中田永一のレビュー一覧
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ネタバレ合唱は、えてして男子がふざけ半分でやり、女子に注意されることが様式美になっているといえよう。ましてその男子たちが若くて美人な臨時採用の教師目的で入部しているなら尚更だ。良い合唱にするには、この男女の取り組みの差を埋めるか、最初から女子だけの合唱にするかしかない。この話では最後まで男女での合唱を諦めない。困難にぶち当たったとき、これまで歪みあっていた二つが一つになり、大きな波となって人々に歌声を届ける。
2人の視点で描かれることで、より立体的にこの合唱部の姿が思い浮かべられる。そしてこの2人が抱えている人に言えない秘密が、物語を内容面でも深めている。話作りの技巧も光る、美しい青春の風を感じる。 -
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ネタバレ面白くって、半分くらいから一気に読んだ。ラノベ3冊分を一冊にしたので読みごたえがある。逆に分冊だと物足りないかも。でも、たぶん小学生向けレーベルだし分量的には良いのか?
乙一の異世界転生モノ。似たやつだとアークノアがあるが、こっちは流行りのテンプレに乗っかってアニメの世界という変化球で面白かった。
ゲームじゃない分アニメの声優や設定資料集、インタビューというメタ発言が出て面白い。
アクトのキャラデザはゴクオー君みたいなやつかなと想像してたら、分冊のほうでは僕ヤバの市川みたいなほうだった。全然極悪顔に見えない……可愛いよ普通に。
最後の最後、小野田が自分の自宅に住むのを提案してきてこっから -
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ちょっと待って!これを乙一が書いたの!
え?
なんかまったくホラーとは対極にある、ちょっと淡い恋物語。
どの短編も、続きを予感させる終わり方がうまい!ミステリー交じりなのに、ぜんぜん人が死ぬ感じがしない!
どの短編もうまい具合にミスリードさせて、こっちかと思いきや、こっちか!みたいなどんでん返しのオチもある、のに最後は淡いキュンとするような恋に繋がる。
「三角形は壊さないでおく」
が良かった。
白鳥と主人公の友情と小山内さんとの三角関係は、どんなふうに転んでも悲しい展開しか予想できなかったけど、白鳥の身を引く潔さと、主人公が白鳥との友情を守りながら小山内さんへの気持ちについて整理できるまで、 -
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細田監督が帯に記してくれた言葉が、この物語の魅力をぎゅっと詰めて込んで伝えてくれる気がします。私からはあえて多くは申しませんが、中田永一さんが届けたい想いの、ほんのいくばくかにも触れることができたのなら、嬉しく思います。合唱曲の「くちびるに歌を」がきっかけで、ずっと中田さんの文章に興味はありましたが、じっくりと読ませてもらったのは今回が初めてでした。超大作の内容であることもあって、読み終えたあとは映画鑑賞のような、壮大で、切なくて、勇気づけられる、独特の爽快感があります。是非とも皆さんにもお楽しみいただきたいです。
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以下、ネタバレを含みます。
また、感想というよりは、個 -
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ネタバレ最高に楽しくて、久しぶりに読み終わりたくない読書時間をいただいたシリーズです。
現実ではうまくはいかない、けれど現実であって現実ではない世界だからこそうまくいく。
エンディングは予想できても展開にひとつもふたつもひねりがあり、大人が読んでも十分面白い作品です。
視点移動は慣れていないと混乱するかもしれませんが、それぞれの人物の立場や距離感、心情を理解し感情移入することができて私は好きです。
人物ごとの葛藤や苦しみに触れるたびに涙しました。
白血病や治療についての情景・心理描写も要点をおさえられていて、どれほど調べられたのだろうと驚きました。
無菌室や温室などで描かれている比喩表現もコロナ禍 -
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ファンなら知っているとおもうけど、中田永一=乙一さんの別名義ということで購入。
本作はいわゆる「児童文学」にカテゴライズされる作品で、本屋さんにいくと小学校低学年くらいの子がうろうろしているコーナーに行かなくてはならない。実際、自分が本を買うとき、すぐそばに小さい女の子がいて「なんか大人いるっ!」という目で見られてとても恥ずかしかった。
本作は「児童文学」といえ侮ることなかれ。内容自体は大人でも十分楽しく読むことができる。というかある意味大人の方がいろいろ突っ込めて面白いかも。
「異世界もの」に抵抗がある人、一般文芸にちょっと飽きたから味変したいという人にはオススメできる作品だとおもった。 -
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中田さんの「百瀬、こっちを向いて」は、ただただキュンキュンさせられっぱなしの短編集でしたが、こちらはちょいビターな感じでしょうか。
どのお話にも共通して描かれているのは「失恋」。
手痛い失恋というよりは、学生の頃の、思い出すとちょっとほろ苦くて甘酸っぱいって感じのやつです。
どれも好きな作品だったけど、友情と恋のあいだで悩む男女3人の高校生活を描いた『三角形はこわさないでおく』がよかったなぁ。3人とも不器用でそれが可愛いすぎる。女の子の好きのアピールの仕方がいじらしくて可愛すぎるっっ!!
表題作の『朝比奈くん』は不倫のお話。朝比奈くんと人妻の山田真野が2人でメンチカツ買う行列に並んでる場 -
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おもしろかった!
表紙通りの中学生の青春小説。
合唱部のコンクールまでの物語となっている。
自分が中学生の時の風景が蘇ってくるように感じてしまう。
最初は二人の主人公の視点が交互に入れ替わること、序盤から登場人物が多く名前が覚えられないこと(結局重要なメンバーは5人もいない)ということでなかなか世界観の中に入り込むことができなかったが、中盤以降は先が気になって仕方がなかった。
乙一はホラーでグロテスクなのに切ない気持ちになることが多く大好きで、別名義の中田永一の著作も何作か読んだ。
ただここまで印象に残るのは本作が初めて。
作家とはこんなにも別の世界観を表現できるのは本当にすごいなと感心して -
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「ダンデライオン」とは、たんぽぽのことですが、たんぽぽと聞くと黄色い花を想像してしまいます。この本でのダンデライオンは白い綿毛のイメージです。子供の頃、よく息を強く吹きかけて飛ばした綿毛です。風にのればどこまでも飛んでいきそうな感じでしたね。
本のストーリーは、過去に戻って見知らぬ少女を助けるというものですが、構想がしっかりしていて楽しく読めました。
もし、過去に戻れるとしたら人は何をするのでしょうか?不慮の事故や病気で亡くなった大事な人を何とか救いたいと考えるでしょうし、地震や台風とかの自然災害の被害を小さくしようとするかもしれません。そして自分自身の人生をやり直すためにちゃんと勉強す