沢木耕太郎のレビュー一覧
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ネタバレ少女は小説を書く愉しみを覚えた。それは、『しんこ細工の猿や雉』の中の「おとなしい子に御褒美」という言葉を借りれば、物語を愛し、物語の力を信じた少女に、物語の神様が「御褒美」としてひとつの美しい手鏡を与えた、ということと同じであったろう。そこに映せばどのようにでも姿かたちを変えることができる、という美しい手鏡だ。少女は、思うがままに変容させつつ、そこに自分を映し、外界を映していく……。
だが、小説を書くという行為には、たとえそれがどれほど幼くつたないものであっても、どこかに「自らを視つめる」という契機を避けがたく含んでしまうところがある。手鏡は自惚れ鏡にもなりうるが、鏡台の前に座った少女には -
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沢木耕太郎(1947年~)氏は、横浜国大経済学部卒のノンフィクション作家、エッセイスト、小説家、写真家。著者が1974~5年に香港からロンドンまでを旅した記録『深夜特急』(発表は1986~92年)は、当時のバッグパッカーのバイブル的存在としてあまりにも有名。本作品で大宅壮一ノンフィクション賞、『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、『凍』で講談社ノンフィクション賞、その他、菊池寛賞等を受賞。
本書は、1978年に出版、1982年に文庫化されたものを、2008年に新装版化したものである。
私は、1980年代にバッグパックを背負って海外を旅し、沢木の作品はこれまでに、上記の各賞受賞作をはじめ、 -
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購入済み西川一三と沢木耕太郎
西川一三と沢木耕太郎。時代も旅程も全く違うが旅する二人に共通する「匂い」を感じることができる。小説ではなくドキュメンタリー ルポルタージュなのだが、主人公西川一三の歩みがあまりにも壮大なので、その迫力は凡百の小説を遥かに上回っている。
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私はテロという暴力を肯定しない。しかし加害者である個人を否定しない。その尊厳を守るべき社会は、私たちが担う責任の集約でもあり為政者はその代表となる。民主主義社会の過渡期に起きた暗殺事件、被害者の政治家・浅沼稲次郎と加害者の右翼思想青年・山口二矢、ふたりは面識もなく現場となった日比谷公会堂で初めて対峙する。偶然が重なった警備の穴にするりと足を踏み入れた山口の決意はどれほど熟成されたものなのか、それとも当日の新聞朝刊に載った記事による衝動的な狂騒だったのか、夭折となった山口の本心は知る由もないが、最後の章で垣間見せる人情に感嘆する。彼は狂人ではない、思想の違いがこれほど常軌を失わせてしまう悲劇なの
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巻末で語る沢木氏の世界も一片の作品の様で「情」の世界が持つ彼なりの想いを自分の父の話を軸に切々と語っているのが哀切を伝える。
とは言え、山本氏の作品に「情」が流れていないものが有るかな・・ユーモア小説の類でも情が有る。
でも沢木氏が語るように、膨大な作品群の中でも秀逸揃いを納めてある~「人情裏長屋」「なんの花か香る」「かあちゃん」「あすなろう」「釣忍」は題名だけで内容が湧き上がってくる。今回、しっかり刻み込んだ「寒橋」の情感・・切なさと底冷えのするような空気感がもたらす夜の河岸の情景が心を震わせる。
おたみの産む子の父はひょっとして・・と邪念も働くけど。 -
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憧れの作家を挙げろと言われたら、沢木耕太郎さんを挙げるだろう。彼の書くものは、小説を除いて、ほとんど読んでいるかもしれない。本書は、以前単行本として刊行された23人の作家論だが、文庫化にあたり外国人作家が割愛され19人の日本人作家論となっている。
沢木さんの作家論を読んで、その作家について学ぼうと思う人はそうはいるまい。沢木さんの作家論を読む人は、おそらく沢木耕太郎がその作家をどう語るかを知りたいのである。
沢木さんの手にかかると、作家たちの人生は何か壮大な運命に絡め取られているかのように感じられる。お堅い作家論にはない、鮮やかなドラマがそこにある。そのように書くと全てが沢木さんのイマジネ -
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「沢木耕太郎」が、自らが選んだ道をひたすら疾走する十二人の胸に秘められた情熱の旋律とロマンの軌跡を描いたルポルタージュ作品『若き実力者たち 現代を疾走する12人』を読みました。
『危機の宰相』、『テロルの決算』に続き「沢木耕太郎」作品です。
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「尾崎将司」、「唐十郎」、「河野洋平」、「秋田明大」、「安達瞳子」、「畑正憲」、「中原誠」、「山田洋次」、「市川海老蔵」、「小沢征爾」たち十二人とともに酒を酌み、ともに旅して探った、現代を現代的に生きる人物紀行。
「小沢征爾」、「市川海老蔵(現・団十郎)」、「唐十郎」、「山田洋次」、「尾崎将司」…。
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「沢木耕太郎」が、日本社会党の党首「浅沼稲次郎」を小刀で殺害したテロリスト「山口二矢(おとや)」を描いたルポルタージュ作品『テロルの決算』を読みました。
『危機の宰相』に続き「沢木耕太郎」作品です。
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あの時、政治は鋭く凄味をおびていた
17歳のテロリストは舞台へ駆け上がり、その冷たい刃を青ざめた顔の老政治家にむけた。
とぎすまされたノンフィクションの最高傑作!
少年の刃が委員長の胸を貫いた瞬間に社会党への弔鐘が鳴った。
テロリストと野党政治家とが交錯する一瞬までをたどる大宅賞受賞作
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『危機の -
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「沢木耕太郎」が、「池田勇人(はやと)」の経済成長テーマだった「所得倍増」を巡るプロセスを描いたルポルタージュ作品『危機の宰相』を読みました。
「城山三郎」が78歳で国鉄総裁になった「石田礼助」の人生を描いた作品『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』を読んだのですが、「石田礼助」を国鉄総裁に強く推薦したのは「池田勇人」だったんですよね… そんなこともあり、本書を選択、、、
「沢木耕太郎」作品は、8月に読んだ『檀』以来なので、約1ヶ月半ぶりですね。
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あの時、経済は真っ赤に熱をはらんでいた
安保闘争の終わった物憂い倦怠感の中、日本を真っ赤 -
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「旅のつばくろ」の2巻目。
1巻目には、このエッセイが、JR新幹線の車内誌である「トランヴェール」に連載されたものであるという説明があったのだが、この2巻目には、その記載、すなわち、このエッセイの初出が全く記載されていない。それは沢木耕太郎のエッセイを味わう分には書いてあっても書いてなくてもどちらでも良い類のものであるが、何故書いていないのだろうか、と不思議な気がした。もしかしたら書下ろし?そんなこともなさそうだしな、と思いながら。
このシリーズは、国内旅行のエッセイである。
沢木耕太郎が書く旅行記といえば、何といっても「深夜特急」。外国を放浪するように旅するというのが、沢木耕太郎の旅行記のイ