沢木耕太郎のレビュー一覧
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三島由紀夫、モハメッド・アリ、向田邦子、山本周五郎……。未知の人物との遭遇が、心躍らせる物語への熱中が、いつだって私を豊かにしてくれた。幼少期から現在に至るまで、無数の本との出会いを綴る豊潤な36編。『深夜特急』の直前、26歳の時に書いた単行本未収録のエッセイ「書店という街よ、どこへ?」も初収録!
巻頭で著者が言及していた書店は、以前の勤務先に近く、私もしばしば訪れていた。業種が変わってしまった時はがっかりした。街から書店がなくなるのは、悲しい。一方で40年前の梅田の大型書店のルポには驚かされた。ここまで混雑していたとは。
山本周五郎を今度、読んでみたい。 -
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ベルリンオリンピックの事なんも知らないから単純に好奇心を満たせてよかった。当時すでにマラソンの世界記録は2:30切ってたとか、高跳びにはまだベリーロールもなかったとか、バタフライが平泳の一種として取り扱われてたとか、面白い。マラソンで優勝した日本の選手が朝鮮人なのもすごく興味があるのでこのあたりについてももっと知りたい。戦前なんて大昔のような気がしてたけど、使われてたテクノロジーとかも思ったより近代的で驚いた。オリンピア二部作の監督のレニ・リーフェンシュタールにインタビューして迫る部分は価値があると思う。タイミング的にもこの時でないと書けないようなものを沢木耕太郎はよくものにすると思う。
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シンプルにまとめられてて読みやすかった。
無駄がなく、誰かの過去を想起する際も、だいぶ凝縮されて書かれており、しんどさを感じなかった。
終盤、ちょっと押し込んだようにいろんな内容が詰め込まれてたのが残念。
駆け足に読ませられる印象を持ってしまった。
やっぱりボクシングの取材がしっかりされてて、根拠があるなと唸らされる。
広岡がカッコ良すぎて、キャストに佐藤浩一って合ってるなーと関心しながら読めた。
嫌悪感抱く人物もおらず、終盤、嫌と思っても仕方ないエピソードもあるが、それまでも美しく描かれてるので嫌な気持ちもしない。
爽やかな青春スポーツ小説だった。 -
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遂に最終巻
イタリアはローマ、フィレンツェ
そしてお隣りモナコではマカオのリターンマッチ
所持金総額500$を切っているのに、カジノに出陣しようとするのには驚いた
マルセイユ、バルセロナ、バレンシア、リスボン、サグレス、マドリード、パリ、ロンドン
マドリードではバルをはしご
旅を始めて酒場で楽しむのは初めて
最後は、そういうオチなんだ?
全巻通して一番前向きに見えたのは、香港とマカオのカジノだったかなあ〜
所持金1900$で一年以上の旅は凄い!
時代は違うとはいえ、なかなか出来ません
若いうちの苦労?は、大きな財産になりますね
公開中の沢木耕太郎さん原作の映画『春に散る』も観てみた -
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一巻から六巻のうちの五巻に突入しました
旅も終盤となると、ちょっと淋しい気持ちになります
今回は、沢山の世界遺産や有名地が出て来るので、私もネット検索しながら一緒に旅した気分に浸りました
トルコ(エルズルム、トラブソン、アンカラ、イスタンブール)から始まり
ギリシャ(アテネ、ペロポネソス半島のミケーネ、スパルタ、ミストラ、オリンピア、パトラス)
そして、地中海船旅でイタリアを目指します
トルコでは、ちょっとだけ贅沢をして、著者お気に入りのブルーモスクと海が見える部屋に泊まります
そして日本で頼まれていた事があり、それを果たしにアンカラに行きます
今まで、厳しい経済的な状況とその時の気分で動 -
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アフガニスタンとイランの国境から凄まじいバスの長旅でテヘランへ
テヘランからシーラズ、イスファンへ
今回は心身ともに疲れが溜まっている様で、淋しさや恋しくなるシーンが増え、温度も下がり気味
印象的なのは、
今まで以上に日本語や活字が恋しくなり、出逢った日本人に本を貰うシーン
たまたま知り合った者同士7、8人の日本人がいるヒッピー宿に毎日通い詰めるシーン
大都会のテヘランで公衆電話の中で笑いながら話をする人達を見て、淋しく思うシーン
何としても日本人夫婦に会いたいと頑張ってテヘランへ向かうシーン
何の為に旅行をしているのか?
楽しむ為に旅行をしているのに、お金が無いという現実
物乞いに対す -
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ネタバレバンコク・ペナン・シンガポール編
今回も期待を裏切らない珍道中の旅
「金がない」著者は、いつも売春婦が出入りしている様な如何わしい安宿に滞在するので、しつこい誘惑が多い
そして薬の誘惑も多いので、読んでいてハラハラしますσ(^_^;)
我慢しろ〜我慢しろ〜
でも本当は一回や二回ぐらいは誘惑に負けてしまったのではないかと、勝手に思っています
今回は旅慣れて来たと同時に、自分自信と向き合う事で、心の成長が見られます
バンコクでは、ことあるごとに「金がない」と言い続けて来た自分
金がない自分が、その土地の人の親切を受けるのは当然だと心の何処かで思っていたのではないかと気づきます
シンガポールでは -
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ネタバレ少女は小説を書く愉しみを覚えた。それは、『しんこ細工の猿や雉』の中の「おとなしい子に御褒美」という言葉を借りれば、物語を愛し、物語の力を信じた少女に、物語の神様が「御褒美」としてひとつの美しい手鏡を与えた、ということと同じであったろう。そこに映せばどのようにでも姿かたちを変えることができる、という美しい手鏡だ。少女は、思うがままに変容させつつ、そこに自分を映し、外界を映していく……。
だが、小説を書くという行為には、たとえそれがどれほど幼くつたないものであっても、どこかに「自らを視つめる」という契機を避けがたく含んでしまうところがある。手鏡は自惚れ鏡にもなりうるが、鏡台の前に座った少女には