Posted by ブクログ
2018年04月22日
沢木耕太郎が40年以上前に当時の若手のキレ者的な人々について書いたもの。世に出てきた頃の沢木さんの筆力を感じるのも面白い。さすがに随所で若さを感じる。自ら「人物紀行」と銘打っているけど、確かに人物評というわけではない著者のうるささがあまり入っていないのはいい。とはいえ、取り上げる人を選んだのは、唯一...続きを読むの女性である安達瞳子を除けば沢木さん自身であり、好みや興味が寄る人を取り上げていることにはなる。
取り上げているのは、尾崎将司、唐十郎、河野洋平、秋田明大、安達瞳子、畑正憲、中原誠、黒田征太郎、山田洋次、堀江謙一、市川海老蔵、小沢征爾という面々。45年くらい前に世に出てきた方々を、40年以上を経た現在から見るのも面白い。
特に気になったのは河野洋平。長じて(?)はギョロ目の自民党の幹部政治家という印象で、「河野発言」も当時のタイミングで言っただけのような認識だったのだけど、実は一本筋が通った人だったのかなと、この本で書かれた以後の生き方も簡単に追ってみて思った。
『深夜特急』へのあこがれやその寡黙そうな風貌から、沢木さんをリベラルで大人でありつつ少年の心ももつ人物のように思いがちだけど、取り上げている人たちやその後もスポーツ関係のルポをたくさん書いていることからもわりとマッチョな世界がお好きで、私の好きな方向とはちょっと違う人なんだろうなと、この本を読んだタイミングで本気で認識した。