【感想・ネタバレ】天路の旅人(上)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

この希有な旅人のことをどうしても書きたい――。第二次世界大戦末期、敵国の中国大陸奥地まで密偵として潜入した若き日本人がいた。名は西川一三。未知なる世界への好奇心に突き動かされた男は、極寒の雪道、延々と続く砂漠、幾重もの峠、匪賊の襲撃や飢えを乗り越え、八年に亘り中国北部からインドまで果てしなく長い路を歩み続けた。二十五年の歳月を経て結実した超大型ノンフィクション。

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Posted by ブクログ

さすがは沢木耕太郎さん。素晴らしい作品でした。
ネパールのエベレスト街道トレッキングした経験があるのでその時の記憶が蘇ったりしてとてもよかったです。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

☆☆☆ 2025年7月 ☆☆☆

西川一三。このような人物がいたことはまったく知らなかった。
第二次世界大戦中に密偵として中国奥地に進入し、チベットからヒマラヤを越えインドまで旅をした稀代の旅人の物語。
本書は沢木耕太郎が西川の取材のため東京から盛岡へ発つところの回想から始まる。いまから四半世紀前というから、おそらく1998年~2000年ごろ?と思われる。「年に364日働いている」という西川と酒を酌み交わしながらの取材を重ねたものの、インタビューを中断し、再開できないまま西川は亡くなってしまう…
それでも沢木耕太郎はこの人物のノンフィクションを書くことをあきらめず、遺族への取材や資料の綿密な読み込みの結果完成したのが本書だ。


西川は山口県生まれ。少年時代から西域にあこがれを抱いていた。司馬遼太郎といい、井上靖といい、この時代の少年にとって西域は未知なるもの、冒険心をくすぐる象徴のようなものだったのだろう。
西川は満鉄に就職し中国にわたるが、職を辞し興亜義塾という組織に入り、蒙古の言葉、文化を学び密偵として中国奥地へ旅立っていく。日本と交戦中である中華民国の物資調達ルートを探ること。数年におよぶ長い旅の始まりだ。


ロブサン・サンボーと名乗り、ラマ教徒に扮して雄大だが残酷なゴビ砂漠を渡り西域へ。巡礼増の仲間やラクダとともに、アルガリ(動物の糞)を燃料としながら過酷な旅を乗り切っていく。道なき道を行き、星を見ながら方向を定める旅。
前半部分ではバト少年の死の場面があまりにも悲しく忘れられない。
旅の供として「売られた」バト少年。9歳ながらも過酷な旅に同行し、不満をもらさなかった強い少年。彼がおもちゃを与えられ初めて子供らしい喜びに浸り無邪気な笑顔を見せた数日後、病により旅立ってしまった。だからその笑顔は西川にとって忘れられないものとなった。遺体は砂漠に葬られ数日たてば、動物に啄まれ、乾燥により骨だけになってしまっていた…

さらに旅を続ける西川。
時に巡礼の旅人たちや行商人とともに。
急流を泳ぎ切り対岸に渡ってしまったラクダを連れ戻し喝さいを浴びることも。
そして1945年。
西川はチベットにて日本の敗戦を知る。

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

チベットに対して特別な興味はない。派手なアクションもない。移動の過酷さは、伝わってくるが、めきつく騙されたり、目を背けるまでの厳しい場面もない。しかし、最後まで夢中にしたのは何でしょうか?とにかく身体が丈夫な主人公でした。ずっと栄養が気になってました。

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2025年07月19日

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西川一三の旅。山口の地福出身。帰国後、盛岡で暮らした理由はたまたまとあったが、腑に落ちなかった。「困難を突破しようと苦労しているときが旅における最も楽しい時間なのかもしれない。困難のさなかにあるときは、ただひたすらそれを克服するために努力すればいいだけだから、むしろ不安は少ない。」恐れていては一歩も踏み出せなくなり、踏み出して努力すれば、いずれゴールに辿り着くことができる。旅に失敗はつきもの。旅をすることは前向きになることなのかもしれないと想う。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

旅文学の新たな旅、という言うべきか。

偉大なる冒険家"西川一三"との出会い、
そして西川がどのようにチベット、ラサに至るのか。

その道中をこれまでかと表現し尽くし、
西川自身の想いやそれぞれの地で出会う蒙古人、あるいはタングート人、チベット人など、それぞれが持つアイデンティティや文化にも触れていく。

それはまさに我々自身が旅に出ているかのような、
そんな高揚感を与えてくれる冒険そのもので、
ラサに至るまでの道を文字通り同行させてもらった、
そんな思いを綴らざるを得ない。

西川の度胸やここぞの運、また旅を俯瞰することでわかる偶然の産物などは我々が旅をする際にも起きていることなのであろう。それでも西川はラサに辿り着いた。

自然に触れる一文はあまりに美しく、
ラサに辿り着いたことは我々読者の到達でもある。

そして一人旅をこよなく愛する僕にとっては、
この一文は全く偉大である。

「神仏に向かって祈っているのではない。長い労苦の象徴としてのラサに向かって首を垂れている。そこからラサは見えないが、彼らには見えているのだ。それは美しい自然の中の、もう一つの自然のように思えた。」

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2025年12月20日

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戦中に中国大陸に密偵として従事した西川一三。
未知の地域を旅する過程は生やさしいものではなく
激寒の環境、匪賊の脅威、慣れない駱駝

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2025年11月16日

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第二次世界大戦中の中国の奥地、そしてチベットへ、密偵として旅をした日本人がいるという。
過酷な旅にあって、時に現れる美しい景色の描写に好奇心、異国への憧れまだ知らない何処かへ旅に出たいという気持ちをくすぐられる。

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2025年10月14日

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西川一三なる人物のことは全然知らなかった。

盛岡の知人が、以前こんな面白い人が住んでた街なんだよっておすすもしてくれて出会った一冊。

ある種若気の至りというか、青い使命感で中国の西の果てを目指すところなど大変人間味がある。
旅自体も面白く、行ったことのない土地の風や匂いを夢想しながら読んだ。

下も楽しみである。

勧めてくれた人、ありがとう。

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2025年09月14日

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第二次世界大戦末期。
自ら志願して、密偵として中国奥地に潜入した西川一三。
露見すればすぐに殺される危険な任務。
蒙古人ラマ僧(ロブサン・サンボー)に扮して旅を続け、チベット・ラサへ。

未知の世界へという好奇心にかき立てられる西川。過酷な環境に耐えながら、旅を続ける西川。
3年かがりでラサにようやく辿り着く。

過酷な旅だった…
周りの人々に助けられラサまで辿り着いた西川。
周りの人々が西川を助けるのも、西川の人がらがさせることなんだろう。

本当に悪い奴に出会わなくて、よかったと…

敗戦を知った西川はどうするのだろうか…

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

深夜特急以来、超久しぶりの沢木耕太郎。
上巻は内蒙古からチベットのラサまでの旅。迫力のある文章で情景がリアルに想像できる。過酷な旅の途中の美しい風景、人との繋がり、あたかも自分も一緒に旅をしているような錯覚に陥いる。凄く面白い。下巻が楽しみ。

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2025年06月25日

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第二次大戦末期、中国大陸奥地まで密偵として潜入した日本人、西川一三。彼の足跡をたどる8年に亘るドキュメンタリー。匪賊の襲撃を乗り越え、飢えに苦しみながらも、中国北部からインドまで気の遠くなるような長い道を歩き続けた十三。彼は極限の状態でありながらも精神は限りなく自由で、心躍る大冒険を続けてゆく。本当の豊かさとは何なのか?読者の心に問いかけるノンフィクションである。

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2025年06月10日

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沢木耕太郎『天路の旅人 上』新潮文庫。

第二次世界大戦末期に敵国の中国大陸奥地まで密偵として潜入した日本人、西川一三の8年間の軌跡に迫るノンフィクション。

著者の沢木耕太郎は東京から冬の盛岡へと向かう。本作のテーマとなる人物である西川一三本人にインタビューすることが目的であった。定期的に酒を酌み交わしながら、インタビューを続ける沢木であったが、やがてその交流が途絶えてしまう。西川の軌跡をノンフィクションに仕立る道を模索するうちに時は過ぎ、ある日、西川の訃報を目にする。

まさか盛岡に、このような凄い人物が暮らしていたということを知らずに驚いた。また、中公文庫から全3巻に及ぶ『秘境西域八年の潜行』という体験記が刊行されていたことなど全く知らなかった。

山口県出身の西川一三は満州鉄道に就職するが、そこを退職し、内蒙古に設立された興亜義塾という学校に入る。西川は卒業目前に酒席で暴力を奮ったことで退塾となり、未知なる中国の奥地からモンゴル、チベットへと密偵として潜行していく。蒙古人のラマ僧に扮した西川はロブサン・サンボーとして、極寒の雪道、延々と続く砂漠、幾重もの峠、匪賊の襲撃や飢えを乗り越えていくのだ。

本体価格670円
★★★★

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

西川一三は日中戦争末期の1943年、26歳で諜報員となり密偵として内蒙古から寧夏省や青海省など中国大陸の奥深くまで潜入し、モンゴル、チベット、ネパールからインド亞大陸まで足を延ばす長期の探索を行った。敗戦の報を聞いても修行僧に身をやつし調査の旅を続け、1949年インドで逮捕され帰国した。

彼は福岡の修猷館中学を出て満州鉄道に入社し各地で働いた後辞めて諜報員養成の興亜義塾に入る。
『吉田松陰』全12巻をもって歩く愛国の士であった。未知の世界に惹かれ中国大陸の奥地やその先の地へ
興味や憧れを膨らまし、ラマ教の蒙古人巡礼僧になりすまし辺境への諜報活動を始めた。

・寧夏省のアラシャン地方で広大な砂漠を駝夫として踏破する。「月の砂漠」とはこれをいうのか。そこの「蟻の泉」で飲んだ水のおいしさは砂漠を越えてきた旅人への旅の神様の褒美のよう。

・「還れ」の命令に背き旅を続ける。
漢人が制する中国を包囲するかのように散らばっている諸民族各国の協力態勢を構築したいという野心が芽生えてきた。

・青海省のシャンで、西川は惨めな蒙古人の姿を見て「国家なき民族の末路は現世の地獄だな」と思う。

・ラサに向かう途中で蒙古人ではありえない泳ぎを発揮し、激流を越えてヤクの群れを連れ帰ったり、匪賊に遭いながら山脈越え(天の峠)を行う。

土地勘がないということは、こういうことを言うのだろう。出てくる地名や地域がどこに位置するのか、距離のスケールもまったくわからず、目次の地図でその都度確認する。そのたび忘れて、又それを繰り返す。

彼は8年間の全行程を日々克明に記録し、後でそれを清書し3200枚の原稿を30巻の『秘境西域八年の潜航』にまとめた。
帰国後は盛岡で理美容材卸業を営み、89歳の人生をまっとうした。

ノンフィクション作家沢木耕太郎は当時の西川の行跡を知り触発される。盛岡に月一のペースで通い酒を酌み交しながら踏破行を詳しく聞く。筆者のアフガニスタン行きの話題に、未知領域への独特の反応を示す。
インタビューはしたが作品化できず、時が過ぎる。10年後突然彼の訃報に接し、弔問に訪れ妻と娘に改めて話を聞き作品化を決意する。
若い頃、バックパック一つで海外に飛び出し世界を身をもって体験し、『深夜特急』を著した沢木が作家人生の集大成としてこの作品に取り組む。

新しい世界を知りたい、行って見て感じたい。
動物本能がスパークして二人を結びつけた。


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2025年11月16日

Posted by ブクログ

「旅は楽しむもの」というのが概ね現代の認識だと思うが、本書を通じて旅の様々な動機を知った。仕事としての旅から生きるための旅へ、そして好奇心に突き動かされ「知る」旅へ。旅は人生そのものとはこの人のことを言うのだろう。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

第二次大戦末期、敵国中国の奥地までラマ僧に扮して潜入した西川一三。
過酷な旅路にも関わらず、何が彼をそこまで突き動かすのか?それを探るために読んでいる気がする。
チベットを目指しリチュ河を命懸けで渡るシーンはハラハラした。次はインドだ。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

こんな人がいたなんて。
この人の凄いところは、ちゃんと自分が恥ずかしいと感じたことも正直に言っているところだと思う。
そこに文化の違いとかがあらわれて、後から読む私たちには良いんだけど。

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2025年06月19日

Posted by ブクログ

どうしても深夜特急と比較してしまうが、そこまでの話の起伏はない。また、馴染みの薄い名前や地名が多いため、深くは話に入り込めない。しかし、見知らぬ土地を訪れるワクワク感は、楽しい気持ちにさせてくれる。

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2025年05月06日

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