テロルの決算

テロルの決算

小説・文芸
733円 (税込)

3pt

本作はもはや伝説。沢木耕太郎の最高傑作がついに電子書籍化!
あのとき、政治は鋭く凄味をおびていた。ひたすら歩むことでようやく辿り着いた晴れの舞台で、61歳の野党政治家は、生き急ぎ死に急ぎ閃光のように駆け抜けてきた17歳のテロリストの激しい体当たりを受ける。テロリストの手には、短刀が握られていた。社会党委員長・浅沼稲次郎と右翼の少年・山口二矢――1960年、政治の季節に交錯した2人のその一瞬、“浅沼委員長刺殺事件”を研ぎ澄まされた筆致で描き、多くの人々の心を震わせたノンフィクションの金字塔。第10回(1979年)大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

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テロルの決算 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    信憑性の不確かさを割り引いても、ここまで双方の経歴や内面を丹念に描写しつつ、それぞれのパワーを保ちながらどちらにも肩入れしない形で描写しきっている作品ってどれくらいあるのだろう。
    文庫版あとがきの「なぜ描写するのか」の吐露まで含めて傑作。これは両者の話でもありながら、紛れもなく作者の知覚や情動の発露でもある。

    0
    2026年06月29日

    Posted by ブクログ

    鮮烈なルポルタージュ
    『テロルの決算』

    1.概要
    沢木耕太郎氏の『テロルの決算』は、1960年の「浅沼稲次郎暗殺事件」という戦後史の暗部を抉り出した、魂を揺さぶるノンフィクションの金字塔です。

    単なる事件の記録ではなく、その裏に隠された一人の17歳の少年の孤独な思想と、彼を取り巻く時代の空気が、読者に重くのしかかります。

    2.事件の真相
    事件の発端は、社会党・浅沼委員長が中国訪問で語った「アメリカ帝国主義は、日中共同の敵」という強烈なスピーチでした。

    この言葉は当時の右翼勢力に激しい怒りの火をつけ、事件の引き金となります。

    これに触発された少年、山口二矢の思考が、本書の核心です。彼は、右翼の政治スピーチに感化されながらも、右翼組織の行動や思想に徐々に幻滅を感じていきます。

    書物を通じて天皇崇拝の念を強めた彼は、組織に頼らず、自らの手で「成敗はみずから」と決断を下しました。

    この17歳の若さで、世界と対峙し、自らの命を賭して「決算」をつけようとした孤独なテロルの論理が、生々しく描かれます。

    3.まさに映像なり。
    犯行当日、日比谷公会堂の警備体制は万全とは言えませんでした。

    沢木氏の筆致は、事件が起きる直前の静寂から、警備の隙を突いて山口少年が壇上に駆け上がり、浅沼氏を脇差のような刃物で刺突する発生の瞬間までを、まさに映像のように切り取ります。

    あの衝撃の瞬間を捉えた写真がピュリツァー賞を受賞したことからも、その凄まじさが伝わってきます。

    この緊迫感あふれる描写は、ノンフィクションの醍醐味です。

    4.敬意/20代の情熱と胆力への驚嘆
    何よりも衝撃的なのは、本書が沢木氏が20代で、足掛け7年間もの歳月をかけて大成させたという事実です。

    「声を持たぬ者の声を聴こうとする。それがノンフィクションの書き手のひとつの役割だとするなら、虐げられた者たち、少数派たらざるをえなかった者たち、歴史に置き去りにされた者たちを描こうとすることは、ある意味で当然のことといえる。」

    という後書きは、彼の取材と執筆に対する徹底した姿勢を物語っています。

    生い立ちから思想、そして独房での自決に至るまで、山口二矢という一人の人間の内面を深く掘り下げたその取材力と構成力、そして書き手の胆力には、ただただ驚嘆するしかありません。

    5.読みおえて
    事件の社会的背景だけでなく、テロリストの人間性を描くことで、私たち自身の「政治と暴力」への意識を改めて問い直す傑作といえると考えます。
    ぜひ手に取って、この重厚なルポルタージュを体験してください。

    0
    2025年10月17日

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎の二矢という少年への強い思いが伝わってくる。普通の17才の「素直さ」「狂気」「儚さ」が見事に伝わってくる作品となっている。近年では安倍晋三の銃撃事件があったが、あの事件で、頭をよぎったのは、この「テロルの決算」だった。

    まだ、読み終えていなかったこの小説のあとがきは、二矢が「生きていたら」という、言葉が胸を打つ。二矢を引き立てるために、他の人物を事細かく書くことで、二矢に寄り添いそして二矢を追ってきた沢木耕太郎にとってさらに思い入れの強い人物となっていたのだろう。

    私にとっては、とてもいい作品であった。

    0
    2024年09月05日

    Posted by ブクログ

    現実に起きたこの事件は知らなかったが、小説として書き起こされた当時の情景に息を呑む思いを感じる。17歳の少年が人を殺し冷静に取り調べを受け自決する。物語終盤の以下の言葉が少年テロリストのものに思えないが、そう思って読むと様々な感情が湧き起こってくる。
    「私の人生観は大義に生きることです。人間必ずや死というものが訪れるものであります。その時、富や権力を信義に恥ずるような方法で得たよりも、たとえ富や権力を得なくても、自己の信念に基づいて生きてきた人生である方が、より有意義であると信じています。自分の信念に基づいて行った行動が、たとえ現在の社会で受け入れられないものでも、またいかに罰せられようとも、私は悩むところも恥ずるところもないと存じます」

    0
    2024年05月13日

    Posted by ブクログ

    社会党委員長の浅沼稲次郎が渋谷公会堂で行われた立会演説会の演説の最中にテロリストの若者と交錯した場面はテレビ映像で何回か見たことがあった。
    この本は17際の少年がなぜ暗殺に及んだのか、また、その時現場にいた多くの人たちが何を見て何を感じたのか克明に描いている。
    当時の政治情勢含めて詳細に描かれた秀作だと思う。

    0
    2023年12月15日

    Posted by ブクログ

     社会党政治家が右翼少年に刺殺された事件がテーマとなったノンフィクション作品。二人の過去を辿りながら、社会党政治家側の視点、右翼団体の視点、そして、テロ至るまでの経緯が丁寧に描かれている。
     戦争、安保闘争、学生運動、その時々の人々の考えが伝わってくる、とても学びの多い作品だった。それぞれの転換期にどちらに世の中が傾いたか。世代間の考え方の違いは、歴史の積み重ねであることを感じた

    0
    2023年11月13日

    Posted by ブクログ

    もともとノンフィクションは好きだが、文章が上手く、緻密で広い関係者からのヒアリングに基づきストーリーが作られた秀作。戦後に個人主義が進み、今は人間関係が薄い時代になっているが、まだまだ人間の濃さが残っていたのを感じる。

    0
    2023年09月23日

    Posted by ブクログ

    私が生まれて間も無くの事件だった。
    短刀を構えた青年が、壇上の浅沼氏に襲いかかる映像も何度も目にした。
    子供心に公衆の面前で浅沼氏が刺殺されるというショッキングな事件を覚えている。
    この作品で山口二矢という青年を知り、彼の思考を知り、あたかも鞘を持たない抜き身の刃物のような存在に思えたこともある。
    純粋さやひたむきな正義感は直情的な行動に移行すると凶器になってしまう事があると改めて感じた。

    (発売当時の月刊文藝春秋で読んだと記憶す)

    0
    2021年10月10日

    Posted by ブクログ

    ずっと前に買ってあったが、全く読めておらず本棚に眠っていた。さすがにノンフィクションの金字塔といわれる作品。読み応え十分。目のつけどころもすごいし、事件が事件だけに、取材するのが相当に大変だったと思われる。インタヴューを重ね丁寧に文章を紡ぐ。こんなことはなかなかできないことだと思う。この人にはかなわないと改めて思ってしまう。

    0
    2020年12月07日

    Posted by ブクログ

    もう、三十年も前に読み終えた
    ルポルタージュの名作、
    本屋さんの棚に並んでいたので
    懐かしく思い、奥付を見ると
    「新装版」とある
    これは 今一度 と…

    やはり どきどき しながら
    最期まで 読んでしまいました

    「一瞬の物語」が
    その時代の雰囲気と有り様を
    見事に語ってくれる

    あとがき、
    それも
    Ⅰ~Ⅲまで
    それも また 興味深い

    0
    2019年10月30日

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