沢木耕太郎のレビュー一覧
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購入済み
武士と職人の江戸情歌
沢木耕太郎の選んだ周五郎作品集(I)「おたふく」が良かったのでこの(II)を購入しました。直木賞を辞退した周五郎のような、意地っ張りの武士、職人の男伊達が巧みに描かれております。「情」たっぷりで、演歌のような情感を感じました。でてくる男性よりも女性の方が魅力的だとの見方もあるようですが、読み方次第ですね。「おたふく」も是非お読みください。(完)
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購入済み
面白い
JRの雑誌に載っていて、ずっと気になっていた沢木さんのエッセイ。期待通りで面白いです。一話ごとは短いので、電子書籍で、電車に乗っているときに読むのに、ちょうどよさそう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ東京オリンピック2020の直前ということもあって、それを強く意識した感想を書きます。
ヒトラーのオリンピックとも呼ばれる1936年ベルリンオリンピックについて、当オリンピックの傑作記録映画を作成したレニ・リーフェンシュタールへの取材と、当時の日本人選手の証言をもとに書き出した、読むオリンピック。
レニへの取材にそれほど紙幅を割かれているわけではなく、ナチスによる影響を克明に描いているわけでもない。出場選手についても、誰かに焦点を当てているわけではなく、オムニバス形式である。このため、どこかぼやけた印象があることは否めないが、80年以上前のオリンピックを日本人がどのように迎えたのか、その一端を垣間見ることができる、読み物として非常に面白い本だった。
今は2021年6月19日、東京オリンピック2020が開催されることがなし崩し的に決まりつつあり、観客を入れるのか無観客にするのか、等の議論(?)がなされている。この本の著者は、あとがきにおいて「惨めで哀れな大会」(p.418)とこき下ろしており、あとがきだけ読むとこの著者、悪い奴だなと思わなくもない。不朽の名作『深夜特急』を上梓した作家はこんなに性格の悪い奴だったのかと。
ただ、本作を読むと、そういいたくなる気持ちが分かるような気もしてくるのだ。
1936年ベルリンオリンピックは言うまでもなく、ヒトラーがナチスのプロパガンダを盛り込むことを強く意図して計画されたものだ。WWⅡ最大級の悪役(連合国からみたらムッソリーニや昭和天皇とかも一緒だろうが)によって企図されたもの、ということで悪名高いオリンピックとなっているが、政治的な意図でWWⅠ以降数度に亘りドイツが干されていたこと等、歴史を紐解いてみれば、何もオリンピックと政治との切っても切れぬ関係は1936年に限ったことではない。
そして2021年の東京オリンピックに至っては、政治と経済に振り回されるオリンピックとしての側面がどんどん剥き出しになってしまっている。
「あのベルリン大会はさまざまに評価されるオリンピックだったかもしれないが、参加した自分たちにとっては最高の祭りだった」(p.367)
とは、ヨット競技でベルリン五輪オリンピックに参加した藤村紀雄の回想だ。影があれば光もあったベルリンオリンピック。時の指導者に熱狂していた。その熱狂はWWⅡに突き進む道を辿ることになるが、ベルリンオリンピックが国民の圧倒的支持の中で成功裡に終わったことは疑いようがない。
そのコントラストを鮮やかに描き出した著者だからこそ、国民の支持すらないオリンピックに苦い感情を抱いているのだろう。
選手は、国民は、東京オリンピック2020を「最高の祭りだった」と笑顔で振り返ることができるか。コロナウィルスの動向でもなく、経済的効果でもなく、長い歴史の中でのオリンピックの成否は、そこにかかっているのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
ボクシングの話ではあるのですが、元ボクサーたちのその後のような、
少しネタバレになりますが、あるボクシングジムで昔、四天王と呼ばれていた4人のボクサー、誰も世界チャンピョンのタイトルを取ることなく引退して、月日は流れ、それぞれ老齢となった4人が、昔ジムの寮で暮らしたようにシェアハウスで暮らし始めます。
それぞれいろいろな事情は抱えているものの、気心の知れた者同士同じ屋根の下での生活、役割分担や、取り決めや、必要なものをそろえたり・・・・
それだけでこちらまでワクワクしてしまいます。
そんな4人の前に現れたのが、若きボクサー。もう読めてしまうのですが、4人はこのボクサーを育てて、自分たちが果たせなかった夢を託そうとします。
ここから少しボクシングの内容が出てきますが、とても分かりやすくだいたい想像できます。
まあすべて順調に事が運びすぎるきらいはありますが、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまいました。
ただ途中でタイトルの意味に気が付いてしまうのが残念です。 -
Posted by ブクログ
▼1960年の安保闘争の終盤。首相だった岸信介さんは、私邸をデモ隊に何重にも包囲されてしまいました。そして、防衛庁長官の赤城宗徳さんを呼びつけ、自衛隊の出動を要請。しかし、赤城さんがこれを断固拒否。「日本人同士を戦わせて、流血するわけにいかない」。▼沢木耕太郎さんは、この時に自衛隊が首相を守るため、という大義名分でデモ隊と戦っていたら、その後の政治は決定的に変わっていただろう、と述べています。恐らく自民党政権は遠からず倒れ、所得倍増計画も無かったことになります。ちなみに岸信介さんは、弟が佐藤栄作首相。娘婿が安倍晋太郎首相。孫が現在の安倍晋三首相。うーん。身分制度?歌舞伎?▼「危機の宰相」沢木耕太郎。1977年に雑誌掲載、単行本は2006年。文春文庫。「所得倍増」を担った、政治家・池田勇人、官僚・下村治、田村敏雄という3人の主人公の履歴足跡人間を描きながら、「所得倍増」というドラマを戦前からの近代史の中で描いたもの。▼言ってみれば自民党の戦後政策を賛美する内容、とも言えますが、きちんと読んでみればそういう狙いの本ではありません。日本の近現代史、そして評伝ノンフィクションとして、えらいこと面白かったです。▼本筋と関係ないですが、池田首相と担当の新聞記者たちの関係で、「記者たちが首相のエッセイや論文のゴーストライターをやっていた」という記述が。やっぱりなあ。