沢木耕太郎のレビュー一覧
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購入済み
訪れる場所は東北や北陸、関東などのエリアがメインとなっている。
特にこれといったトピックがあるわけではないが、ストーリー運びの巧みさと文章の上手さに引き込まれてしまう。 -
購入済み
あだこ、おたふく……山本周五郎を、全て読んだワケではないですが
山本周五郎作品の中では、一番好きな短編でした
爺さんの持ってた本を読んだのは、はるか昔でしたが今読むと読めない漢字もあって
前後関係で「ああ、そう読むのか!」などと、昔は普通に読んでた気がするので
最近の小説に慣れすぎて「忘れてるんだなあ?」……と、変な感慨がありました -
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ネタバレ敗戦から5年後の1950年に発表された作品。
母を愛おしく思い大切にする父。母は病弱で早くに他界するが、父の深い愛に育てられた娘。その純粋な娘が自分を大切にしてくれる良人に恵まれる。とても幸せな日々が続くと思われたが。。。
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純粋な娘の心は良人の不貞行為で無残にも裏切られる。良人は即座に謝るも娘の心はずたずたに傷つき、動揺し、発狂寸前まで行ってしまう。
そんな娘を見かねた父は、病床から意外な事実を娘に打ち明ける。
良人の不貞行為は実は父自身の不貞行為であり、父の恥を隠すために良人が罪をかぶってくれていたんだ、と。
だから女中の中のお腹の中の子は、実は良 -
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「山本周五郎名品館Ⅲ 寒橋」山本周五郎 (編:沢木耕太郎)
山本周五郎の短編集。相変わらずのクオリティ。
この一冊ではなんと言っても「人情裏長屋」と「かあちゃん」です。くさいと言われようがベタと言われようが、泣けちゃうものは泣けちゃうのです。
このあたりは個人的な好みなのか都合なのか分かりませんが、加齢してなおのこと涙腺が緩くなったような気がして、「人情裏長屋」「かあちゃん」で泣けてくるというのが加齢した結果なら、それはそれで歳月というものも悪くないような。
特に「人情裏長屋」は、つまりはチャップリンの「キッド」なんですが、よく出来ています。素晴らしい短編。
「オールタイム全人類短編小説大会 -
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「山本周五郎名品館Ⅰ おたふく」山本周五郎 (編・沢木耕太郎)
「わざとらしい」とか「くさい」とか「センチメンタルすぎる」とか「できすぎ」とか「ダサい」とか「ベタ」とか。そういう批判を受けることは大いにあると思いますが、だから嫌われたり、食わず嫌いされたりすることもあると思いますが、そんなことよりも、そんな批判を超えて余りあるパワーとクオリティ。「小説界の中島みゆき」だと思います。
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10歳~15歳くらいにかけてか、山本周五郎さんの本をよく読んでいました。司馬遼太郎さんとか藤沢周平さんとかもその頃に大抵読んだのですが、周五郎さんは独特の美味しさがある本というか。
「樅の木は残った」「さ -
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再起第一戦を勝利で飾り、続く第二戦にもKO勝ちをおさめた
カシアス内藤。そして、次に狙うは東洋ミドル級チャンピオンで
ある柳済斗との試合だ。
それは、内藤が望んだ「オトシマエ」だった。「クレイになれな
かった男」で敗れた相手ともう一度闘いたい。その思いが、
内藤をトレーニングに駆り立てた。
しかし、事は順調には運ばない。韓国のプロモーターとの
交渉、契約に際しての駆け引き。ルポライターであるはず
の著者は、いつの間にか内藤の為に、試合のマッチメイク
に奔走する。
度重なる試合の延期と、難航する契約。その中で、1年を
かけて作り上げて来た内藤の肉体と生活に変化が現れ、
同じ夢に向かって走っ -
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世界チャンピオンも狙えると言われたボクサー、カシアス内藤の
選手生命の終焉を描いた「クレイになれなかった男」から5年。
カシアス内藤がリングを去ってから4年半。ルポライターとしての
仕事の上で事実誤認からミスを犯した著者は、しばらく日本を
離れようとしていた。
友人との酒の席での他愛ない話の中で、思いもかけない
ニュースが飛び込んでくる。どうやらカシアス内藤がリングに
復帰するようだ…と。
夢が、再び前に進み始める。再起に掛ける元チャンピオン、
日本のボクシング界を語る時に忘れてはいけない名トレー
ナーであるエディ・タウンゼント、著者の友人である若き
カメラマン、そして、著者である沢木氏。 -
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沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第2部 雷鳴編』新潮文庫。
マカオを舞台に伊津航平、劉、李蘭の3人を巡る物語は続く。バカラにはまり、バカラの必勝法を追い求める航平と謎の男・劉、背中に傷痕のある娼婦・李蘭の過去と現在が交錯する。
面白い。読み進めば、読み進むほどに面白くなる。
波に乗るのも、波に翻弄されるのも人生だが、なかなか波に身を委ねることは難しい…なすがままに…
やはり、ギャンブル小説でもあり、サーフィン小説でもあるようだ。表向きにはギャンブルを描いているが、その裏ではサーフィンの真髄を描いているように思う。流れに身を委ねる…なかなか出来ないことだが、サーフィンの真髄、人生を楽しむ -
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沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第1部 風浪編』新潮文庫。
久し振りに読む沢木耕太郎だった。『凍』以来だろうか。20年以上前に読んだ『深夜特急』に衝撃を受け、貪るように沢木耕太郎の作品を読んでいた時代もあった。
序章で主人公が亡くなった劉さんが残したノートに記された『波の音が消えるまで』という1行を目にした時、何故か涙が零れた…理由は解っている。
面白い。非常に面白い。
ハワイのノースショアの大波に敗れ、バリ島へと居を移し、マカオへと渡ったサーファー伊津航平を主人公にしたサーフィン&ギャンブル放浪小説。確かにギャンブル小説という色合いが濃いのだが、間違いなくサーフィン小説として -
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[口にできない、したくない]家族、恋人、夫婦、そして友情......。形は異なれど、「愛」という言葉を最後まで口にできなかった人々が描かれる映画の数々を評した作品。著者は、評者が最も好きな書き手の一人である沢木耕太郎。
著者の個人的なエピソードなどが評文の冒頭に置かれ、その後に映画のあらすじが語られるのですが、この冒頭部分が簡潔ながらもとにかく秀逸。自然と、それでいてグイッと映画の世界の入口へと読者を誘ってくれること間違いなしです。
本書で取り上げられた映画は、予め評することを決めて鑑賞したものではないようなのですが、どれも思わず見たくなってしまうから不思議。少し変わった角度から書かれ -
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才能があるのに努力しないボクサーが5年のブランクを経て再帰する物語。
若干29才で年を取っていると言われてしまうボクシング界。
人生経験や試合経験よりも、瞬発力、運動神経、目の良さ、そして絶対に勝つ気迫が重要な要素だ。
若いときに自分の才能に気づき、それに溺れることないように努力させるには、本人の性格もあるが周りの協力者の力が非常に重要だ。
沢木さんは一度見捨てたボクサーの再帰を知り、ふたたび力を貸すようになる。
主人公が練習に打ち込めるよう環境を整えたり、試合をスケジュールするが、ボクシング界の背後には腹黒い人間や、欲深い人達が渦巻き、一筋縄ではいかない。 -
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著者がまだ若いときに出版されたもので、著者が真実に迫ろうとする、真摯でまじめな姿勢がうかがえる。
まず、取材先の数が膨大である。
自分のなかの疑問を少しでも解き明かすため、著者はあらゆる関係者の声を聞きたかったのだろう。そのころはまだ大作家ではなく、おそらく自分でアポをとり、自分で取材趣旨を説明し、自分で話を1件1件聞き、自分でルポにまとめていたのだろう。全体の完成度からみれば後の作品のほうが良いだろうが、著者が構成力を、取材を丁寧かつ時間をかけて積み上げることによってカバーし、結果として読者がよりよく真実を見極められる材料を提供している。
さらに、山口二矢の関係者と、浅沼稲次郎の関係者と -
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[丁半の定め刻]圧倒的な才能を有しながらも、ボクシングに本気になれず、その世界から惨めな敗北とともに脚を洗ったカシアス内藤。そんな彼が4年ぶりに復活するという話を耳にした著者は、引退前の彼に取り憑かれたときのように、またジムへと訪れ、彼の再起をその眼で見たいと願うのであるが......。男たちの一世一代の賭けを追ったノンフィクション。著者は、私がもっとも好きなライターの1人である沢木耕太郎。
人生で一度は震えの起こるような勝負をしてみたいと思ったことがある方なら、本書を読んで間違いなく震えが走るはず。ボクシングに「かたをつける」ためにリングに上がるカシアス内藤、その内藤に形容し難い夢を見る