沢木耕太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
確かに所得倍増って言われても、
それは月給のことなのかGDPのことなのか、
はたまた他の何かなのか、言われてみると良く分からない。
後の世代に生まれた者としては、
とにかく「景気の良い時代だったのだ」、
というだけの印象が大きい。
そういう曖昧模糊とした「所得倍増」の成立ちを、
池田勇人、田村敏夫、下村治の生を通して視ていくのは面白い。
そこには様々な意図、偶然、思想、人が絡んでいたのだ。
「テロルの決算」もそうだったが、
読むことで近代史に目を向けたくなると思わせてくれるところが、
この本の素晴らしいところだと個人的に感じる。
「未完の六月」は是非書いてほしかったが。 -
Posted by ブクログ
所得倍増という池田政権下でのあまりにも有名なスローガン、未来を知る者にとっては時代の趨勢として割合に自然と実現したかのような印象をもっていたせいか、スローガンが世に踊る前、そして高度成長期においても大半の学者、政治家は高度成長に懐疑的、批判的であったんだということに、ちょっと驚く。スローガンだけに終わらせず、実現を信じて政策を実行させる力となったのは財務エリートたる大蔵省の中枢、ではなく、それぞれ出世コースから一度離脱を余儀なくされた敗者の3人だった。
人の縁、時の運、いくつもの偶然が隠されていたんだなぁと、あとがきを読みながらじんわりとした。
ノンフィクションの醍醐味を味わえる一冊では? -
Posted by ブクログ
「所得倍増」を産み、実行していった三人の男の物語。
しっかりと政治を行うためには、政治家のぶれない意志と、これを方向付け、支えるブレーンが欠かせない。また、そのブレーンが生み出す政策も、大局観に立っており、未来を見据えている必要がある。そんなことを改めて感じさせる。
現代に置き換えて、過去ほど分かりやすい目標が失われてしまっていることを考慮しても、政治家・ブレーンともに、日本を預けるに値する者が見いだせないでいる。それは、偶然世に出ていないだけだという指摘があるかもしれないが、結果が出せていない以上、そのように結論付けるほかない。
現代のリーダー待望論はまさに、そのようなチームを国民が熱