沢木耕太郎のレビュー一覧
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舞台がアジアからヨーロッパへと移り、いよいよ旅の佳境を迎える第5巻。
作中でも、ギリシャに入ってから沢木氏は繰り返し、なぜ旅をするのか、そしてこの旅をどうやって終えるのかといったことを考える。
いつからか見聞きするものに目新しさを感じなくなり、自らの旅が青年期を終えた事に気づくのだ。
そして身も蓋もないことを言ってしまえば、読者である僕も同じ。
バスでジプシーを見かけた話や、パトラスで誕生日パーティーに呼ばれる話など、個々のエピソードとしては興味深いものも多い巻なのだが、そのどれもが1巻の香港編ほどに、自分も旅に出たいという思いを湧き立たせるものではなかった。
特に、バスで乗り合わせたギリ -
Posted by ブクログ
西川一三は日中戦争末期の1943年、26歳で諜報員となり密偵として内蒙古から寧夏省や青海省など中国大陸の奥深くまで潜入し、モンゴル、チベット、ネパールからインド亞大陸まで足を延ばす長期の探索を行った。敗戦の報を聞いても修行僧に身をやつし調査の旅を続け、1949年インドで逮捕され帰国した。
彼は福岡の修猷館中学を出て満州鉄道に入社し各地で働いた後辞めて諜報員養成の興亜義塾に入る。
『吉田松陰』全12巻をもって歩く愛国の士であった。未知の世界に惹かれ中国大陸の奥地やその先の地へ
興味や憧れを膨らまし、ラマ教の蒙古人巡礼僧になりすまし辺境への諜報活動を始めた。
・寧夏省のアラシャン地方で広大な砂 -
Posted by ブクログ
【20年前に読んでいたら】
ことあるごとに深夜特急はおもしろいという情報を見聞きし読んでみたいとは思いつつ、機会がなく気が付けば20年前という年月が経ってしまいました。
しかし香港に旅行へ行くことになったので、ついに手に取って読みました。
出版された当時、こんなに携帯電話とインターネットが普及していない時代に読んでいたらもっと未開の土地にわくわくしただろうと想像に難くなかったです。今読んで香港に行くと、本で受けた印象とはまた異なり、沢木さんが訪れた香港とはどのくらい変化したのだろうと考えながら旅をすることになりました。
「人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめる -
Posted by ブクログ
いよいよこの旅の本番、インド、ネパールです。
私も学生、社会人成り立ての頃、何度かに分けて、ですが、バングラデシュ、ネパール、ビルマ、インドを旅したので、出てくるエピソードに覚えのあるものも多くて懐かしい気持ちでした。特に主人公が体調を崩していく場面、私も熱で寝込んだこともありましたが、どの国でも一晩に10回以上トイレに行くようなひどい下痢になって、そのたびに薬が効かなくて絶食して治してました。今ではとてもできないことですが、インドの病気にはインドの薬、というセリフは私も同じことを聞かされたなと思いました。
電車が時間通りに来ないという話も、私は主人公とは反対方向でデリーからアグラ、ベナレス経