中田永一のレビュー一覧

  • くちびるに歌を

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    ネタバレ

    合唱は、えてして男子がふざけ半分でやり、女子に注意されることが様式美になっているといえよう。ましてその男子たちが若くて美人な臨時採用の教師目的で入部しているなら尚更だ。良い合唱にするには、この男女の取り組みの差を埋めるか、最初から女子だけの合唱にするかしかない。この話では最後まで男女での合唱を諦めない。困難にぶち当たったとき、これまで歪みあっていた二つが一つになり、大きな波となって人々に歌声を届ける。

    2人の視点で描かれることで、より立体的にこの合唱部の姿が思い浮かべられる。そしてこの2人が抱えている人に言えない秘密が、物語を内容面でも深めている。話作りの技巧も光る、美しい青春の風を感じる。

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    2025年11月14日
  • くちびるに歌を

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    年甲斐もなく、青春を謳歌させてもらった。
    中田永一(乙一)が紡ぐ物語は、分かりやすさと独特の表現が重なり惹き込ませてくれる。
    またナズナ、サトル、コトミ、柏木先生…他にもたくさんいるが、それぞれに与えられた境遇の度合いが絶妙であり、最高に楽しめた。
    実写化してるみたいだけどどうなんだろう?

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    2025年10月21日
  • 私は存在が空気

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    ネタバレ

    ヤバい、気になる作家さんがまたひとり増えてしまったのだ
    特殊能力系×恋愛物語
    もうドストライクすぎて最高!!!

    少年ジャンパー(テレポーテーション)
    私は存在が空気(石ころ帽子的な)
    恋する交差点(量子トンネル効果)
    スモールライト・アドベンチャー(リアルスモールライト?)
    ファイアスターター湯川さん(パイロキネシス) 
    サイキック人生(テレキネシス・サイコキネシスあるいは透明な第3の手)

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    2025年09月04日
  • 吉祥寺の朝日奈くん

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    表題作は意外な真相がわかり普通ならドロドロしそうな話を純粋な心温まるラブストーリーになっていてキュン。「交換日記はじめました!」は交換日記風になっているけどいろんな人が関わり広がっていく。最後に真相がわかるタイプの話が多くてミステリーも味わえる

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    2025年05月17日
  • 彼女が生きてる世界線!

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    ネタバレ

    面白くって、半分くらいから一気に読んだ。ラノベ3冊分を一冊にしたので読みごたえがある。逆に分冊だと物足りないかも。でも、たぶん小学生向けレーベルだし分量的には良いのか?

    乙一の異世界転生モノ。似たやつだとアークノアがあるが、こっちは流行りのテンプレに乗っかってアニメの世界という変化球で面白かった。
    ゲームじゃない分アニメの声優や設定資料集、インタビューというメタ発言が出て面白い。

    アクトのキャラデザはゴクオー君みたいなやつかなと想像してたら、分冊のほうでは僕ヤバの市川みたいなほうだった。全然極悪顔に見えない……可愛いよ普通に。

    最後の最後、小野田が自分の自宅に住むのを提案してきてこっから

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    2025年04月06日
  • くちびるに歌を

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    おもしろかったー
    最後の方はぐいぐい読んだ
    ナズナとサトルの交互の視点も良い
    登場人物みんなが好きになる

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    2025年03月24日
  • 吉祥寺の朝日奈くん

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    ちょっと待って!これを乙一が書いたの!
    え?
    なんかまったくホラーとは対極にある、ちょっと淡い恋物語。
    どの短編も、続きを予感させる終わり方がうまい!ミステリー交じりなのに、ぜんぜん人が死ぬ感じがしない!

    どの短編もうまい具合にミスリードさせて、こっちかと思いきや、こっちか!みたいなどんでん返しのオチもある、のに最後は淡いキュンとするような恋に繋がる。
    「三角形は壊さないでおく」
    が良かった。
    白鳥と主人公の友情と小山内さんとの三角関係は、どんなふうに転んでも悲しい展開しか予想できなかったけど、白鳥の身を引く潔さと、主人公が白鳥との友情を守りながら小山内さんへの気持ちについて整理できるまで、

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    2025年03月21日
  • 百瀬、こっちを向いて。

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    2025/12/15
    4つの短編からなる小説で、それぞれの話は独立しているが、青春時代の恋や、人を思う気持ちについてのほんのりした話が多い。
    タイトルは1番最初の話。
    先輩からの依頼で百瀬という女子と恋人のフリをすることになった男の子についてのストーリーである。
    その後に収められている3つの話も人が惹かれていく過程を少しミステリアスに、少しユーモアを交えて、少し現実味を持たせて展開されている。
    とても読みやすく、そう感じる要因もあとがきに書いてあって納得。
    別の作品も読んでみたいなと思いました。

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    2024年12月17日
  • 百瀬、こっちを向いて。

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    どの話もよかった
    小梅が通るの主人公の柚木と松代さん土田さんの三人とも魅力的に思えたし、関係性も素敵でした!

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    2024年10月11日
  • 彼女が生きてる世界線!

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    面白かった。なんだか若返った気分になった。
    平凡なサラリーマンが異世界に転生する話だった。
    悪役に転生し、ヒロインの死亡フラグを回避するのが目的、という巷にあふれている転生もの。その王道のような話だった。
    でも、ありふれた世界も中田永一さんが書くとこんなにいきいきするのかと驚いた。
    主人公が前世のサラリーマン生活で得た、くじけてもしなやかにやり過ごす心のスキルも良かった。
    たくさんの少年少女に読んでほしいな、と思った。

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    2024年09月26日
  • 彼女が生きてる世界線!

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     細田監督が帯に記してくれた言葉が、この物語の魅力をぎゅっと詰めて込んで伝えてくれる気がします。私からはあえて多くは申しませんが、中田永一さんが届けたい想いの、ほんのいくばくかにも触れることができたのなら、嬉しく思います。合唱曲の「くちびるに歌を」がきっかけで、ずっと中田さんの文章に興味はありましたが、じっくりと読ませてもらったのは今回が初めてでした。超大作の内容であることもあって、読み終えたあとは映画鑑賞のような、壮大で、切なくて、勇気づけられる、独特の爽快感があります。是非とも皆さんにもお楽しみいただきたいです。






     ※
     以下、ネタバレを含みます。
     また、感想というよりは、個

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    2024年07月21日
  • くちびるに歌を

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    視点が変わるので最初だけ少し分かりにくかったけど面白かった、最後の方は感動した
    手紙の歌詞を思いながら読むと面白かった、久しぶりに聴いたら好きになった
    会話の方言もかわいかった。五島列島いってみたい

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    2024年05月10日
  • 彼女が生きてる世界線!(3)失われた生存ルートを求めて

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    ネタバレ

    最高に楽しくて、久しぶりに読み終わりたくない読書時間をいただいたシリーズです。

    現実ではうまくはいかない、けれど現実であって現実ではない世界だからこそうまくいく。
    エンディングは予想できても展開にひとつもふたつもひねりがあり、大人が読んでも十分面白い作品です。
    視点移動は慣れていないと混乱するかもしれませんが、それぞれの人物の立場や距離感、心情を理解し感情移入することができて私は好きです。
    人物ごとの葛藤や苦しみに触れるたびに涙しました。

    白血病や治療についての情景・心理描写も要点をおさえられていて、どれほど調べられたのだろうと驚きました。
    無菌室や温室などで描かれている比喩表現もコロナ禍

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    2024年05月08日
  • 吉祥寺の朝日奈くん

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    気持ちのいい、甘酸っぱい恋愛短編集! いや?上手い!巧いわー!って一本目の交換日記からうなってしまった。ここで出てくる山田氏と「朝日奈くん」に出てくる山田氏は別に関係ないのかな?何となく舞台になってるエリアもそう遠くないから関係してるのかなって勘ぐっちゃった。
    全部ある意味どんでん返しなんだけど、そういう触れ込みがない状態で知らずに読めたから爽快感5割増だった!気持ちいい!

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    2025年12月03日
  • 彼女が生きてる世界線!(2)変わっていく原作

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    上っ面の異世界転生モノではなく、プロの作家が人物と設定の力を最大限に引き出して青春やミステリーで彩った名作。
    白血病の治療や死への恐怖という重いテーマを含みつつ、明暗の対比や感情のアップダウンが端的で読みやすい言葉でかかれていて、これを10代前後で読めるのは幸せなことだと思います。
    クリスマスの夜のシーンや柚子がアクトに接触する場面も素敵ですが、三巻へ続く「可能性」に気づくところがとても好きです。
    神に描かれた絶望への道に見える一筋のその光の差し方がとても美しくて愛おしいと思いました。
    続きも近いうちに購入します。

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    2024年04月19日
  • 百瀬、こっちを向いて。

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    表題作の映画をみて買った文庫本。ちなみに短編集
    印象に残った「先輩はニルアドミラリなんだ」って台詞、映画オリジナルだったんだね。良き。

    表題作も好きだけど、
    #なみうちぎわより の方が好きかも!
    水難事故により五年間眠り続けてた女の子が目覚めて、
    かつて勉強の面倒を見ていた生意気な年下の男の子との関係の変化を描いたお話。
    ソーダ水のような、それこそ波打ち際のように感じる淡い記憶みたいな優しい気持ちで読める。
    敢えてひらがなで書いてあるのが多いのもその理由なのかな。素敵な本でした。

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    2024年03月28日
  • 彼女が生きてる世界線!(3)失われた生存ルートを求めて

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    ファンなら知っているとおもうけど、中田永一=乙一さんの別名義ということで購入。

    本作はいわゆる「児童文学」にカテゴライズされる作品で、本屋さんにいくと小学校低学年くらいの子がうろうろしているコーナーに行かなくてはならない。実際、自分が本を買うとき、すぐそばに小さい女の子がいて「なんか大人いるっ!」という目で見られてとても恥ずかしかった。

    本作は「児童文学」といえ侮ることなかれ。内容自体は大人でも十分楽しく読むことができる。というかある意味大人の方がいろいろ突っ込めて面白いかも。
    「異世界もの」に抵抗がある人、一般文芸にちょっと飽きたから味変したいという人にはオススメできる作品だとおもった。

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    2024年01月10日
  • 吉祥寺の朝日奈くん

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    中田さんの「百瀬、こっちを向いて」は、ただただキュンキュンさせられっぱなしの短編集でしたが、こちらはちょいビターな感じでしょうか。

    どのお話にも共通して描かれているのは「失恋」。
    手痛い失恋というよりは、学生の頃の、思い出すとちょっとほろ苦くて甘酸っぱいって感じのやつです。

    どれも好きな作品だったけど、友情と恋のあいだで悩む男女3人の高校生活を描いた『三角形はこわさないでおく』がよかったなぁ。3人とも不器用でそれが可愛いすぎる。女の子の好きのアピールの仕方がいじらしくて可愛すぎるっっ!!

    表題作の『朝比奈くん』は不倫のお話。朝比奈くんと人妻の山田真野が2人でメンチカツ買う行列に並んでる場

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    2023年11月22日
  • くちびるに歌を

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    おもしろかった!
    表紙通りの中学生の青春小説。
    合唱部のコンクールまでの物語となっている。
    自分が中学生の時の風景が蘇ってくるように感じてしまう。
    最初は二人の主人公の視点が交互に入れ替わること、序盤から登場人物が多く名前が覚えられないこと(結局重要なメンバーは5人もいない)ということでなかなか世界観の中に入り込むことができなかったが、中盤以降は先が気になって仕方がなかった。

    乙一はホラーでグロテスクなのに切ない気持ちになることが多く大好きで、別名義の中田永一の著作も何作か読んだ。
    ただここまで印象に残るのは本作が初めて。
    作家とはこんなにも別の世界観を表現できるのは本当にすごいなと感心して

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    2023年10月27日
  • ダンデライオン

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     「ダンデライオン」とは、たんぽぽのことですが、たんぽぽと聞くと黄色い花を想像してしまいます。この本でのダンデライオンは白い綿毛のイメージです。子供の頃、よく息を強く吹きかけて飛ばした綿毛です。風にのればどこまでも飛んでいきそうな感じでしたね。
     本のストーリーは、過去に戻って見知らぬ少女を助けるというものですが、構想がしっかりしていて楽しく読めました。
     もし、過去に戻れるとしたら人は何をするのでしょうか?不慮の事故や病気で亡くなった大事な人を何とか救いたいと考えるでしょうし、地震や台風とかの自然災害の被害を小さくしようとするかもしれません。そして自分自身の人生をやり直すためにちゃんと勉強す

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    2023年09月13日