木耕太郎信者が多いわけだと納得してしてしまいました。
やはり好きなジャンルのノンフィクションはいいものだなーと思いつつ、こう言う好きなジャンル -
Posted by ブクログ
現実に起きたこの事件は知らなかったが、小説として書き起こされた当時の情景に息を呑む思いを感じる。17歳の少年が人を殺し冷静に取り調べを受け自決する。物語終盤の以下の言葉が少年テロリストのものに思えないが、そう思って読むと様々な感情が湧き起こってくる。
「私の人生観は大義に生きることです。人間必ずや死というものが訪れるものであります。その時、富や権力を信義に恥ずるような方法で得たよりも、たとえ富や権力を得なくても、自己の信念に基づいて生きてきた人生である方が、より有意義であると信じています。自分の信念に基づいて行った行動が、たとえ現在の社会で受け入れられないものでも、またいかに罰せられようとも、