沢木耕太郎のレビュー一覧

  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    所得倍増という池田政権下でのあまりにも有名なスローガン、未来を知る者にとっては時代の趨勢として割合に自然と実現したかのような印象をもっていたせいか、スローガンが世に踊る前、そして高度成長期においても大半の学者、政治家は高度成長に懐疑的、批判的であったんだということに、ちょっと驚く。スローガンだけに終わらせず、実現を信じて政策を実行させる力となったのは財務エリートたる大蔵省の中枢、ではなく、それぞれ出世コースから一度離脱を余儀なくされた敗者の3人だった。
    人の縁、時の運、いくつもの偶然が隠されていたんだなぁと、あとがきを読みながらじんわりとした。
    ノンフィクションの醍醐味を味わえる一冊では?

    0
    2014年01月21日
  • オリンピア ナチスの森で

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    冒頭はベルリンオリンピックの記録映画、「民族の祭典」と「美の祭典」を撮ったレニ・リーフェンシュタールのインタビューから始まります。そこでタイトルからオリンピックとナチズムについてずっと書かれているのかと思いきや、その後は日本選手団の勝者、敗者の記述がメインに。ほとんど予備知識のなかったベルリン五輪ですが、プレッシャーで自滅する者、土壇場でも力を出し切って結果をだす者、メンタル面で結果が左右されるのは現代の五輪でも同じ。なかなか興味深く読めます。

    0
    2013年12月01日
  • 「愛」という言葉を口にできなかった二人のために

    Posted by ブクログ

    この本に出てくるのは、様々な映画作品。有名無名を問わず、いろいろと取り上げられて、著者の感想や思い出と共に語られる。

    私にとっては、見た作品よりも、見たことのない作品の方が圧倒的に多かった。けれど、読んでいるうちに、とても観たくなりいくつかは実際に観て、より作品の世界に浸ることができた。

    タイトルからは切ない感じを受けるけれど、読んだり観たりすれば、きっとそれ以上のたくさんの思いを感じることができるはず。

    映画好きでもそうでなくても、きっと新しい発見ができる一冊。

    0
    2013年02月25日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    所得倍増をキャッチフレーズに高度成長を突き進んだ1960年代について池田勇人・田村敏雄・下村治を中心に描いたノンフィクション。デフレで給料も上がらない今、「所得倍増」に現実味があった時代がうらやましく思える。池田・田村・下村は3人とも大蔵省のなかでは敗者に見られていたという切り口は面白い。もっとも、通常の敗者ではありえないんだけど。

    0
    2013年02月05日
  • 一瞬の夏(下)

    Posted by ブクログ

    東洋チャンプにまでなったあと
    ずるずると姿を消したボクサー「カシアス内藤」

    その復帰への道筋を、描いた作品

    内藤に惚れ込み、すべてを共に歩んだ作者の文章だけに
    内容が迫ってきます

    夢と現実、努力と失意、挫折・・・

    それでもボクサーって
    戦うことをやめられないんだね・・・

    0
    2013年01月12日
  • 一瞬の夏(下)

    Posted by ブクログ

    ノンフィクションということもあり、沢木作品ということもあり、やはりと言うべきか読後感にカタルシスはなくある意味消化不良満載だが、それこそが人生というものだろう。
    絶えず選択を迫られ、それにつき自問自答を繰り返す。
    「勝たなければ」と思う時もあれば、それだけではないと思い返す。
    濃密に普遍的な人生を描き出しているこの作品に爽快感など求めてはいかんでしょうな。

    0
    2012年11月17日
  • 一瞬の夏(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小説のような本当の話。

    人間臭さがボクサーとしては仇になってしまう主人公と、彼を支える沢木たちとが共に、世界チャンピオンを目指し夢を語る場面では、何度もその場にタイムスリップしたような感覚に陥る。

    ノンフィクションならではの結末が、プロスポーツの厳しさを表している。

    0
    2012年09月02日
  • オリンピア ナチスの森で

    Posted by ブクログ

    レニ・リーフェンシュタールの「民族の祭典」と「美の祭典」の二部作、通称「オリンピア」を主軸に、日本人と当時日本人とされた参加者達を描く1936年のベルリンとその後。

    0
    2012年05月21日
  • 一瞬の夏(上)

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎のスポーツのほうは初めて。

    文章自体が好きなわけじゃないので、
    紀行モノ以外はどうかなと思ったけど…
    意外によいです。
    やっぱり彼の人間の見方がいいのかな。

    ボクシングに
    夢に
    熱くなるひとたち。

    ノンフィクションだから、
    結末は「ああ、まぁこんなんもんか」で終わる可能性がずっと高い。
    でも時に、フィクションをはるかに上回るものが出ることもある。
    その時のためにも、成り行きを見続けていたいな。

    0
    2012年04月01日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    所得倍増計画!
    戦国最大のキャッチコピーを今一度考えてみようかと。
    沢木耕太郎は、旅ものじゃなくても、いいんだー。これは面白い!
    それにしても、骨のある政治家って、何処にいたんだろう?

    次は吉田茂でもよむか。

    0
    2012年02月11日
  • 一瞬の夏(上)

    Posted by ブクログ

    現代のスポーツノンフィクションというジャンルの礎となった作品。ノンフィクションにおける『主観』のさじ加減が絶妙。また、ライフステージにおいて20代後半という時期をどう捉えるか。個人的に多いに共感できた。

    0
    2012年01月21日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    「所得倍増」を産み、実行していった三人の男の物語。

    しっかりと政治を行うためには、政治家のぶれない意志と、これを方向付け、支えるブレーンが欠かせない。また、そのブレーンが生み出す政策も、大局観に立っており、未来を見据えている必要がある。そんなことを改めて感じさせる。

    現代に置き換えて、過去ほど分かりやすい目標が失われてしまっていることを考慮しても、政治家・ブレーンともに、日本を預けるに値する者が見いだせないでいる。それは、偶然世に出ていないだけだという指摘があるかもしれないが、結果が出せていない以上、そのように結論付けるほかない。

    現代のリーダー待望論はまさに、そのようなチームを国民が熱

    0
    2012年01月03日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    本書は所得倍増にかけた三人の敗者の物語です。首相となった池田勇人、政治面を影で支えた田村敏雄と政策面を支えた下村治。本書を読むとかつては確かに志をもった人達がいたという事が良くわかります。
    久々に人間の凄味を描き出すような良質なノンフィクションを読みました。

    0
    2012年01月03日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    かの有名な「所得倍増計画」が池田勇人内閣の下で喧伝されるに至るプロセスが描かれている。池田自身、そして経済政策における下村治・田村敏雄という彼のブレーンも大蔵省の出世競争からは取り残された非主流派であったことが大変興味深い。また、優れた政策や計画の実施にあたっては立案者と遂行者(および両者を架橋する者)が必要であり、彼らの役割分担について考えてみると現政権がこだわった「政治主導」がなぜあれほどの混乱を招いたのかがよくわかる。うちのボスが折に触れて言う「大学職員プロデューサー論」にも通じる部分がある。

    0
    2011年12月31日
  • 一瞬の夏(上)

    Posted by ブクログ

    ボクシングに興味なくカシアス内藤も知らなかったけれど、ぐいぐい引き込まれ、一気に読んだ。ノンフィクションの面白さが初めてわかった一冊。

    0
    2011年12月30日
  • オリンピア ナチスの森で

    Posted by ブクログ

    おそらく、この本を手に取った全読者は「ベルリンオリンピック」の記憶や思い入れは皆無であろう。

    戦前の・・しかもドイツでのオリンピックの話なので、それは無理もないことなのかもしれない。

    本書はオリンピック記録映画を芸術の域にまで高めた「レニ・リーフェンシュタール」の生きたインタビューからはじまり、出場選手(おもに日本人)たちの生い立ち、動機などバックグラウンドから、手に汗握る試合状況まで、非常に卓抜した構成で成り立っています。

    そのため読者は、記録としてではなく「生きた記憶」として「ベルリンオリンピック」の再燃を、その手で実感することができるという素晴らしい良書です。

    スポーツドキュメン

    0
    2011年11月27日
  • 危機の宰相

    Posted by ブクログ

    1963年生まれの私にとって、「所得倍増」と言うキーワードは何となく懐かしいイメージしかありませんでした。このビジョンがどういう過程を経て命を吹き込まれ、70年代に突入したかが、丁寧に、そして説得力のある文章で書かれていて、とても読み応えのあるノンフィクションでした。やはり沢木耕太郎は凄い!

    0
    2011年08月15日
  • 一瞬の夏(上)

    Posted by ブクログ

    カッコよすぎ、沢木さん‥

    一瞬の夏ってタイトルも、素晴らしい。

    熱くて切ないノンフィクション。

    0
    2011年06月20日
  • 若き実力者たち

    Posted by ブクログ

    出てくる人物、時代背景から随分前に書かれた作品だろう。
    いずれの人物も個性的であり、よく人物の内面を見抜いてるなという感想である。
    中にはあまり付き合いたいなあというあくの強い人物もいるが、よくこれだけ取材できたなあと感心する。

    0
    2011年05月21日
  • 世界は「使われなかった人生」であふれてる

    Posted by ブクログ

    暮らしの手帖誌上での映画コラム(?)の中から抜粋してまとめたもの。
    一応「使われなかった人生」をテーマにしてあるが、新旧東西有名無名を問わずランダムな構成。
    読んでるとやっぱりその映画を観てみたくなる。
    観ようと思っていて忘れていた映画を思い出させてくれたし、
    個人的に好きな映画「フェイク」が取り上げられてたのが嬉しかった。

    0
    2010年11月02日