【感想・ネタバレ】春に散る(上)のレビュー

あらすじ

かつてボクシング世界チャンプを目指し挫折した広岡は、40年ぶりに米国から日本へ戻る。ジムの古い仲間たちと再会し、やがて共同生活をすることになる。そこで出会ったものとは……。どう生きて、どう死ぬのか。人生の豊かさを問いかける傑作小説。

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Posted by ブクログ

【春に散る】
2020年2月に文庫本で発売された著書を、ある知り合いからお薦めいただき読み始めました。

人生を豊かに生きるための心構えのようなものを教えていただいた感覚が残る小説でした。

かつてはボクシングの頂点を目指した4人の仲間が、それぞれの人生を歩みながら40年ぶりにまた共同生活を送ることになるのですが、そこにはそれぞれの役割だったり、お互いを思い遣る言葉遣いや振舞いがとても心温まるものです。

『俺は今、生きているか?』

『果たせなかった夢をふたたび手に』

単なる人生の終盤を迎えた男たちの物語ではなく、今をどう生きることに意味があるのかを問いかけられた気持ちになる著書でした。

主人公の広岡仁のような男になって、一人の男として意味のある生き方を考えたいです。

#春に散る #沢木耕太郎

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

登場人物の台詞や細やかな気遣いから、人間への愛が感じられます。裏切りや妬みなど人の嫌な部分はなく、安心して心地よく読書を楽しめる、そんな小説だと感じました。
不動産屋や小料理屋など、ふとした他人とのふれあいのシーンがとても素敵で、踏み込みすぎず、でも互いに良い印象を持つコミュニケーションが自分なんかにはまだまだ真似のできない大人を感じさせる振る舞いです。
年を重ねることに不安を感じることが多い中、この小説からは希望を感じます。おじさんの夢が詰まっているとも言えます。
上巻の後半からは登場人物も増え、テンポも上がってきており、下巻を読むのがとても楽しみです。

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2024年10月16日

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ボクシング小説だと聞いて読み始めたが「上」では、そんな場面などもほとんどなく、ボクシングを引退した後あまり芳しくない人生を送ってきた70歳手前のチャンピオンにもなれなかった元ボクサー四人が邂逅していく話だ。ほぼ同世代なので、その複雑な心情がしみじみと伝わってきてほろほろする。しかし、「上」の最期の最後に登場した半グレと一緒にいた若者が、この後の「下」巻を熱いものに変えていく。

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2024年05月12日

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チャンピオンをあきらめた男が
日本に帰って チャンピオンを育てることをめざす物語

同年代だからか 胸が熱くなる作品

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2024年04月16日

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 主人公は、かつてボクシングで将来を嘱望されるも、不公平な判定負けを契機に渡米した広岡仁一。米国で再起を目指すも叶わず、ホテル経営で成功し40年が過ぎていました。病を抱えながら、ふと唐突に帰国するところから物語は始まります。

 ここから広岡は、自分の目的も判らないまま、記憶を辿り過去をなぞり、導かれるように動きます。かつて試合をした後楽園ホール、ジム、更に四天王と呼ばれた仲間たちを訪ねて‥。

 上巻は、このようにボクシング場面がほとんどなく、沢木さんが得意とする放浪の旅に近い旅情を誘う描写が多く、情景が目に浮かぶようです。
 また、登場人物の描き分けが素晴らしく、それぞれ個性的で人間臭さが漂い、とても魅力的です。4人それぞれの人生が濃密に描かれ、物語を重厚にしていますが、会話も多くテンポよく読むことができます。

 そして、離散、孤立、喪失、病苦と、それぞれ困難を抱え歳老いた4人は、広岡が新たな家を借り、リフォームして、再び共同生活を始めます。米国で財を成したとはいえ、広岡は何のために、なぜそこまでするのか‥。
 広岡の性格・心情が緻密に綴られますが、その物腰の柔らかさ、人への配慮と佇まいなど、カッコよくて痺れます! 年配の方ほど、きっとその生き様に魅せられると思います。

 4人の共同生活が、どんな方向に展開していくのか、下巻が楽しみです。

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2023年10月05日

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かつて同じボクシングジムで四天王と呼ばれた4人の元ボクサーが40年ぶりに再会して一つの家で共同生活を始めるところが面白い。元ボクサー4人の絆がひしひしと伝わって来る。これからの展開が気になって下巻を読むのが楽しみになった。

心に残った言葉
・本物のボクサーは、ボクサーであることをやめても、元ボクサーとしてしか生きていけない。
・老いをどのように生きたらいいのか。つまりどのように死んだらいいのか。たぶんそれはどのように人生のケリをつけたらいいのかということにつながるものなのだろう。

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2023年08月04日

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ネタバレ

NHKラジオドラマを聴いて面白かったし、映画化もされると知って読んでみた。ルポルタージュの旗手とも言える著者であるが最近は小説も出版しておりKHKラジオでドラマ化もされている。本作は著者の得意分野であるボクシングが主題であるが、これまでのルポでチャンピオンになれなかったボクサーの晩年の凋落が我慢ならなかったも知れない、元ボクサーのシェアハウスを作って老後を安らかに過ごして欲しいと言う著者の夢を小説にしたような作品、ラジオで先に聴いているので結末は題名のとおりなってしまうが、文はスムーズで大変読みやすい。

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2023年06月18日

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かつてボクシングでチャンピオンを夢見たボクサ広岡仁一が主人公である。不公平な判定で負けた後アメリカへ渡り、40年ぶりに帰国した元ボクサー・広岡仁一は、かつてともにジムで世界を目指した仲間達を訪ねていく。上下巻に分かれ、上巻では下巻への盛り上がりを作る大事な役割をなす。

沢木耕太郎さんの小説は初めて読んだが、みずみずしい文体と情景を思い浮かべる構成、人間臭い登場人物。全てに感服した。やはり作家や小説との出会いは一期一会!

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2023年06月17日

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名作ノンフィクション「一瞬の夏」を、年齢を重ねた立場から振り返って描いた沢木耕太郎さんのフィクション。アメリカで暮らす元ボクサーの主人公が、帰国して仲間と再会して、若いボクサーに夢を託す1年間を描く。
ストーリーとして、え?そうきますか?という流れも無きにしも非ずでしたが、ボクシングのノンフィクションのバックグラウンドを活かした細部は興味深く、最後まで楽しめました。
でも、やっぱり沢木さんはノンフィクションが最高です。

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2025年10月02日

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ボクシング+人生の生き様の物語。
ベタベタのストーリかと思いきや、静かなそして心に残るストーリ展開でした。
でもやっぱり最後は目頭熱くなりました。

上巻では、
ボクシングの世界チャンプを目指し、挫折した広岡。
心臓発作の爆弾を抱えたまま40年ぶりに日本に帰国。
この広岡の今の生活ぶりがこの時点ではよく分かりません。

自分が所属してたジムを訪ねるとともに、当時の仲間3人と会いに行きます。

藤原、佐瀬、星。

それぞれのボクサー人生の後の生活が悲しく、寂しい。
みな、60代ということだと思います。
それぞれが、寂しい人生を送っています。
でも、現実はそうなんでしょうね。

そんな仲間たちに、一緒に暮らすことを提案する広岡。
現役の時の共同生活のように...

4人の共同生活が始まります。

なんとなく、この時点で広岡のアメリカでの生活ぶりが分かってきますが...
また、不動産屋の事務員の佳菜子との関係、佳菜子自身も何か背負っているように描かれています。
広岡の出会う人物はみんないい人ばかり(笑)

上巻ではボクシングシーンはほとんど出てきませんが、下巻へのお楽しみです。

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2025年08月15日

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世界を目指していたボクサーの広岡。理不尽な判定負けをし、失意のままアメリカに渡る。40年後に帰国し昔の仲間とシェアハウスで暮らす事を思いつく。ラストでは若者との出会いがあった。

*おはよう、おやすみ、いただきます、ごちそうさま、行って来ます、ただいま、ありがとう、ごめんなさい。この8つで人との生活は円滑にいきます。

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2025年06月14日

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簡単なあらすじは、元ボクサーの中年男性が、くすぶってる若いボクサーに出会い、自分の夢を託しボクシングを教え、世界一を目指すという物語。

ちょうど読み始めた際に、映画化が決まり、役柄が僕の好きな佐藤浩一と横浜流星ということを知ったので、頭の中では2人が演じてました。

中年になっても、何か満たされないものがあり、もがき続ける佐藤浩一演じる広岡に感情移入してしまい、何回か泣けました。オススメの小説です。(上下巻あります)

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2025年03月04日

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かつて世界を目指したボクサーたちが、40年の時を超えて再び集まり、共同生活を行う物語でした。まだ、広岡の過去に謎が多く、今後の展開が気になります。ただ、人生の終盤に信頼できるかつての仲間と集まれることは、素直に羨ましかったです。

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2024年03月15日

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映画になった様だが観ずに先ずは原作を読む。。
年老いて40年ぶりに出逢い且つ、同じ屋根の下で暮らす事になる深い絆で結ばれた男4人がちょっと眩しくもある。
昔ボクシングジムで四天王と呼ばれながら共に世界チャンピオンを目指した4人(広岡、藤原、佐瀬、星)が夢に破れ其々の道を歩み年月を重ねる。米国から帰国した広岡は、昔の友3人との再会を果たし其々の生活の苦境から一つ屋根の下で暮らし始めるまでの話。後半どう言った展開になるのか?非常に楽しみ。。

広岡はボクサーを世界チャンピオンを目指しながら米国に渡るも夢に破れ引退しそのまま米国でホテル経営をしていたが病を患い手術を迷いキーウエストに1人旅行に出かけその過程でふとやり残した事があるのでは?との自問から手術をキャンセルして40年ぶりに日本に帰国する。ふとしたきっかけで滞在ホテル近くの後楽園ホールに足を運びボクシングの試合観戦をし昔お世話になったジムで後を継いでいる令子と再会する。その再会がきっかけでジムの近くで不動産屋の進藤と事務員佳菜子の世話になりアパートを借りる。特にやる事も無く昔四天王と呼ばれていた友に遭う事を思い立ち先ず令子から聞いて刑務所に収監されている藤原に面会に出向く。藤原はもう直ぐ出所と聞きアパートに来る様伝え佐瀬の居場所を聞く、藤原との再会後、早々に東北の田舎に住むと言う佐瀬に逢いに探して再会するも厳しい生活を送っていた。佐瀬にも良ければ一緒にと誘い、毎年米を送って夫婦で飲み屋を営んでいると言う星の居場所を聞く。横浜の星の飲み屋を探し出し、飲み屋2階住居を訪ねるも奥さんを亡くしたばかりで悲しみに暮れる星と再会する。星にも良ければ一緒の暮らしを誘うも良い返事も無く戻る。藤原の出所前に手狭なアパートから広い家を佳菜子に相談して進藤から広い曰く付きの一軒家を紹介される。恐さ慣れしている元ボクサーなので家賃も安く気に入り契約して藤原の出所後、一緒に住み始める。そこに佐瀬が誘って来て星と共に訪ねて来て4人での生活が始まる。4人での生活の門出を佳菜子を交えて居酒屋で祝っていると若い4人に絡まれる。揉め事を嫌い店を出るも4人が後を付けて来て喧嘩を売られ返り討ちにするも中のボクサーらしき1人が対峙した広岡のパンチで頭を打ち寝込む。パトカーのサイレンが聞こえ逃げるものびている若者を置いて行けず抱えてタクシーに乗り病院に行くところで終える。

年老いた四天王のこれからの生活。。
広岡の体調。。
ボクシングとの関わり。。
後半色々な点で気になる展開だ。

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2023年11月18日

Posted by ブクログ

ボクシング小説なのに、ボクシングの話が全然出てこず、上巻が終わる。
すごい試みやなと思う。
しかし、上巻で丁寧に人物描写してくれてるおかげで、入り込めたのは間違いない。
無駄に長く同じ言葉ばかり並べる作者もいるけど、沢木耕太郎は本当にさっぱりとしたシンプルな文面でサクサクと読める。

かつて四天王と呼ばれたボクサーが歳をとり、将来有望なボクサーと出会い、それぞれの必殺技を伝授しながら成長させていく。
男が好きそうな物語。
よくボクシングのことも取材されてるなーと分かるボクシング小説だった。

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2023年09月21日

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ネタバレ

前半のラスト10ページくらいまでボクシングは無し。それでも期待を込めつつスラスラと読めたのは筆者の力量か。映画は、未見も広瀬は佐藤浩市のイメージとは少し違うし、佐瀬と藤原が鶴太郎と哀川翔って違和感しか無い。

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2023年09月05日

Posted by ブクログ

かつて世界チャンピオンを目指したボクサーだった広岡仁一。
60歳を超え、自分の残り少ない人生を想い、40年ぶりに日本に戻る。

かつて所属していたジムの会長はなくなり、その娘が引き継いでいた。

かつて、ともに合宿所で暮らし、世界チャンピオンを目指した仲間たちを訪ねるが、それぞれに孤独な人生を送っていた。

やがて、広岡ら4人はともに暮らし始める。かつてジムの2階の合宿所で暮らしたように。

世界チャンピオンになれなかった元プロボクサーたちが、これからどう生きていくのか。

佳菜子も何か訳アリのようだが、彼女の過去に何があったのか…

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

沢木耕太郎の書籍が映画化されることを知り、本作を購入した。
沢木耕太郎の小説は何冊か読んだが、これまでの小説と比べて会話量が多く、すごく読みやすくなっている。これまでの小説の主人公にはどこか沢木耕太郎本人のような要素を多分に感じたのだが、今回はまた新しいキャラクターのやつに感じた。下巻が楽しみだ。

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2023年07月01日

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