【感想・ネタバレ】テロルの決算のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年12月07日

ずっと前に買ってあったが、全く読めておらず本棚に眠っていた。さすがにノンフィクションの金字塔といわれる作品。読み応え十分。目のつけどころもすごいし、事件が事件だけに、取材するのが相当に大変だったと思われる。インタヴューを重ね丁寧に文章を紡ぐ。こんなことはなかなかできないことだと思う。この人にはかなわ...続きを読むないと改めて思ってしまう。

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Posted by ブクログ 2019年10月30日

もう、三十年も前に読み終えた
ルポルタージュの名作、
本屋さんの棚に並んでいたので
懐かしく思い、奥付を見ると
「新装版」とある
これは 今一度 と…

やはり どきどき しんがら
最期まで 読んでしまった

「一瞬の物語」が
その時代の雰囲気と有り様を
見事に語ってくれる

あとがき、
それも
...続きを読む~Ⅲまで
それも また 興味深い

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Posted by ブクログ 2016年01月23日

1960年10月、社会党の浅沼稲次郎氏が刺殺されたテロ事件を、関係者への詳細な取材をもとに再現したもの。
犯人の山口二矢の生い立ちと、浅沼氏の生い立ち及び政治的思想の背景を綿密に調べ、殺された浅沼氏のそのときの状況と、殺した17歳の山口の焦燥などが詳しく語られ、非常に詳しくこの事件を再現している。
...続きを読む浅沼氏が殺されたときの各関係者の状況描写は、まるで映画を見ているかのような書き方で、自分もその場にいたかのように錯覚してしまう。

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Posted by ブクログ 2015年11月10日

著者がまだ若いときに出版されたもので、著者が真実に迫ろうとする、真摯でまじめな姿勢がうかがえる。

まず、取材先の数が膨大である。
自分のなかの疑問を少しでも解き明かすため、著者はあらゆる関係者の声を聞きたかったのだろう。そのころはまだ大作家ではなく、おそらく自分でアポをとり、自分で取材趣旨を説明し...続きを読む、自分で話を1件1件聞き、自分でルポにまとめていたのだろう。全体の完成度からみれば後の作品のほうが良いだろうが、著者が構成力を、取材を丁寧かつ時間をかけて積み上げることによってカバーし、結果として読者がよりよく真実を見極められる材料を提供している。

さらに、山口二矢の関係者と、浅沼稲次郎の関係者と、二極からの取材による手法も、著者の真実に対する貪欲な姿勢を感じさせる。

あくまでルポルタージュなので、著者の視点は本来入るべきではない。しかし全体を通しての真摯な姿勢が、読者に「では著者はどう感じたのか、最後に知りたい」と思わせる。傑作。
(2006/1/24)

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Posted by ブクログ 2015年07月22日

本作を書き終えた沢木耕太郎は、当時20代後半。これだけ精緻なルポをその若さで書き上げたことに驚く。

山口二矢を凶行へと駆り立てた、青年特有のパトスは誰もが持ちうるものだ。しかし、それは浅い人間観に基づいた極端なユートピア思想であって、たとえばそれは日本赤軍のそれと根っこでは繋がっているように思える...続きを読む

チェ・ゲバラを無批判に支持する風潮がいまだに世界中にあるように、政治の季節に激しく命を燃やして散っていく若者をヒロイックに持ち上げるのは日本だけではない。ただ、彼らは死んでおしまい。多くは終わりなき日常に絶望しながら生き続ける。

そういう意味で、沢木耕太郎が浅沼稲次郎のもう一人の主人公に据えた意義は大きい。ヒロイズム礼賛では世の中は変わらない……と思うのも自分が年を食ったからか?

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Posted by ブクログ 2014年05月03日

61歳の政治家である浅沼稲次郎と、
17歳の右翼活動青年である山口二矢。
この二人を掘り下げて書いていくことで、
最後の刺殺の瞬間が劇的に感じられた。

浅沼の愚直で行きつくところまで行きついた政治人生、
山口が思い切ったことをやらねばならないと決断した心境
読んで色々思うところはある。
でもそれを...続きを読む言葉にしようとすると非常に難しい。
あまりこのような思想に関して、私が考えて来なかったからだと思う。

ただ山口がとった刺殺という行動を私は認められなかった。それだけ。

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Posted by ブクログ 2013年12月23日

高校生だった。
当時ファンだった歌手が、歌番組で「沢木耕太郎」の名を口にした。
歌手が「読んだ」と言っていた本は、この本ではなかったが、当時高校生だった私には単行本を買う金銭的余裕はなかった。
「沢木耕太郎」の本で自分の財布の中身で買える本、その中から私は「テロルの決算」を選んだ。もちろん「テロル」...続きを読むのなんたるかも知らずに。

難しかった。
政治的なことも思想的なことも何もかもに無知であった高校生の私にとって、この本はひどく難しかった。
ページを行きつ戻りつしながら長い日数をかけて読んだ。
子どものころから本を読むことは好きだったが、当時の私は両親と兼用で、西村京太郎や山村美沙といった推理小説を読んでいた。2時間程度で読めてしまうそれまでの本と違い、なかなか読み進めることができなかった。
それまで途中で読むことをあきらめた本はない。意地で読んでいたといってもいいだろう。
私には「テロルの決算」の文章がひどく「冷めて」いるように感じられた。
そしてその「冷めた」文章がそれまで読んでいた本との違いだったように思う。物語のどの登場人物に対しても等分に冷たい温度で書かれていると感じた。
私が感じる温度が変わるのは、終章を読み終える頃だった。
「冷めて」いた文章が暖かく私に触れてきた。
ずっしりとした手ごたえ、ただ読んでいただけなのにずっしりと重いものが胸にのしかかってきたような感覚。初めてのノンフィクションだった。
「テロルの決算」を読んだことで、それ以降の読書の傾向が激変した。
読める限りの「沢木耕太郎」の本を読み、ノンフィクションに目を向けるようになった。
それまでより真面目に新聞を読むようになった。自分の無知を埋めたいと切実に思った。
その後数年、就職面接などで本について訊かれるたびこの本の名前を出していた。感銘を受けた本として。それは25年以上を経過しても変わってはいない。

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Posted by ブクログ 2013年08月24日

冒頭の山口二矢の読売新聞と浅沼稲次郎の背広、運命の必然とは確かに存在するのかもしれないと思った。決行当日の僥倖も運命の必然が導いたものだったのかもしれない。渾身のノンフィクション、そんな言葉がぴったりの作品だと思う。

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Posted by ブクログ 2013年04月18日

普段読まないジャンルだったが、興味があったので気にしてみました。
自分の中にも、原理主義とゆうか潔癖主義なところがあり、この本を読むことがきっかけで右とか左とかに興味を持ってしまうのではないかと言う恐れがありました。結論としてはきれいなだけで正しいのか、きれいなだけで世の中を変えられるのかということ...続きを読むをに強い興味を持ちました。
今、水滸伝も読んでいる途中なので、志の綺麗さと、実行していくことの難しさについて考えさせられました。

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Posted by ブクログ 2012年12月27日

浅沼稲次郎がヤマグチオトヤに刺される映像を子供の頃のテレビで決定的瞬間とかなんとかで見た記憶から、この本に至ったが、両者の人物像に迫り、残された世界を追求して描かれた内容に深く引きずりこまれた。
あとがきも素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2017年08月17日

1960年10月12日。東京の日比谷公会堂では自民党・社会党・民社党の
3党首による立会演説会が行われていた。

民社党委員長の西尾末広の演説が終わり、社会党委員長の浅沼稲次郎
が壇上に立つ。

会場の右翼からは凄まじい怒号とヤジが飛ぶ。警戒する警備陣の
隙をつくように、ひとりの少年が壇上に駆け上が...続きを読むった。その手には
鈍く光る刃物が握られていた。

演説中の浅沼委員長に体当たりするように、手にした刃物で刺殺した
犯人は山口二矢。当時17歳。

60年代安保の国会突入の際に亡くなった樺美智子が学生運動の象徴に
祭り上げられたように、二矢はこの暗殺事件を起こしたことで右翼の
なかで英雄として祀られることになる。

本書はテロの対象とされた浅沼稲次郎と、テロリストとなった山口二矢
のふたりの生い立ちから事件に至るまでを綿密に描いている。

「万年書記長」と呼ばれた政治家と右翼少年。立場も思想もまったく
異なるふたりだが、根底には愚直なまでの信念があったのではないか。

何故、殺されなければならなかったのか。何故、殺さなければならな
かったのか。61歳と17歳の人生は、「死」によって交錯した。

テロは憎むべきものである。しかし、本書で描かれている二矢には
少年期特有の青臭さはあるもの、憎しみが湧かない。それは彼が彼
なりに、この国を思った真っすぐさが感じられるからだろう。

そして、一方の浅沼稲次郎には救われなさを感じる。私を滅し、庶民の
為、党の為に尽くした政治家。与党からも、右翼からも個人としては
「善人」と評価された人は、その死によって惜しまれるどころか党内
からは死んでくれてよかったとまで思われる。

弾圧の時代の浅沼の軌跡は壮絶である。加えて2度にわたる発狂を経て、
やっと手にした委員長の座にありながら凶刃に倒れなくてはならなかった
とは。これが「運命」と言うならば、浅沼の運命は哀し過ぎる。

どちらがいいとか悪いとか、著者は一切の判断を下していない。
ふたりの人生を積み重ね、事件の背景を描き出したノンフィクションの
名作である。

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Posted by ブクログ 2013年07月13日

日比谷公会堂の演壇に立った社会党委員長の浅沼稲次郎を右翼の少年山口二矢が両手で握った短刀で刺した暗殺事件を描く。

61歳の野党政治家と17歳のテロリストのそれぞれの生い立ちから事件の一瞬までを生々しく描き出す。

自分がその事件現場にいるように感じるほどの刺殺の一瞬一瞬の描写に息を飲む。

テロは...続きを読む反社会的・暴力的な手段であり何の解決も生まないと僕自身は思っています。しかし山口二矢少年の国を思う熱い気持ちには心揺さぶられるものを感じずにはいれませんでした。

現在の堕落しきった政治に批判するひとはいてもここまで熱く行動に移せるひとはいないような気がします。


そしてその少年以上に庶民のための政治に全力を傾けていた浅沼稲次郎が刺されたのが何ともやるせない気持ちになります。

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Posted by ブクログ 2020年08月26日

読むのに時間がかかったが、すごい胸に残るものがあった。1960年に起きた元社会党党首だった浅沼稲次郎氏が壇上で演説中に刺殺された事件。犯人は17歳の少年。2人の生い立ちを振り返り、あの時に2人の時間が重なり合う。最後のほうは胸がドキドキしてた。あの瞬間をとらえた写真は確かに有名。出版されたのが自分の...続きを読む生まれた年ってのもなんだか感慨深い。しかし、思想の違いで人を殺すのはよくないが、訪中して中国帽をかぶって飛行機から降りてくるというパフォーマンスであおった事は事実かなと思った。第10回大宅宗一ノンフィクション賞受賞作。

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Posted by ブクログ 2017年03月11日

1960年に起きた、右翼少年による社会党の浅沼委員長刺殺事件、を題材としたノンフィクション作品。

物語は被害者と加害者である二人の生い立ち、事件当日の状況や現場に居合わせた人々の様子、そして事件後に残された関係者の行末を、とても鮮明に描き出している。

防衛庁に勤める父親を持つ少年が、兄の影響によ...続きを読むり右翼活動に参加し、浅沼委員長をターゲットに定めるまでの経緯、そして浅沼氏が政治家を志し、書記長から委員長へと登り詰めた時代背景など、何の接点もない二人の人生が交錯する一瞬までの模様が、非常にスリリングに描写されている。特に、浅沼氏自身も多くを語らなかった、恩師である麻生久氏との関係に触れた、第三章「巡礼の果て」は圧巻だった。

刺殺の瞬間を収めた写真は、日本人初のピューリッツァー賞作品となったわけだが、一枚の報道写真にこれほどまで、深い背景があったとは想像もできなかった。そして、この事実を鮮明に照らし出した沢木氏の洞察力は実に見事である。

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Posted by ブクログ 2016年06月27日

沢木氏初の長編ノンフィクションということで良い意味で肩に力が入っている。中立的かつ硬派に、浅沼社会党委員長刺殺事件の背景を抉り出す。

「あとがき」で著者が書いているように、本書は山口二矢とともに、浅沼稲次郎へも焦点を当てたことにより飛躍的に重層感増す作品となっている。戦後混迷期の少年による野党党首...続きを読む殺害というセンセーショナル性だけが現代でも語り継がれているが、山口二矢という極右的思想を持った一途で頑強な極めて稀有な人物がたまたま少年だったという事実と、党内紛と熱量低下でモチーフ化しつつあった浅沼稲次郎が至極不幸な形で交叉したのがあの3党首立会演説会であった。小林日教組委員長でも野坂共産党党首だった可能性もあったが、それは浅沼氏だったのだ。

浅沼氏が奔走した戦前戦後の日本政治の特殊性と、三島由紀夫『金閣寺』の溝口の如く次第に切迫し暗示していく山口の心理考察が緻密に描かれており、厖大な文献調査と取材の形跡が伺える。

1979年の作品だがノンフィクションの名作として是非読んでいただきたい。

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Posted by ブクログ 2016年03月21日

沢木耕太郎の傑作と名高いので読んでおかねばと思って読んだ。浅沼稲次郎暗殺の全貌を膨大な取材と正確な筆致で炙り出している。終戦後の日本の政局や当時の右翼・左翼のあり方についてある程度の知識がないとややつらい

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Posted by ブクログ 2015年11月25日

社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件について、犯人山口二矢と浅沼稲次郎の両面から描く。随分、山口二矢をヒロイックに持ち上げてるけど、ありがちな思想にかぶれて視野が狭まり突っ走る若者のように見えてしまう。一方の浅沼は思想や理想があるように見えないものの地道に組織運営にあたってきたという共感したいような政治家...続きを読むとしてはどうかと思うような、とは思うが、しかしやはり山口を持ち上げる気にはまったくなれん。そして、沢木耕太郎はほぼ同年代でこれを書いた。なんとまあ。

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Posted by ブクログ 2015年07月09日

浅沼稲次郎暗殺事件が起きたのが昭和35年だから、既に55年が経った。半世紀以上前の事件であり、既に歴史となった事件であるが、犯人の山口二矢の心情については、現代でも共通するものはあるだろう。
現代でも思いつめた末に事件を起こす少年はいるが、この時代は政治の季節だったということかもしれない。

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Posted by ブクログ 2014年09月18日

私が何人かの夭逝者に心動かされていたのは、必ずしも彼らが「若くして死んだから」ではなく、彼らが「完璧な時間」を味わったことがあるからだったのではないか。

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Posted by ブクログ 2014年05月21日

ノンフィクション作家・沢木耕太郎の初期の代表作。
日本社会党の重鎮・浅沼稲次郎と、浅沼を刺殺することとなる少年・山口二矢。あまりにも対照的な二人の思想と生き方を克明に浮かび上がらせた傑作です。

とにかく圧巻なのはその取材力。政治的な色彩の濃い、そしてそれがゆえに容易に歪められがちな事件を、著者は確...続きを読むかな熱意と冷静な目をもって執拗に追っていきます。一読すれば、浅沼と二矢を語るにあたって本書が未だ欠かせない理由が理解出来ましょう。

構成も素晴らしい。浅沼稲次郎と山口二矢の生涯を対比させ、また合間合間に彼らをめぐる時代を描く手腕は並大抵のものではありません。やや硬質な文体も緊張感を高めるのに一役買っています。著者の視線に導かれ、読者は二矢の狂熱に、浅沼の「闇」に踏み込んで行かざるを得ません。

一気読み保証。
お勧めです。

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