中田永一のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
恋愛短編小説集。
甘酸っぱくも、ときにユーモラス、ときにコミカルで、
簡便な言葉遣いで進んでいきますが、
存分にハートをつかまれてしまうおもしろい作品群でした。
イージーな言葉遣い、とくに平仮名を多用するのは、
若い人の中でも、あまり本を読まないようなひとでも
楽しんで読めるためなのかなあ、
そういう層を中心視したエンタメなのかなあと思いました。
とはいえ、僕みたいなアラフォー男が読んでも、
「おもしろかったーー!」とたいへん気持ちがよくなるくらい、
ちゃんとした作りです。
語られることは懐かしい気持ちにさせるところもあるけれど陳腐じゃないし、
読書時間が好い時間として過ごせました。
そう -
Posted by ブクログ
様々な特殊能力を持った人たちの
おかしな日常と
悲しみや孤独、痛みや恋を描いた短編集。
それぞれの話の簡単なあらすじを言うと
一瞬にして空間を飛び越える能力「ジャンプ」を身に付けた
引きこもりの男子校生の恋の結末と成長を描いた
『少年ジャンパー』、
漫画「ドラえもん」に登場するひみつ道具「石ころぼうし」をかぶったかのように、
存在感を自由に消すことのできる少女の初恋の相手とは…
『私は存在が空気』、
愛する彼氏とスクランブル交差点を渡ろうとすると、
なぜか必ず人混みにもみくちゃにされ、違う人の手を握りしめているどんくさい彼女。
そんな二人が自らの未来を賭け、
東京最大のスクランブル交 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今まで中村航氏の著書は苦手だった。
角フェスの平置きでみかけたとき、悩んで斜め読みをしてみると面白そうに感じて購入。
母校である芝浦工業大学が共同開発した小説創作支援ソフトを使い、中田永一氏と5頁~10頁を交互で執筆した合作。
中田永一氏としての作品もはじめてだったこともあり楽しみだった。
内容自体は青春ストーリーではあるけれど、本好きならば誰しも1度は執筆をしたいと思う願望を持ち、行動を起こすもうまくいかないこともたくさんある。そんな主人公がそこから抜け出す1歩を無事に進めた。
もう少し、これからはおふたりの作品にも触れてみたいなぁ、と思った。 -
Posted by ブクログ
乙一、じゃなくて中田さんの優しさが心に染みる短編集でした。
中田さんは作品の中で、弱々しく、馬鹿にされている人間達に‘超能力’という‘力’を与える。
それは『サイキック人生』の少女の一世一代の‘優しい嘘’みたいなものかもしれない。
それを偽善と思う人もいるかもしれないけど、偽善でも救われる人もいる。
『私は存在が空気』は『暗いところで待ち合わせ』を、『ファイヤースターター湯川さん』は小説『ジョジョ』を思い起こさせる。
お気に入り作品は『少年ジャンパー』。
博多弁が心地よく、スケールが小さいようで大きいのが好み。
お気に入りキャラは『ファイヤースターター湯川さん』の片腕がなく、吃音でチッ -
-
Posted by ブクログ
本をめぐる物語というか、本に係わる物語って感じ。
色んなかかわり方があるとは思うけれど、それだけでなく、
本が出来上がるまでに、色んな人が関わっているんだと思ったら
ますます本が愛おしくなります。
アンソロジーは新しい作家さんとの出会いの場である。
ましてや本関連のアンソロジーときたら、期待度大である。
好きなのは、「メアリー・スーを殺して」
話の流れから、どんな結末になるかと思ったら
さすがの乙一氏ですね。
ある意味、予想外で中田氏らしい終わらせ方でした。
ちょっとしたきっかけで、人って変われるんだって思わせる。
これは読後感がよいです(p^_^q)
「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
-
-
-
Posted by ブクログ
乙一さんの別名義である中田永一さんの新刊です。普段はこのテの表紙の作品は敬遠してしまうのですが、このたび山本周五郎賞にノミネートされたということで手に取ってみました。確かデビュー作以来です、乙一さんの作品を読むのは。
6編から成る短編集ですが、どの作品も重くなく軽妙で、すらすら楽しく、あっという間に読み終わりました。適度にひねりを利かせて、適度なところに着地し、適度に感動を与えるプロの作品に仕上がっている、という印象です。もっとも、もうひと押しあれば絶対傑作になっていたのになあ…と思えたものもありました。
個人的に一番面白かったのは「ファイアスターター湯川さん」かな。これを読んで宮部みゆきさん