あらすじ
誰もが回顧する、「あのとき言えていれば」という甘美な思い。だが、愛を口にできなかった者たちの物語とは、愛が成就しなかった者たちの物語でもある――。『ブロークバック・マウンテン』『フィールド・オブ・ドリームス』『プリティ・ウーマン』……。スクリーンに映し出される一瞬の歓喜と哀切を鮮やかに手腕で浮き彫りにする珠玉の三十二編。
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Posted by ブクログ
[口にできない、したくない]家族、恋人、夫婦、そして友情......。形は異なれど、「愛」という言葉を最後まで口にできなかった人々が描かれる映画の数々を評した作品。著者は、評者が最も好きな書き手の一人である沢木耕太郎。
著者の個人的なエピソードなどが評文の冒頭に置かれ、その後に映画のあらすじが語られるのですが、この冒頭部分が簡潔ながらもとにかく秀逸。自然と、それでいてグイッと映画の世界の入口へと読者を誘ってくれること間違いなしです。
本書で取り上げられた映画は、予め評することを決めて鑑賞したものではないようなのですが、どれも思わず見たくなってしまうから不思議。少し変わった角度から書かれた映画評論の本書を片手に、実際に映画を手にとって印象を確かめてみるのも良いのではないでしょうか。
〜おそらく、これからも、「愛」という言葉を口にできない二人が登場する映画はいくつも作られることになるだろう。見る人の心の奥に、「自分もあのとき口にできていたら……」という甘美な記憶が眠っているかぎり、いつまでも。〜
......同感です☆5つ
Posted by ブクログ
この本に出てくるのは、様々な映画作品。有名無名を問わず、いろいろと取り上げられて、著者の感想や思い出と共に語られる。
私にとっては、見た作品よりも、見たことのない作品の方が圧倒的に多かった。けれど、読んでいるうちに、とても観たくなりいくつかは実際に観て、より作品の世界に浸ることができた。
タイトルからは切ない感じを受けるけれど、読んだり観たりすれば、きっとそれ以上のたくさんの思いを感じることができるはず。
映画好きでもそうでなくても、きっと新しい発見ができる一冊。