沢木耕太郎のレビュー一覧
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旅行が壮年期って…ナイスな表現じゃないですか!
確かに、ふと旅行先で思うのはこれまで行った場所や経験したことから旅行先を仕立ててしまうこと。
人間として生きる以上、仕方のないことかもしれないですが、この状態に陥ると感性が鈍るというか、どこか若干のマンネリズムを覚えるんですよ。
新しい発見や展開を迎えないと人生も旅もつまらないと感じてしまう、ただそれは危険な状態だと思うんです。
繰返し同じ生活が出来ているありがたみを忘れてしまうんですね、何かを求める感覚というのは本当に大事だと思うんですが、足元の幸せが見えなくなるというか…最近わたくしそんな感じになってますので、この本を読みながらそんな思いを巡らせておりました。 -
Posted by ブクログ
ノンフィクションは本の尺や起承転結で先の展開が読みづらいのが面白いところ。旅先で仲良くなった人物がその後全く登場しない、というのが多数いて必ずしも登場人物が主展開に絡むわけではないという自由さ、読み物としての奥深さが旅のリアルを思わせる。もちろんその性質上、退屈なページは存在するが、すべてのページが物語の伏線になっているような不自然な物語構成よりずっといい。
1986年の作品ではあるが、古い言葉使いが多いわけではなく比較的読み進めやすいと感じた。
後半サイコロ博打の話になるが、この章だけ物語内での時間経過に対する文字数が多くなって説明が丁寧になっていくのだが、そんなところから主人公の、損を取り返そうとする熱量が感じられて読み応えがあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレついにインドに降り立った。
ここからいよいよ旅の本番という感じで、放浪の旅らしさが一気に増してくる。
インドは広大で、とにかく移動が過酷だ。電車は平気で遅れたり故障するし、硬い座席で何時間も耐えなければならない。町ではリキシャや宿との値段交渉、払った・払ってないの押し問答は日常茶飯事。蝿が飛び交う食堂、道端で排便する人、虫だらけの宿、ガンジス川を流れる死体など、日本人には衝撃的な光景が次々と現れる。私なら「もうこんな国は懲り懲りだ!」と早々に荷物をまとめて出国してしまいそうだ。
しかし作者は、そんな窮屈さや不便さ、価値観の違いを肌で感じながら、少しずつその世界に順応していく。目を背けたくなる現実も受け入れ、トラブルさえ旅の一部として楽しんでいるように見える。巻を追うごとに作者が図太く、たくましく成長していく姿も、このシリーズの面白さだと感じた。
インドには私たち日本人には理解しがたい文化や価値観が数多くある。そんな中で作者が語る「ここでは解釈というものは不用、ただひたすら見る。必要なのはそれだけだ」という言葉が、とても印象に残った。異文化に無理に答えを求めるのではなく、まずはありのままを受け止める。それこそがこの国を旅するために必要な姿勢なのだろう。
この作品では派手なドラマは起こらない。それでも、現地の空気や匂い、人々の息遣いまで伝わってくるような臨場感があり、読んでいるだけで自分も旅をしている気分になれる。これこそが深夜特急の最大の魅力だと思う。
前巻の感想で「私もこんな気ままな放浪旅をしてみたい」と書いた。しかしこの巻を読んで思った。おそらく私はインドで心が折れ、ここで旅をリタイアするだろう。 -
Posted by ブクログ
長期の旅行を控えるなかで購入した一冊(どこで知ったか忘れてしまった、、)。
1986年当時では今と旅行の感覚も違ったであろうが、旅の気持ちよさ、縛られない雰囲気、感じ方は変わらないんだなあと改めて感じた。スマホで予約もできなければ、GoogleMapも翻訳アプリもない。トラベラーズチェックやアエログラムは便利そうだなあと思いつつ、、海外に出ることのハードルは当時かなり高かったんじゃないかと思う。ましてや繋がっているか確かめてもいないのにバスでロンドンまで。。海外旅行に出ると当たり前に便利なツールを使ってしまうが、地図を見て、時刻表見て、人に聞いて、不確かな旅することの豊かさもあったと思う。
最初は不審に思いつつ知らない人と仲良くなっていく、タクシーのぼったくりを警戒する、ふといい街だなあと感じる、急に疲れる・おなかが減る、そういう当たり前だけど旅していると感じる気持ちがしっかり描かれていて、自分の旅とも照らし合わせたくなるし、著者のリアルな経験と空気感を感じられた。
無一文なのにソバおごってくれた彼やマカオでの"大小"はかなり印象的だった。普段博奕はやらないが、一緒にやっている気分になるくらいのめりこんだ。本人は比にならないくらい白熱したんだろうな。
海外旅行の適正年齢は26歳というのもなんとなくわかる。
今は早くからいろんな情報も手に入るからもっと若くから行けるんだろうけど、自分の経験上も人間的には26くらいになって初めてまともな自我?が芽生えるというか。いろんなこと感じるのにも器が必要なことには共感した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ旅も半ばを過ぎて、沢木さんのテンションがあがらないのが文章から伝わってくる。
黒海の少年や磯崎夫人のおつかいなど、それなりに印象に残る出来事はあるけど、それまでのような鮮烈なインパクトはなかった。
熊使いのぼったくり屋さんのところはちょっと面白かったけど、その為に熊を飼うってコスパ悪そう。
優しいおじいちゃん達もいいけど、やっぱり子供たちとのやりとりが一番いい。
ジプシーこそ見かけたけど、ヨーロッパに入ると子供の労働を見掛けなくなると同時に出会う機会も減ってしまうのは残念。
アジアからヨーロッパを茶に見立てて、Cの国からTの国というのは面白い。
ギリシャ国境からアレクサンドルポリスまでのはずがテッサロニキまで乗せてってくれる北欧の人達の懐の広さよ。地図で場所確認してびっくりした。
そして、ペロポネソス半島あたりからじわじわと湧き起こるこの旅についての熟考。
「地中海からの手紙」でついに決定付けられてしまい、分かってはいたけど読んでる私も大きな喪失感を覚えてしまった。
けど、この「地中海からの手紙」が沢木さんの心情を丁寧に描いていて素晴らしかった。
今はなきユーゴスラビアを通るもんだと思って楽しみにしてたら、まさかのフェリーでイタリアに行くとはそりゃないぜ。まぁトルコ辺りから船、船、言うてたからなぁ。
ラスト1巻、何を想うのか、見届けよう。