中田永一のレビュー一覧
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中田永一(乙一)の作品が収録されていること、そして本にまつわる話のアンソロジーということで購入。
しかし、朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」と沢木まひろ「時田風音の受難」以外はすべて『ダ・ヴィンチ』に掲載されたものだった。
『ダ・ヴィンチ』に掲載される作品は結構クセがあるので苦手だ。
案の定、この短編集も特徴的というか・・・。
中田永一「メアリー・スーを殺して」
おもしろかった。しかし、終盤にかけておもしろさが加速していくような他の乙一の作品と比べると、ややしりすぼみしている。
あと、主人公の内面の話だと思ってたら外に向き始めたことにもやや違和感があった。
「メアリー・スー」という理想像は、完全になくしてもいけないのだろうな。
宮下奈都「旅立ちの日に」
手紙に書かれた物語と、父からの本当のメッセージの間に飛躍を感じる。
原田マハ「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
実話が元になっているようだが、小説としての見せ方が中途半端だ。
ノンフィクションとして書くか、もっと飾り付けるかすればいい。
小手鞠るい「ページの角の折れた本」
どうして「あなた」という語りかけ口調なのか。
ストーリーもなんだかよくわからなかったが、読み返す気にもならない。
主人公みたいな女の人がとにかく苦手。
朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」
夫が情けないのは確かだとは思うが、主人公がすべて正しいような描き方が気に食わない。
ラストの主人公にキレ方はスカッとしてよかった。
沢木まひろ「時田風音の受難」
おもしろい。
官能小説は読んだことがないが、こういう感じの文章なのだろうか。
主人公が女性編集者の百山に翻弄されるのと同じように、私も翻弄されていた。
なおかつ、そうやって振り回されるのが心地良いのもよくわかる。
小路幸也「ラバーズブック」
素敵な話だと思う。
しかし、アメリカっぽさを出しすぎで、押し付けがましい感じがする。
宮木あや子「校閲ガール」
校閲ってそんなところまで見てるのか、と勉強になった。
ただ、やはり苦手な女の人が出てくる。
全体的に、小説を読むというより、世間話を聞かされるような作品が多い。
なので、あまり心に残らない。
強い女の人ばかり出てくるのもひとつの特徴だと思う。
『ダ・ヴィンチ』が女性向けだからだろう。
掲載される作品は芸術ではなく商品であり、読んだ女性が快感を得られるようになっている。
芸能界や海外といったキラキラ感も重要視している。
そういう作品をうまく集めてくるのは、編集部が優秀でコンセプトが定まっているからだと思う。
ただ、やはり男性にはうけないだろう。
私が嫌悪感を抱いてしまうのも、器か小さいということ以上に、仕方ない面が大きいと思う。 -
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ネタバレスポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。
ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。
好きな作品は
「パン買ってこい」中田永一
「ホープ・ソング」王城夕紀
「桜の並木の満開の下」遠藤徹
どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。 -
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まあまあまあ、短篇は得手不得手があるので全体的な評価は 微妙になってしまいました。
しかし、自分が思い入れがある作品のサイドストーリーはやはり気になります。
百瀬~の田辺くんを主人公とした『鯨と煙の冒険』はよかった。百瀬~でも田辺くんのキャラクターは光っていたのでこの話が読めて嬉しかったです。
『多田便利軒、探偵業に挑戦する』は話はどうということもないのですが、相変わらずの多田×行天コンビにニヤつきます。
ただ全てのストーリーにJTの企画らしく必ず煙草、喫煙シーンがあって(不必要に)もうそれだけで気持ちが削がれた。
今の世にこういう企画は合わないと思う。 -
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最初の「少年ジャンパー」はたいへん良かった。軽やかで、福岡弁の会話も生き生きしてて、「ジャンプ」自体はラノベ的な感じではあるが(SFやファンタジーって感じではない)ちょっと切ない成長小説で、才能あるなあと感心したのだが、他はそうでもなかった。
乙一名義の作品とは違って中田永一は爽やかな青春小説というイメージだったが、学校で人気者の先輩が強姦魔で、しかも後輩を襲ったり(「私は存在が空気」)、少女がヤクザに始末された人の遺体処理を行ったり(「ファイアスターター湯川さん」)、結構ダーク。
おかしいことには違和感を感じる才能のある少女が、憧れの先輩が強姦魔だということに気づかないのも変だし、配偶者(になる人)には自分の特殊能力を知られてもいいが、それ以外の人に知られたら殺さなければならないって(「サイキック人生」)、離婚したらどうするのさ。ありえない能力の物語なんだから楽しめばいいのかもしれないが、そういう「ほつれ」は気になる。
乙一(中田永一)はうまい作家だと思うけど、これはいまいち。「少年ジャンパー」だけ読めば十分。中高生は喜ぶだろうけど、大人の鑑賞に堪えるものではない。 -
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乙一さん大好きな人沢山いますよね。僕も結構好きです。追いかけはしなかったけれど暗いところで待ち合わせ読んだ時なんて感動感動また感動でした。天才だなと思いました。いつしか本でないなと思っていたら変名で出していたんですね。
この本はとっても漫画的でするする読めます。するする読める事が褒め言葉かどうかは分かりませんが、それだけ整理されて読みやすいし一本道の話というのは頭が疲れなくていいですね。
ほぼ超能力者の話の短編です。一個一個の話が全て変化があるしそれぞれに感情移入させる力があるので大したもんだと思いました。自分がこの能力だったらどうだろうかと考えながら読んでいましたね。
その分特に引っ掛かりが無いので読んだこと忘れちゃうかもなあとも思いました。 -
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小説を書くのに必要なこと。
僕・光太郎は不幸を招く体質。先輩・七瀬の強引な勧誘で文芸部に入部。過去に書きかけた冒頭だけの冒険ファンタジーは誰もが認めるひどい出来で、そして光太郎はその続きが書けない。しかし光太郎が小説を書くことが、文芸部存続の条件になってしまう。シナリオ理論を信奉する原田と、大切なのは感性と主張する“御大”という二人の先輩に振り回されながら、光太郎は部誌に載せる小説を書きあげられるのか。
小説を書こうとしたことがあれば、書けない悩みにぶつかったことがあるはず。とかく素人の書く小説は、ひどいものだと思う。自分ですら読み返せない。でもそんな小説に何の価値があるかといえば、ある。前に進むため。自分の中に渦巻く感情を、ことばにして形を与える。そうやって、自分の姿を探すため。エンタテイメントでも純文学でも、プロでもアマでも、結局小説は著者の姿を映す鏡。だから、書けなくても、書きたい。容易には、書けない。 -
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「走る」をテーマに14人の作家が競作。
日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)
14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)
人生の半分は現実ではないと彼は思う。
なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実ではないからだ。(「リスタート」恒川光太郎) -
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普段あまり小説の書き方など意識したことがなかったので、こんなことを考えながら書いているのかと興味深く読むことができました。2人の小説論もどちらの考えも納得できる部分があり、それぞれの対比がとても面白かったです。肝心のストーリー部分は地味な主人公が恋をしたり家庭の問題を乗り越えながら成長していく話で、全体としてうまくできているなと感じました。今回は2人の作家さんが交互に執筆したということなのでどこがどちらが書いたとかは分かりませんが、中田永一さんの切ない話が好きなので、展開的にはとても楽しめました。こんな女性が同じ部にいたら毎日絶対楽しいと思います。小説を自分で書いたことはないのですが、もし時間さえ許すならば一度書いてみたいと思わされた作品でした。