あらすじ
なぜか不幸を招き寄せてしまう体質と、家族とのぎくしゃくした関係に悩む高校1年生の光太郎。先輩・七瀬の強引な勧誘で廃部寸前の文芸部に入ると、部の存続をかけて部誌に小説を書くことに。強烈なふたりのOBがたたかわす小説論、2泊3日の夏合宿、迫り来る文化祭。個性的な部のメンバーに囲まれて小説の書き方を学ぶ光太郎はやがて、自分だけの物語を探しはじめる――。ふたりの人気作家が合作した青春小説の決定版!!
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ところどころにあるクスッとポイントがいい感じ。井上部長が足をぶつけたときの言葉とか。七瀬先輩がちょっと都合のいい人に見えなくもないけれど、青春時代ってそういうものなのかも。たくさん失敗してもそれを乗り越えて大きくなっていく。成長の途中段階ということですね。解説が三上延氏で、この次に読む本が『ビブリア古書堂』(再読)なのでここでもまた偶然のつながり。
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主人公は家族との関係に悩み、小説を書くことをやめてしまった高校生の少年。
高校の文芸部に入ることになり、部員やOB達からの教えを受け、小説を書き始める。
小説の書き方を主人公と共に学ぶことができる。
小説を書きたい人への入門書としては良著と言えるのではないだろうか。
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過去に小説を書きかけて挫折してしまった主人公が文芸部に誘われて、もう一度小説を書くストーリー。
主人公が書けない理由や恋愛模様もあり、読みやすい青春小説だった。
主人公は冴えない非リア充といった感じで、自分の高校時代と重なった。
高校時代は弓道部に所属しており、1学年上の先輩に恋心を抱いていたのも、主人公が七瀬先輩に抱いていた感情と重なる。
「こち亀」の早矢に似ていた先輩は今頃どうしているだろう...と思いを巡らせた秋の夜長の読書だった。
・小説が仕上がったときに主人公が感じた一文
構成されたイメージが、作者から読者へと受け渡され、つながっていく。その様子は生命の広がりを思わせる。小説を遺伝子とするなら、それが印刷された本は身体そのものだ。
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なんとなく手に取って購入したこの作品。主人公の光太郎の成長だったり、七瀬先輩との恋模様だったり、文学部の面白さを楽しめる爽やかな青春小説でした。読みやすくて少し時間がある休日に1日で読み終えられるような感じ。
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文芸部って小説を愛するだけでなく、自分たちでも小説を書く部活だったのか。学生時代そんなクラブなかったので知らなかった。出生の秘密から自分に自信がなく無気力な主人公の成長物語。七瀬先輩があまりにも普通の女子高生すぎてさほど魅力を感じなかったが、原田と御大の正反対のOBや個性溢れる文芸部員が面白い。お父さんの言葉が染みる。色々あっても優しく愛に溢れた家庭に育ち、周りの人に恵まれたからこそ、コンプレックスを克服し成長できた光太郎。彼のその後も気になる。
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軽いタッチで読みやすい。書かれているモチーフは人によって深刻なのでこういう軽やかなタッチで描かれていることは逆に思案を深めるいい機会にも。いろんな気持ちを点検できた。続編はあったらいいなという感じ。
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今まで中村航氏の著書は苦手だった。
角フェスの平置きでみかけたとき、悩んで斜め読みをしてみると面白そうに感じて購入。
母校である芝浦工業大学が共同開発した小説創作支援ソフトを使い、中田永一氏と5頁~10頁を交互で執筆した合作。
中田永一氏としての作品もはじめてだったこともあり楽しみだった。
内容自体は青春ストーリーではあるけれど、本好きならば誰しも1度は執筆をしたいと思う願望を持ち、行動を起こすもうまくいかないこともたくさんある。そんな主人公がそこから抜け出す1歩を無事に進めた。
もう少し、これからはおふたりの作品にも触れてみたいなぁ、と思った。
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高橋光太郎
高校一年生。ちょっとした不幸を招き寄せる体質の持ち主。中二で小説を書いていた。
佐野七瀬
文芸部。高校二年生。光太郎を文芸部に誘う。
颯太
光太郎の弟。中二。サッカー部。
光太郎の父
光太郎に読書の面白さを教えてくれた。
光太郎の母
光太郎が小説執筆のため、ワープロソフトの使い方を教えてくれた。
鈴木潤
文芸部。二年生。ホラー小説を書いている。
水島美優
文芸部副部長。三年生。
中野花音
文芸部。三年生。
井上誠一
文芸部部長。三年生。アニメとかライトノベルにくわしい。
原田
文芸部OB。小説の書き方に詳しい。大学を卒業して、ゲームの制作会社に勤めている。
御大
武井大河。文芸部OB。小説を書いたことはこれまで一回もない。作家を自称し、他人の作品を読んでは非難ばかりする。
前田玲奈
生徒会。二年生。
石井啓太
生徒会。一年生。
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2人の作家が小説執筆支援ソフトを活用して合作したというのにびっくりした。個性豊かなキャラクターに関わっていくことで主人公が抱える悩みが消化されたのはよかった。他のメンバーの未来については言及されているが、2人の今後は描かれていないので今後が気になる感じの終わり方。
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中村航っぽいなー良くも悪くも。
なんかあまり深みがない。高校生だからこういう感じかもしれないけど、私はそれよりお父さんとお母さんと不倫相手の経緯の方が気になって気になって・・・。
それでは中村航ではなくなってしまうけど。
文芸部の仲間たち、個性的なメンバーだけど魅力が感じられない。
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カドフェス2017対象本。
芝浦工業大学の小説創作支援ソフトを使用した、中村航と中田永一の合作小説。
両著者の作品を数冊ずつは読んでいる私からすると、いろいろな手が加わっていることもあって、それぞれの味が消えてしまっているのではないかと思わないでもない。
駄作では決してないが、そこそこの作品という印象。
不幸を呼び寄せてしまうという主人公像は、中田永一っぽい。
対してヒロインの奔放さというか、軽さというか、主人公に運河でキスしてしまうようなところは、中村航っぽい。
「ああもう、そういう人を惑わすようなことしないでくれよ!」っていうのが、中村航には多い気がする。
執筆は、両著者でプロットを作ったあと、交互に進めていったそう。
冒頭は中田永一で、「知識の橋」とか言い出すところは中村航っぽい。
あと、ラストはとてもきれいだったが、これは着地の上手な中田永一の手によるものではないかと思う。
七瀬が色とりどりの風船を背にしているところとか、風船が割れるところとか。
偉そうに書いておいて、実際は全部逆だったら恥ずかしいな(笑)。
とりあえず、「ああ、これはこっちの著者っぽいな」と感じるところはいくつかあった。
ただ、中村航の冗長な甘さとか、中田永一の切なさとか、それぞれの持ち味を強く感じることは少なかったように思う。
特に私は中田永一の方が好きなので、彼が全編書いたらどうなるんだろう、と思わずにいられない。
とはいえ、一定の成功の基準は満たしているだろうし、面白い取り組みだった。
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小説を書くのに必要なこと。
僕・光太郎は不幸を招く体質。先輩・七瀬の強引な勧誘で文芸部に入部。過去に書きかけた冒頭だけの冒険ファンタジーは誰もが認めるひどい出来で、そして光太郎はその続きが書けない。しかし光太郎が小説を書くことが、文芸部存続の条件になってしまう。シナリオ理論を信奉する原田と、大切なのは感性と主張する“御大”という二人の先輩に振り回されながら、光太郎は部誌に載せる小説を書きあげられるのか。
小説を書こうとしたことがあれば、書けない悩みにぶつかったことがあるはず。とかく素人の書く小説は、ひどいものだと思う。自分ですら読み返せない。でもそんな小説に何の価値があるかといえば、ある。前に進むため。自分の中に渦巻く感情を、ことばにして形を与える。そうやって、自分の姿を探すため。エンタテイメントでも純文学でも、プロでもアマでも、結局小説は著者の姿を映す鏡。だから、書けなくても、書きたい。容易には、書けない。
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2018/1 11冊目(通算11冊目)。恋の話だったり小説の方法論の話になったりしてどう話が収束するのかとヒヤヒヤしたが、恋の話はちゃんと決着したので納得した。あと小説を書く点で、他人がどう考えているか気にするべきという一節があったが、その言葉に最近色々な本を読んでもなんかモヤモヤしている自分が吹っ切れたような気がした。読書を通じて色々な心の機微を理解しようと考えたのが理由だが、どうもそのことを忘れていたような気がする。そういう部分を思い出させてくれた点でためになったと思う。感想はこんなところです。
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普段あまり小説の書き方など意識したことがなかったので、こんなことを考えながら書いているのかと興味深く読むことができました。2人の小説論もどちらの考えも納得できる部分があり、それぞれの対比がとても面白かったです。肝心のストーリー部分は地味な主人公が恋をしたり家庭の問題を乗り越えながら成長していく話で、全体としてうまくできているなと感じました。今回は2人の作家さんが交互に執筆したということなのでどこがどちらが書いたとかは分かりませんが、中田永一さんの切ない話が好きなので、展開的にはとても楽しめました。こんな女性が同じ部にいたら毎日絶対楽しいと思います。小説を自分で書いたことはないのですが、もし時間さえ許すならば一度書いてみたいと思わされた作品でした。