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旅を学ぶとは人を学ぶということであり、世界を学ぶということでもあった――。『深夜特急』では訪れなかったモロッコ・マラケシュへの道、飛行機でのトラブルがもたらした「旅の神様」からの思わぬプレゼント、『一瞬の夏』より始まった新たな夢。シドニー、アテネと連なるオリンピックへの視線、『凍』を書くきっかけとなる対話。無数の旅と出会いの軌跡が銀河のごとく瞬き巡るエッセイ集。
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Posted by ブクログ
槍ヶ岳山行に持っていき、2泊目で読み終えたので、本書の内容に引き込まれたと言っていいと思う。 1994年から25年分のエッセイのえり抜きが本書で、『そう、その通り』と、うなずきながら読み進める。若いころから著者の作品が好きでよく読んでいたが、本書のエッセイの中に、『四十年ほど前、二十代の半ばだ...続きを読むった私は、…』と深夜特急の旅に触れたエッセイがある。まさに、今の私と同年代の頃に書かれたエッセイだ。来し方は大きく違うが、共感するところが多くある。特に本書のタイトルになっている『キャラヴァンは進む』だ。 ある年長の作家に「本を処分するとしたらすでに読んでしまった本と、いつか読もうと思い買ったままになっている本のどちらか」と、たずねられた時、若かった著者はすでに読んだ本を処分すると答えた。それに反し、年長の作家は「読んだことのない本は必要なくなってくる、そして実は大事なのは読んだことのある本なんだ」と言われたと。 これはこたえた。衝撃を受けた。著者も、年齢を重ねた今はそれに同意すると書いているが、まさにその通りだと思う。私は今まで読んできた本で思考を膨らませている。本多勝一さんや丸山健二さん、片岡義男さんや大藪春彦さん、思考だけでなく、娯楽の方向性も読んだ本により発展させてきた。その他のエッセイも、私も60歳を過ぎた今だからこその理解があったように思う。 やはり、僕は山登りをしていたあいだ、本書に引き込まれた日々を過ごしていたと思う。
沢木耕太郎の25年間のエッセイ集。深夜特急の旅、オリンピックの取材、作家との対談、ボクシングについてなど、どれも彼の世界の真ん中にあるものですね。25年にわたって、彼のシンプルで鋭い文体が全く変わっていないようにみえるのもまたすごいことだなと。
沢木氏の文章は沁み入ってくる。 不思議と引き込まれる。 旅に関する経験値が豊富で現地の温度や湿度、空の色や埃まで感じ取れ、あたかもディープな疑似旅行を体感させてくれる。 スポーツへの造詣も深く当事者はさることながら見守る著者の心理も対比され、こちらも引き込まれる。 タイトルにもなっている文中にあ...続きを読むるアラブの諺、「犬は吠える、がキャラヴァンは進む」は自分も心に刻んでおきたい。 読点「、」を打つ位置でこの諺の真理が伝わる。
ノンフィクション作家による紀行文。マカオ、上海、シルクロードが多めな印象。紀行文以外はボクシング、オリンピックなどに関する筆者の過去のノンフィクション作品の舞台裏に関する記述というか、宣伝がいくつか。 「桃源郷」では世界の国々を見てきた筆者が、改めて日本の美しさ、特に田園風景に心を奪われた描写が...続きを読む印象的だった。普段意識することはないが、稲作民族であることを再認識し、田園の美しさに惹かれる経験をしたこともあり個人的に刺さった。 「鏡としての旅人」はその土地を訪ねる旅人を通して現地人は自国の良さを認識するという話。1960年代、高度経済成長の過渡期にあって、三島由紀夫の投じた「世界の中の静かな中心であれ。」という言葉を、忘れるべきでない、という論説は興味深かった。
「深夜特急」の著書沢木耕太郎のエッセイ集。個人的には「凍」を書くきっかけになった山野井夫妻との対話が心に残った。できるだけ眼に見えるように書く、文章の書き方は的を得ているように思った。
深夜特急を夢中で読んだ頃を懐かしく感じて手に取ったけど、書くことについての各章が一番面白かった。 (ボクシングとオリンピックはあまり興味無く…) まだ読んでいない「凍」に興味を持ち、次に読んで見ようと思う。
古い、そしてとても短いエッセイを再編。「深夜特急」「凍」「一瞬の夏」「オリンピア」「壇」等々の長編ノンフィクションの周辺。 いつもの沢木。
深夜特急ほどは楽しめず。 ボクシングと井上康生の話は興味持てなさすぎて飛ばした。 井上康生セクション長かった。
深夜特急で有名な著者によるエッセイ集。旅に関するものが半分、スポーツ、特にボクシングに関するものが半分というところ。後者についてはあまり感動するところがなく、この評価とした。 カポーティ「犬は吠える」を折に触れて再読する習慣について綴った「キャラヴァンは進む」が最も印象に残った。「犬は吠える、がキャ...続きを読むラヴァンは進む」はアラブの諺で、行手を阻む障がいがあろうとも自分の人生は続いていくというような意味らしい。人生における困難を肯定も否定もせず、突き放した感じにむしろ励まされる気がする。
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