沢木耕太郎のレビュー一覧
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江戸時代に唯一芸人でありながら獄門となった市井の一講釈師にスポットを当てて長編小説と仕立てたという一見地味な主人公の物語であるのに、いつものように引き込まれるような沢木耕太郎の書きっぷりに読後の満足感を味わっている。
松平右近将監、田沼意次という登場人物から、大河ドラマの石坂浩二と渡辺謙の顔を思い浮かべたのは私だけでは無かったのではと思う。
68という齢となりまだ仕事をさせてもらっているが、人生の最後に悔いなく生きたと思えるよう残された人生を大切にしたい。
また、静岡にいる間に田沼意次が治世した相良の地を訪ねてみたいという思いを改めて強くさせてくれた。 -
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沢山の人に読まれている沢木耕太郎さんの『深夜特急』。
外見も中身もかっこいい沢木耕太郎さんの価値観での「貧乏旅」。言えるのは「最高かよ」ってこと。シェアしてくれてありがたい。
沢木耕太郎さんなら、どんな価値観で旅をするのか。それを知れることが本当に嬉しい。
スマホがない時代だからこその旅ってのはもちろんあって、でも沢木耕太郎さんがもし、今旅をするとしたらどうするのかも、とても気になりました。
スマホを置いていくのだろうか。笑
印象的だったのはカジノでのシーン。
頭が良い人、知的な人のカジノでの遊び方はこうなるのかと驚き。手に汗握りながら読んでました。
『深夜特急』は6まで出ているの -
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長い旅が終わった。
1巻から読み通して間もあけつつ約半年、いやもっと言えば、1巻だけ読んで投げてしまったのは4年も前だったか。
きわめて個人的な話だが、僕は続き物の本が苦手だ。司馬遼太郎なんかはいろんなシリーズの1巻だけを読んで放っておきどおしだし、そもそも複数巻というだけで尻込みして手を出せてすらいない本も多くある。
それでいて(元は3巻本とはいえ)6巻に及ぶこの小説を読み通せたのは、やはりデリーからロンドンへ、という地理的なタテ軸が明確にあったがゆえだろう。
いずれにせよ、長い「積ん読」を経て、僕の中の沢木氏もようやくロンドンに到達した。
感化されてアテのない旅に出るにはいささか手遅れ -
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鮮烈なルポルタージュ
『テロルの決算』
1.概要
沢木耕太郎氏の『テロルの決算』は、1960年の「浅沼稲次郎暗殺事件」という戦後史の暗部を抉り出した、魂を揺さぶるノンフィクションの金字塔です。
単なる事件の記録ではなく、その裏に隠された一人の17歳の少年の孤独な思想と、彼を取り巻く時代の空気が、読者に重くのしかかります。
2.事件の真相
事件の発端は、社会党・浅沼委員長が中国訪問で語った「アメリカ帝国主義は、日中共同の敵」という強烈なスピーチでした。
この言葉は当時の右翼勢力に激しい怒りの火をつけ、事件の引き金となります。
これに触発された少年、山口二矢の思考が、本書の核心です。彼は -
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古代オリンピックが消滅したようにこの近代オリンピックみ衰退の一途を辿っているのではないか。
沢木氏の近代オリンピックに対する視点は批判的で。
古代、勝者が得るものは栄誉とオリーブの冠だけだったオリンピックがあからさまな商業主義の生贄となってしまった。
彼の非難は大会をそんなものにしてしまったサマランチ会長に限らずスポンサー、選手自身、それを許してしまっている世の中の人々にも向けられている。
特にこの作品で取り上げられているアトランタ五輪に関しては近代オリンピックがアテネで始まって100年目という記念すべき大会であるにもかかわらず何故アテネでなくアトランタなのか。
まさしく巨大スポンサーであるア -
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独特のユーモアと、カラッとした湿度の低い気まぐれな冒険心、どこか自分に対しても突き放したところがある文体が妙に心地よくて面白く読めた。
-欲望はなかった。しかし、奇妙な使命感が体を熱くした。(本文104p)
-《われわれはツーリストを大いに歓迎する一一ただしヒッピーは除く》
だが、残念なことに、ツーリストとおぼしき人物は、私を含めてすべてがヒッピー風だった。(本文121p)
-旅に出て鈍感になっただけなのかもしれないが、それ以上に、またひとつ自由になれたという印象の方が強かった。(本文180p)
怪しげな安宿、深夜到着の心もとない旅程、衛生的に不安が残る露店のジュースなど、リスクより冒