あらすじ
劉が遺したノートにたった一言書かれた謎の言葉。あの人はついにバカラの必勝法を見出したのか? 偶然のなかに完全な必然はあったのか? その指先でバカラの深奥に触れた航平は退路を断ち、最後の賭けに打って出る――。もう後戻りなどしない。勝つためではなく、生を濃く生きるために。世界を掴み、神になるために。幾多の河を渡り、最後の岸辺に着いた青年は何を見たのか。激動の完結編。
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Posted by ブクログ
沢木耕太郎『波の音が消えるまで 第3部 銀河編』新潮文庫。
あっという間に最終巻を迎えた。非常に面白いのだ。劉が亡くなり、李蘭も去り、独りマカオに残り、バカラの必勝法を追い求める航平の辿り着く場所は…
航平は、かつてノースショアで敗れた大波に乗れるのか…いや、結末は既に見えている。一度、大波に敗れた人間に、流れに身を委ねることなど出来ないのだ。
束の間の儚い夢と新たな希望。ギャンブルとサーフィンを対比しながら、描かれる人生。そして、見事な結末。久し振りに良い物語を読んだ。
Posted by ブクログ
冒険研究所書店の選書で購入。
劉の体が悪くなり、金も尽きた航平は一度日本に帰り、治療費を作ってマカオに戻る。
しかし、劉はすでに亡くなって、李蘭に一冊のノートを託す。
そのノートにはバカラの必勝法が書かれているとばかり思ったが、ノートにはただ一言「波の音が消えるまで」と書かれただけだった。
この本を完読した感想は「村田明美」に会いたいです。
Posted by ブクログ
日本に一時帰国し、束の間の平和な日々を送っていた主人公が心が通じ合いつつあった村田明美の制止を振り払い再びマカオに行く姿が渋くてカッコよかった。
そう思うのは男だけだろうけど…
死んでしまった劉さんの残した言葉
「波の音が消えるまで」の意味を求めてバカラにのめり込んでいく。
全てを失い後戻りするチャンスを捨ててバカラをする主人公。なぜそこまでやれるのか?
客観的には没落しているが、果ての果てまで追求する姿に羨望の念を抱いてしまった。
最後の50ドルだけで勝負していくところは緊張感があって引き込まれた。全てがあのシーンのためのフリだったように感じる。
Posted by ブクログ
元サーファーで元カメラマンの主人公がマカオでバカラ賭博の必勝法を求めるフィクション。1970年当時のマカオの喧騒が、バカラ賭博の熱と共に伝わってくる。主人公の師ともいえる劉さんが、死ぬ間際にバカラの必勝法に辿り着き、主人公に伝えたのは「波の音が消えるまで」。サーファーの主人公はバカラ賭博の庄間のツラ目、戻り目を波と捕らえ、最終的には自分自身が波となる。冷静で聡明そうな主人公も最終的には劉さんのように暗雲とした人物像に変化していく。